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lumikka original|フィンランドコラム

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lumikkaがお届けするコラムシリーズ。雪の結晶のような小さな視点から日常を見つめ、そこで発見した美しき風景や思考をお届けします。
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#旅とわたし

光のかたち

フィンランド最古の街、そして旧首都のトゥルク。 ローマ教皇の命によって発展したと言われるこの街には、いくつもの宗教建築が点在しておりヘルシンキとはまた少し違った街の空気を感じることができます。 中心地から少し離れたところに、復活礼拝堂と呼ばれる教会があります。自然光による美しいインテリアが特徴的で、観光ガイドにも掲載される人気の建築なのですが、今回の訪問では入ることができず。 ならば、と周辺の緑の中を歩いてみることにしました。 しばらく歩いていると偶然にも別の教会の看

ヒエタニエミの空に

黄昏の時間はゆっくりと流れる。 まるで、その美しい光のなかで囚われているように。 揺れる波、唄う鳥、ヒエタニエミの水平線。 夜の10時30分ころ。ヘルシンキの街から西に向かって——夕日の方へと歩き始めました。ビルの窓ガラスは斜めの光を鋭く反射して、低い空に浮かぶ白い月はちょうど半円を描いています。 大きな墓地の横を通り抜け、さらにしばらく歩くと穏やかな水の平面が見えてきます。 おだやかな。それはそれは、おだやかな。 まっさらな新雪の上を歩くかのように、鴨たちは、少し