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最高の瞬間は常に未来にしかない

2020.6.4

周りでは、自粛中に韓国ドラマにハマる人が多く、インスタを開く度に「愛の不時着」を目にするが、私はというと、令和版の「東京ラブストーリー」に完全にハマってしまった。こりゃ、月曜の夜は街からOLが消えると言われたのも納得ですわ。当時のキャッチコピーは、「東京では誰もがラブストーリーの主人公になる。」
なんて素敵なキャッチコピーだろう。

存在自体は知っていたが、昔ヒットしたドラマということくらいしか知らず、恥ずかしながら、私の大好きな曲である、小田和正さんの「ラブストーリーは突然に」が主題歌だったことすら知らずにいた。そんな令和版東京ラブストーリーを見始めたきっかけは、出演している俳優さんが好きだったからということと、単純に心がキュンキュンを求めていたのだ。(笑)

私は地方出身であるが、小学校の時に親戚のおばさんに会いに東京に行った時に、楽しさと誘惑と少しの危険が入り混じったような混沌とした世界に惹かれ、自分の存在が掻き消されてしまいそうな程の人の多さに驚きつつも、いつのまにか憧れを抱いてしまった。中学校の時には既に、将来必ず上京するということを決めていた。極めてミーハーだが、何か物凄く楽しいことが待っているような気がした。周りにも格好つけて、「私将来は東京に住もうと思うんだよね」と言ってしまったものだから、もう後戻りすることもできず、晴れて大学進学のため上京した。それはそれは特別な経験だった(この話はまたいつか詳しく書きたい)。

無事大学4年間を過ごし、就職先は地元に戻ったのだが、色々あり、やはり、東京という街が忘れられず、社会人2年目の終わりに再スタートを切った。転職を余儀なくされたのだが、当時の転職理由は言ってしまえば、東京に行きたいからただ、それだけ。転職活動で最初に受けた面接で志望理由を聞かれ、「東京で働きたいからです。」と答えてしまい、「え?この子何を言ってるの?」という面接官の顔が今でも忘れられないが、(そして言うまでもなく落とされたが)結果として東京に戻ってこられたのはよかった。

東京って不思議な街で、驚くべきことに、大学で東京を目指した時の想いと、就職して、大人になって、再び東京行きを目指した時の理由が全く変わらないのだ。直感的に行きたいから、東京でしか見られない景色がそこにはありそうだからという本当に漠然とした気持ちであった。

しかし、一度帰ってきた地元を離れ再び東京に行くことにはかなり迷いもあり、ツテを頼りに、人事経験のある方を数人紹介してもらい、相談に乗ってもらったりもした。

「それで、何で東京に行きたいの?具体的にやりたい仕事とかあるの?東京にしかないものって何?」と矢継ぎ早に聞かれると、いつも困ってしまい、「えっ、、と...なんか色んな情報を一早く得られるし、友達もほとんど向こうにいるし、、」という、本音ではあるけど、核心は自分でもわからないまま、その場しのぎで答えてしまう。「...わかったけど、それをもっと具体的に表すとどういうことかな。」と極めて腑に落ちないような顔をされるのがオチだった。現代文のテスト問題で、自分の書いたことを思いっきり赤字で修正された時のような、なんか自分は世間とズレているのかもという気持ちで不安になった。でも確かに、客観的に見たら、初めて会った見ず知らずのヒトにこんな判然としない理由を述べられたら心配になってしまうのも無理はないとも思う。

ドラマ中の主人公の男性の永尾完治(通称:カンチ)も愛媛から上京し、赤名リカという女性に出会って恋をし、以下の言葉を放つ。

リカは東京に似てるよ。気まぐれで、刺激的で、毎日表情がくるくる変わって、まったく予測不可能

「あああ、私も同じことを東京に対して思ってるよ、カンチ!!」と叫ばずにはいられなかったが、カンチのセリフ通り、東京は何か刺激的なことが起こるかもしれないという好奇心を常に掻き立ててくれる街なのだ。当たり前だが、東京出身者と話していても、この気持ちはなかなか理解してもらえないが、私としては、上記のような憧れを抱けたことは、地方出身者の特権のような気がする。兎にも角にも、感情移入せずにはいられないような場面が多くて、胸の高鳴りが止まらないような最高のドラマだと私は思う。

その中でも一番頭に離れなかった言葉が、赤名リカのセリフである、

最高の瞬間は常に未来にしかないんだから

という何ともポジティブでキラキラした言葉だ。この言葉、私が思いつきたかった、とおこがましいにも程があるようなことを思ってしまうくらいに名言であると思う。

常に過去との比較で生きてしまいがちな私だけど、この言葉を脳内で繰り返して、思考すらもリカのように変えてしまいたいと思うくらい、羨ましい言葉だ。

私にとって、最高の瞬間を見つけらる場所、それがきっと、東京だったのかもしれない。




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