心が震えるとき
心が震える、という感覚。
それは、ポジティブな感覚であるときもあれば、ネガティブな感覚であるときもある。
壮大な自然の中で息を吸ったとき。
感動的な映画のワンシーンに胸打たれるとき。
自分にとって重大なミスをしてしまったとき。
日々の中でバランスを保って安定している心が、何か大きな外部刺激を受けて大きく振れるとき、物理的に心臓がずしん、となることは、きっとたくさんの人が経験しているのだろう。
でも、
電車に乗っているとき。
駅から大学まで歩くとき。
夜中にひとりベッドの上で、眠りに落ちるのを待っているとき。
裸の心がむき出しになって、ひんやりした外気にさらされて、ずっとブルブル小刻みに震えている感覚で、呼吸も浅くなって、このまま私は恐怖で倒れてしまうのではないかと思う。
かと思えば、家族に、友人に、光の射しこむ自然の中に、心を安心して預けていると、そんな心の震えはまったくなくて、落ち着いて呼吸して、穏やかな気持ちでのびのび話すことができる。
心のエネルギーが足りているときは、震えを抑えることもできる。エネルギーが足りなくても、無理やりエネルギーを生み出すことで、震えずにいられることもある。
それでも、あまりにも外の世界に圧倒されて、広大な宇宙の中に放り出されたチリのような気分になって、風にのってどこかに飛ばされて、消えてしまいそうになるとき、心が震える。
なんとかその震えを、浅い呼吸を、平穏な状態に戻すために。
なにかをぎゅっと抱きしめる。
家にいれば、ぬいぐるみやクッションを、
外にいれば、バッグを前に抱えて、
何も持っていなければ、自分の中に心臓があるのを意識して、それを優しく包み込むイメージをする。
大丈夫、大丈夫と声をかけて。
外界を遮断する。
アルバイトに行くときには、つばのついた帽子を目深に被って、視界を狭くする。
部屋に一人でいるときには、端っこに寄って、ふわふわの分厚い毛布の中に包まれる。
ノイズキャンセリング機能のついたイヤホンで、過剰な自意識を内に向けさせる。
誰も私のことを見て笑っているわけではないし、電車は私を怖がらせるために急ブレーキを踏むのではない。心をぐしゃっとさせる要素を排除する。
呼吸を合わせるための音楽を聴く。
呼吸を、ゆっくり、深く、一定のテンポでするために、深呼吸用のプレイリストを聴く。
そうしているうちに、呼吸が落ち着いてきて、不安がどこかへ消えていく。私はだいじょうぶ。そう思うことができる。
今日も、低気圧の気分変調と、任されたタスクへのプレッシャーで、心が震えている。
でもきっと大丈夫。ゆっくり呼吸しよう。
深呼吸用のプレイリストを、まとめてみようと思う。
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