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今も昔も「バーチャル・クライマー」

所謂「登山」というものを一度も経験した事は無い。
体力無い、高いところが恐い、面倒くさいww…と、ナイナイ尽くしなので、実行した事が無いのです。
精々が数時間のハイクくらい。

しかし何故か、山を題材としたマンガや書き物は好きなのです。
岳、イカロスの山、神々の山嶺…といったコミックや、山と渓谷のような雑誌なども読んでいました。
ドキュメンタリーも好きです。

きっかけは大病をしたこと。
病床でたまたま買ってきて貰った雑誌の中に「山と渓谷」があり、日がな繰り返し読んでいました。

大病と書くくらいなので病態はそれなりに重く、まだ十代であった事もあり、自らの運命について考える時間は多数ありました。
山の雑誌を見ていると、その内容には命の危機を感じさせる記事もあり、それに魅了されていました。
…生死の境目を進む登山という行為が、実際に日々感じていた死への不安感と、同時に抱いていた「憧憬」のような危うさとが同期して、そこから僅かづつに生きる道の模索が見えていたのです。
クレバスに落下し、危うく引っ掛かったラダーに救われた、と言ったところでしょうか?。

退院しても体重は以前よりも20キロ近く減り、毎日を自宅で寝て過ごす日々が続きました。
三年間で二度入院するくらいの状態で、凡そ10年程度は状態は改善しなかったわけですから、山に登るぞ!とかの劇的な展開は一切考えられなかったです。
ただ原付バイクに乗っての小ツーリングくらいは出来たので、結局はそちら側に興味は移って行きました。

バイクツーリングと登山は何となく似たところがあって、体力的なものを除けば、好きで苦労をするようなところがあります。
雨風に打たれつつ走ったりするわけで、これはこれでどこか楽しく感じられたのです。
体と相談しつつのツーリングは、病気での鬱気から私を救ってくれました。

自然が好きだと言うことに気付いたのは、病気がきっかけだったんですね。
写真にせよバイクにせよ登山にせよ…共通項はみな自然と相対するところにあります。
だからもし長期入院をしても、手術して予後も良好で体力も元に戻るようなものだったら、登山に挑んでいたかも知れないですね。


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