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2200年前の兵士と馬に会いに / 京都⑤

2022.05.14
こんにちは。タイムトラベラーな浦嶋子の次は、不老不死を求めた秦の始皇帝の世界へ。

旧御所水道ポンプ室

その前に「旧御所水道ポンプ室」を見に。新緑が気持ち良い小道を下ると、

見えてきました。美しい!

「御所水道」とは、防火用水として御所に水を送る専用の水道のこと。かつて京都御所に送水していたこのポンプ室は、明治期を代表する宮廷建築家であり、京都国立博物館や赤坂離宮(迎賓館)を設計した片山東熊(とうくま)の作品。

重厚で気品ある建物。

今回は時間がなくて乗れなかったのですが、「びわ湖疏水船」の乗下船場のそばにあるので、舟を降りる時に間近で見ることができるんです。次回は船で来よー

大神宮橋からの眺め。付近は立ち入り禁止なので、これ以上近寄れません。

橋の反対側。

「兵馬俑と古代中国」展 @京セラ美術館

なにっ?「兵馬俑展」やってるの? 知らなかったーそれは行かねば!

昨日の浦嶋子は、人が不死の仙人になるという神仙思想、中国道教の影響を受けていて、そして次の日に不老不死を願った秦の始皇帝。
なんだか見えない糸に導かれてる感じ。

速攻駆け込む。

日中国交正常化50周年の2022年。これを記念し、京セラ美術館で開催されている「兵馬俑と古代中国~秦漢文明の遺産~」展。

兵馬俑坑の発見


兵馬俑坑の発見は1974年。井戸を掘っていた農夫の楊志発さんの鋤の先が硬いものに当たり、掘り起こしてみると等身大の兵士や馬の俑(被葬者の死後の生活の為に副葬されたもの)が大量に出土し、世界を驚愕させました。その数約8000体。
現在も調査は続いているというから、そのスケールの大きさに気が遠くなる。

この存在に圧倒されたのは10代初め。行くぞー!とルートも西安のホテルも調べたのに、何故かまだ行けてない兵馬俑坑。

レプリカですが…テラコッタ ウォリアたちが並んでいました。

兵馬俑坑の謎


兵士約8000体、軍馬670頭、戦車130台。この始皇帝の軍団は全軍が東を向き、敵に対する陣形は最強の布陣を構えていたという。

「東」を向いてたということ。ここが引っかかってる。深い意味がありそう。ゾクゾクする。

当時、2200年前の剣にクロム鍍金(メッキ)が施されていたと聞き、ひえ〜オーパーツか!と想像は遥か彼方に飛んでいったけど、近年、英国と中国の研究チームにより否定された…。まあ、でも謎は残るのだ。

*「等身大」の兵士たち。その身長は175cm〜190cm
* 2012年には百戯俑坑から、頭がない状態で高さ2.2m(頭も入れれば2.5m程)の「秦の巨人」と呼ばれる陶俑が発見されている。
* 等身大の俑が作られたのは、始皇帝が皇帝に即位した12年間のみ。春秋戦国時代、そして秦に続く前漢時代の俑は小さいのです。
* 兵士の表情、服装、髪型、姿勢など一体一体すべて異なる。

サラッと「等身大」と表現されている兵士たち。
175cm〜190cmが等身大? 当時の人たちは高身長だったの? 強さを誇示するために大きく作ったの? 
一般的に掲げられている理由は二つ。

*兵士は体格のいい者が選ばれた
*視覚効果の視点から、彫刻作品は本物より大きく作ると美しく迫力あるものになる ← 当時の職人が優れた芸術的感覚を持っていたことが分かる。

ならば、兵士が乗る馬も大きく作ったはず、って思ってしまう。

でもね、馬は「等身大」=ライフサイズ なんです。このずんぐりとした体型は、説明によると、甘粛省(かんしゅくしょう)一帯の可曲馬(かきょくば)に近いそう。
らく〜に鐙に足をかけて乗れそうな小さい馬。日本在来馬を思い出した。(記事「日本在来馬と氷穴と樹海 山梨 5/47」)

馬は等身大で、人は大きめに作る。
なんだかバランス悪いなー違和感ある。私にとってこのサイズが謎。ふふ〜また斜め上の方向に想像が膨らむ。

両耳を前方に向け、口はハミを咥えるために開かれていました。
絡まないように結ばれていた尻尾。

古代の遺物を観る時、今の感覚を当てはめて考えると、視えてこないものがあると思う。
また、それが当時の技術で製作可能だったとしても、「何故」それがつくられたのか、「どういう意識」でつくられたのか、を考えることが大切に思える。

レプリカの「2号銅車馬」

御者は6本の手綱を左右の手でさばいて、馬を制御します。なんと!正座して操縦してるんですねー腰痛になりそうだ…

馬、小さいよね。
頭絡やハミなど、当時の馬具を窺い知ることができます。

主催者が強く伝えたいことは何か。それによって展示の仕方、空間の使い方=見せ方、が変わってくるよね。と勝手に色々ブツブツ考えた。

採光が美しかった。扉の彫刻も。

外に出ると、京都府技師の阪谷良之進氏設計の平安神宮大鳥居が。

交番にはノーブルな騎馬警官と子ども。ピンクカワイイ。

そういえば、2014年のソー・エルメスのエキシビション「変身」は兵馬俑だった。グラン・パレに2200年前の兵士たちが目覚めた!強烈な世界を演出してくれたバルタバス、最高!

(記事「エルメス主催の馬術競技 Saut Hermès / ソー・エルメス 2018〜パリ旅行記⑴」)

続く






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