クレマン・マロ「自分について」(フランス詩を訳してみる 16)

Clément Marot, De soy-mesme (1538)

今やかつての私ではなく
二度と若返ることもできない。
美しかった私の春も 夏も
窓から飛び降りてしまった。
愛の神よ、あなたをわが主と仰ぎ
どの神にもまして仕えてきました。
ああ もしも生まれ変われたなら
もっと良くあなたに仕えられるだろうに。

(清水謙子の訳を参考にした。)

Plus ne suis ce que j’ay esté,
Et ne le sçaurois jamais estre.
Mon beau printemps, et mon esté,
Ont faict le sault par la fenestre.
Amour, tu as esté mon maistre,
Je t’ay servy sur tous les dieux.
O, si je povois deux fois naistre,
Comment je te serviroys mieulx !

 *

同時代の作曲家クレマン・ジャヌカンによる合唱曲(1540)があります。


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