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「この地球で、唯一踏むことをゆるされた芸術品」 〜 ペルシアジャパンのショールームへ

こんにちは。
織りに惹かれ、日本橋にある株式会社 ペルシアジャパンのペルシャ絨毯専科ショールームへお邪魔しました。

1981年に日本初のペルシャ絨毯専門商社として設立された株式会社アオトスを前身とするペルシアジャパン。

常時約6,000枚の商品を有するこのショールームは魅惑の空間。

わああー目の愉悦!
シルクの光沢が麗し。

ペルシャ絨毯に興味はあるけど…難しいとずっと思ってて。店によって値段がバラバラだし、自分にはその価値を判断できる知識も眼もない。
なので、信頼できる「誰か」を探すことになるのよね。

私がペルシアジャパンの絨毯に出会ったのは松屋銀座で。
パッチリまつ毛がチャーミングなライオンと目が合って、連れて帰ろうか悩んでいた時、親身に絨毯の説明をして下さったのがとても嬉しかったんです。

なんともコミカルな表情が愛らしいー

それ以来、7階のインテリアフロアを通ると、絨毯のお話を伺いたくてつい寄ってしまう絨毯屋さん。

スタッフの方から伝わってくるのは、扱っている絨毯に対する敬意と愛情。
その絨毯が辿ってきた道のり、織りの技巧、糸や染料の種類などの豊富な知識は勿論、お客さんの家まで運送会社を通さず、ご自身でお届けする等を聞き、ペルシャ絨毯を買うなら「この方から」という気持ちが膨らんできました。

(記事「ネイティブ ジュエリーを買うということ / Santa Fe・ニューメキシコ Vol.4」)

素晴らしい!と思ったのは、バイイング。お客さんの好みを把握し、顔を思い浮かべながら買い付けします、と。
買う側は自分の好きなテイストに出会えて嬉しいし、リピートする。売る側は在庫を抱えなくてイイ。これ一番大切なことなんだけど…出来ていないとこが多すぎるのよね。

で、もっと絨毯見せて下さい!教えて下さい!ということでやって来たのがこの日本橋のショールーム。

商談室に飾られていたお皿が美しかった。

ペルシャ絨毯とは、イランで織られている手織りの絨毯のこと。機械織りのものはペルシャ絨毯と呼びません。
素材はふたつ、ウール(羊毛)とシルク。ペルシアジャパンではこの天然素材以外は絨毯と認めていないそうです。

色合いも四季を表現した柄も素敵だったカシュマール産の一枚。

絨毯は踏むもの。だからしっかりとしたウールのものが8割以上を占め、歴史も古い。

裏も美しい。

糸が細く繊細な光沢あるシルクは、靴を脱ぐ文化のある日本をはじめ、アジアに向けた商品が多いのだそう。

クム産のシルク。

ペルシャ絨毯の5大産地といわれるのが、イスファハン、タブリーズ、カシャン、ナイン、クム。

キング オブ カーペットと呼び名の高いのがイスファハンの絨毯。

この絨毯は経糸に細い絹糸を使用しているので、緯糸のウールの密度が高くなり、図柄がパキッとクリアで繊細な色合いが美しかった!

経糸の絹糸は表面には出ないんですって。なんて贅沢な織り。

裏を見るといつも手を合わせたくなるノット数…気の遠くなるような手作業。

イスファハンにあるモスクをモチーフに織り上げたという一枚。

イラン北西部最大の絨毯産地 タブリーズ。

カシャン

イスファハンの職人の指導をえて、絨毯業に切り換えというナイン

ナインはベージュっぽい淡い色味が特徴だとか。何枚か見たら、ナイン産を当てられるようになった(気がする…)。

1930年代半ばにカシャンの人々の指導により絨毯作りに着手したクム。シルクの絨毯を多く生産している産地です。

見ていて飽きない。シルクと

なめらかな光沢のあるシルク。

ウールのタッセル。

素朴で暖かみのあるウール。

あるお客さんのお子さんが絨毯から離れない、というお話を伺いました。
いつもそこに座って遊んで、決して汚さないんだそう。

子どもって純粋なので分かるんですよね。天然素材は気持ち良いってことが。シルクやウールの天然素材は、保冷・保温性に優れています。
夏は涼しく、冬は暖かい。子どもは素直な肌感覚で感じるんでしょうね。

シラーズのウールのライオン。

そしてこれは大切にするものなんだ、と教えなくても分かるんですね。

またあるお客さんは、お子さんが「私専用の絨毯が欲しい」と懇願するので小さな一枚をお求めになられたと。

部族の絨毯(トライバル・ラグ)ギャッベ。

ああ、素敵だなーと思いました。
高価なものなので一瞬怯んでしまいますが、その子が大切な絨毯と一緒に成長し、共に生きていくってとてもあたたかい。

ざっくりと厚みのある頼もしいギャッベ。

私も父が35年以上前に海外で買ってきたシルクの絨毯を今も使っていますので…なんだか嬉しい気持ちに満たされました。

平織に刺繍を施したシルジャンのスマック織も優しい美しさを湛えていました。

キリム(毛足のない平織の織物)なので絨毯じゃありません。

ショールーム内を移動しながらキョロキョロ。
おおっ!ダストシュート式郵便ポスト。

カワイイーと興奮してブレてます。
ちゃんと稼働してる。

エレベーターホールの天井も

エレベーターの扉も

いちいち麗しい。

このショールームが入っている建物は、国の登録有形文化財に指定された「丸石ビル」の1F。

昭和4年(1929年)に着工、昭和6年3月に竣工したこの建物は、三菱地所から独立して「山下寿郎建築事務所」を創業した山下寿郎氏が手掛けた初めての建物なんだそう。

こういった建物を見るといつも思う。昔の方が高い技術と美意識を持ってるって。

意志のある表情が印象的だったライオン。

今までお目にかかったことのない感じ…

ショールームはどなたでも入れます。
(ご来店は予約制です。その際に松屋銀座からのご紹介とお申し付けください。)

「この地球で、唯一踏むことをゆるされた芸術品」を愛でに是非。

株式会社 ペルシアジャパン ショールーム
住所:東京都千代田区鍛冶町1丁目10番4号 丸石ビル1階
電話:03-5209-0133
営業時間:10:00~18:00








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