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親友との不協和音4(完結)



夏。

彼女と連絡を断って数ヶ月。
最初は苦しかったけど、その頃にはそれでも平気な自分がいた。

それまでは一番の遊び友達で、予定のほとんどを埋めてもらっていたのだけど。新しい友達もでき、もう依存状態から抜け出していた。


夏休みの旅行を随分前から計画していたので、久しぶりに彼女に連絡をしてみる。
(すれ違いが起きる以前から宿泊先を予約していた)

空気的に保留状態だったから緊張したけど、軽い気持ちで「調子はどう?」と。

トーク履歴には見返すと憂鬱になるようなやり取りも残っていたので、全て消去していた。

程なくして返信が返ってくる。
「落ち着いてきたよ!」
その流れで、会うことになる。


会う日が近づくにつれて、また緊張してきた。
一方、彼女は何も考えてないのだろうけど。

久々に会う彼女は、少し痩せたけど確かに元気そうだった。特に「心配かけてごめんね」みたいなフォローはなかったものの、その日は一日楽しく過ごせた。


半年前から予約していた、人気のホテルに宿泊する旅行も、白紙に戻らずに済んだ。その時も何事もなく、ただ楽しく終わった。

いざこざがある前よりかは、少しさらっとした付き合いになった気はするけど。

逆にそのくらいの距離感の方が良いのかもしれない。そう感じた。

私ももう依存しすぎないように、程よくフランクに付き合っていこうと。



それからまた数ヶ月。秋が近づいてきた。

最後に会った時、彼女はまたもや、少し曇り顔だった。あれから何度か会い、元通りに近づいていた頃だったけど、急にフラッシュバックする。

どうやら嫌味な上司がいて、転職を検討しているらしい。彼女は機嫌を損ねると急に口数が減り、次の約束を断ってくるのでわかりやすい。ちなみに体調が悪い時もこうだ。


来月また別の約束があるのでやや不安だけど、もう以前と違って彼女を失うことへの恐怖はない。

彼女との関係性は、まるで恋愛関係みたいでちょっと笑える。


長い付き合いの友達って憧れるけど、日々考え方も価値観も変化し続けるもの同士、ずっと仲良くすることって難しいのかもしれない。そんな風に思う。

それは少し寂しいけど、悲しいことじゃなくて。去年よりもちょっぴり大人になった私は、一緒にいて居心地がよくない人と、無理に一緒にいる必要はないと割り切れる強さを身につけ始めていた。


運の巡りはあるかもしれないけど、新しい人との出会いもあるし、もっと合う人もいるかもしれない。

合わなくなったからバイバイじゃなくても、距離を置いたり、距離感に気をつけて、付き合い方も調整していけたらいいんじゃないかと。


いつ彼女との関係が終わっても、彼女と過ごした時間の価値は変わらないし、本当に楽しかったから。

そこだけは、これから何が起こっても後悔がない。そこだけは、素直に心から感謝してると言える。

たくさんの思い出を、ありがとうと。



【あとがき】

社会人になってからの友情って、学生同士のそれよりもハードルが上がるなということは常々感じていて。

学校なら嫌でも毎日顔を合わせるけど、大人になったらお互いが連絡を取り合わないと続かない。貴重な休日を差し出しても構わないレベルの人としか付き合いたくなくなる。

まだこれからどうなるかわからないけど、長々と状況を整理してみた次第。走り書きみたいに書いたのに、まさかこんなに長くなると思ってなかった。

まさに独り言のような、反省文のような。



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