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正直、どっちでもいい、映画「疑惑とダンス」

二宮健監督ということで興味があった映画「疑惑とダンス」を観た。全編でも一時間弱とサクッと観られるドラマサイズ。バカバカしさに「ははは」と笑ってちょっとスッキリしたいときに観るといい。登場人物の誰に一番気持ちが動くのか、それであなたの結婚観や恋愛観がわかるかも?

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ストーリー

カンナ(徳永えり)とマサオ(木口健太)の結婚のお祝い会として集まった、カンナの大学時代のダンスサークル仲間。2人が出会うきっかけを作ったサトシ(小林且弥)他、サナ(福田麻由子)、ツバキ(川面千晶)、コムラ(小村昌士)が集まるが、なぜか主役の1人マサオの姿が見えない。
みんなが集まる少し前、コムラはつい口を滑らせてマサオに「カンナと昔勢いでヤってしまった」と言ってしまい、それをきっかけにお祝い会が修羅場と化す。

もう本当に結局のところ「で、何?もう、どっちだっていいじゃん!!」と言いたくなるのはカンナに感情移入しているから?それともサナなのか。

元サークル仲間という共通項で繋がっている女3人と男2人、そこに結婚相手として加入する男1人。構図としては、女3人対男3人ではあるのだけれど、その矢印が目まぐるしくどんどん入れ替わって、最後は罵声と怒号と掴み合いに発展。ああ、これはこういう気持ちからだよな、いやいやもしかしてこれってこういうこと?昇華しきれなかった青春の縮図が、貸し切ったスナックという閉鎖的で場末っぽくて、ややダサい舞台で見事に弾け飛ぶ。

オープニングも、昔のアメリカのドラマ?風?
何となく距離のある、コムラとマサオが期せずして2人きりになってしまうところから、この夜の修羅場がよーいスタート。

登場人物

1.サトシ

お祝いの言葉にもちょっと未練がましい言葉を挟むあたり、カンナに未練あり?「正直、そんなつもりで2人を会わせたわけじゃなかったんだけどなぁ」

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2.ツバキ

旦那とのセックスレスをあっけらかんと告白する、姉御肌でサバサバした性格。「っていうか、何で自分の彼女のこと信用しないわけ?」

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3.サナ

自由すぎる天然発言で相手をムカつかせるのは計算なのか、素なのか。こういう女一番怖い。「こんな男のどこがいいの?」

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4.コムラ

眼鏡に流行遅れのヘアスタイル、ちょっといけてない見た目。つるっと口を滑った発言はもしかして、わざと?「はっきりさせたいんだよ」(ポスター上段の右から2番目)

5.マサオ

ただ1人サークル仲間ではないのでやや他のメンバーとは距離があるものの、カンナへの愛情を誠実に示そうとする真面目男子。「っていうか、約束が違うだろってことだよ」

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6.カンナ

マドンナ的存在で、それなりに青春を謳歌した気の強いヒロイン。「もうそれでいいよ!」

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何とこの映画、台本なしのアドリブ合戦なのだとか。ある程度のストーリー展開は決まっていたのか、ともかくセリフが自然。面白そうだけど、結構大変だろうなぁと思う。それを成立させるのが演出・監督の妙なのか。

際立ってすごかったのが人をイライラさせる不思議女子サナを演じた福田麻由子さん。こういう女をやらせたら彼女の右に出る人はいないのではないのか。

そして、踊る

元ダンスサークルなるほど、と思えるほど、チャプターの合間にダンスシーンがさし挟まり、最後にはヤケになってみんな涙で踊り狂う。

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まさに「疑惑」そして「ダンス」。

ミュージカル要素があるのかと思ってみたけれど、そんなことはなくて幕間にダンス、いや、ダンスの合間にドラマ、そんなのどちらでもいいような、ダンスと疑惑の二つの世界を行ったり来たりする。

そこには、何も「コレかアレ」ときっちり二択にする必要などなくて、曖昧で混沌とした世界がリアルなのだと最後に笑い飛ばして踊り疲れた挙句、現実にスッと戻る、その過程に描かれているような気がする。

正直個人的な感想としては「別にどうでも良くない?っていうか、コムラが一番悪い。ちょっと無理」という感じでしょうか。男女という分け方は古いけれど、何となく女が「そんなのどうでも良くない?」ということに男3人がいつまでもこだわってグダグダ言って最後にはことが大きくなったという流れはあるような気がする。

ただ、これはカンナを好きな人たちが集まったのかなと思うと、こんな結末も想定内なのかな。結婚を祝うという目的で集まったのだけれど、みんなが100%同じ思いで集まっているわけはないし、お祝いの席だからって全身でお祝いしなければならないというわけでもない。ある意味、禊のような感じでウミを吐き出したと思えば、それもアリ?

ただし、恋人だからって結婚するからって何もかも共有するのがいい、とは限らないと私は思う。

いくら過去を共有したって未来を共有することにはならないのだし。

※本作品は楽天TVでレンタル可能。

二宮健監督作品では「THE LIMIT OF SLEEPING BEAUTY リミット・オブ・スリーピング ビューティ」が好き。







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