aoiIoka

想像ができる明日は退屈よ明日まかせでおやすみなさい。

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最近の記事

「青い鳥」はしぶとく生き残っている

2024.10.14 ・わたしのスマホにはまだ「青い鳥」がいる。ここで言う「青い鳥」とは、そう、以前の「Twitter」、現在の「X」である。アプリやその運営に対して確固たる反抗があるわけでは全くないのだが、そもそもアプリの自動アップデートは設定でオフにしているので、これに限らずバージョンの古いまま使っているアプリはいくつもある、アプリが使えなくなったりバージョンアップを求められた時に対応すればいいので、不便はない、そして意外にも「青い鳥」はしぶとく生き残っている。 ・自

    • すいかもまだ食べていない

      2024.08.20 ・先月、初めての写真展を終えてからなかなか整理がつかないまま、気づけばもう夏の終わりの風物詩、五山の送り火を眺めていた、点火した瞬間、まわりで一緒にみているひとたちがおぉーっと歓声をあげる、そしてたいていの人がスマホを出して、シャッター音を鳴らす、よく考えたらこの近所で夏らしい大型イベントなんてこれくらいしかないから、ふだんみない人の量が出町柳に集まる、伝統的な行事に対して、鴨川の河川敷はまるで、音楽フェスの会場みたいだ。 ・そういえば今年は下鴨神社

      • もうそれだけでロマンチック

        2024.06.18 すっかり習慣になったお手洗いの「七十二候」カレンダーを眺めていて、つい先日までは「腐草為蛍」という時期だったので、蛍を見に行こうと決めた。 仕事終わりの夜、四条河原町で相方と美味しいご飯を食べた後、わたしたちは下鴨神社へ向かった、その数時間前に友人が蛍を撮影した動画をSNSにあげていた、静かな夜に繊細な蛍の光、30代にもかかわらず、古風な初夏の景色に期待が膨らむ、そんなうきうきな足で新葵橋でバスを降りて、徒歩で神社へ向かった。 大通りとはいえ、平日の

        • ぜんぶ曇り空と北風のせい。

          2024.05.09 若草の葉がゆれる風は心地いい、はずなのに今朝は冬に戻ったように布団からなかなか出られなかった、窓から青空を、覆い尽くす目論みが果たせなかった長細い雲が漂う、目指していた雲の形になれなかった彼らの悔しさが、強い北風になってわたしたちに八つ当たりしているとしか思えない、駅までの5分ちょっとの道のりで、衣替えでしまったばかりのセーターが恋しい。 風が出ているせいか、空気はとてもからっとしていて、曇っているのに大文字山の稜線はくっきりとみえる、ついこの間まで

        「青い鳥」はしぶとく生き残っている

          新しい思い出の保存方法

          2024.04.10 ・春の嵐が通り過ぎていく、風が窓ガラスに流れあたる音で目が覚めた、アウトドア用に軽い仕様の折り畳み傘では安心して雨風を防ぎきれないなと不安を覚えつつ、ぴかぴかの制服を纏った女の子たちの間をすり抜けて、駅まで向かう、というのは昨日の話で、今朝カーテンをあけたそこには雲ひとつない空、玄関をあげれば冬よりも冷たく感じる空気、鴨川を渡る橋の上から見下ろす景色には、雑草の緑と、菜の花の黄色と、空を映した川面の青が混在して、騒がしくも心浮き立つ、暴風に耐えた桜たち

          新しい思い出の保存方法

          二日前の菜虫の話

          2024.03.19 朝、温い布団から起き上がると寒さで身体が縮こまる、実家にいた頃も寒かったけど、半世紀も建っているこの部屋は、まだ冷たく素っ気ない、おまけに昨今の電気ガス料金の高騰で、会社に行くまでのたった1時間ちょっとにかける暖房はなく、とりあえず朝飲むための緑茶を淹れるために、お湯を沸かす、ガスをつける、そして台所に置いた姿見の前で、寝癖のままラジオ体操を始める。 なんの気まぐれか、我が家のお手洗いに今年から、二十四節気と、七十二侯が書かれたカレンダーを飾っている

          二日前の菜虫の話

          今朝乗る通勤電車から

          2024.3.8 暦の上では啓蟄、と言って土の中で眠っていた虫たちも、もぞもぞ、と地面に這い出てくる季節らしいのだが、東京方面は積雪のニュースがトップを飾り、立春を過ぎても、桃の節句を過ぎても、春はまだかと待ちぼうけ。 今朝乗る通勤電車からも、分厚い雲が車窓の上部を占めていて、でも大阪の街に近づくにつれて、だんだん青空が染み込んできたみたいで、きょうの空はなんだかぬるい。 会社での仕事は波があって、出来たと拍手したくなる日もあれば、足がすくむほど逃げたくなる日もあって、

          今朝乗る通勤電車から

          朝寝坊が得意になってしまった

          2024.1.19 ご無沙汰しています。 大人になってから知り合った友人がまめに日記を書いていて、顔を合わせたその出来事を文字にして公開していることに、ひとりニヤついてしまっている自分、チョロいなと思ってしまう、でも素直に顔に出ることは、いいことよね、きっと。 12月の給料が入って直後、撮り溜めたフィルムを巾着袋に詰めてカメラ屋さんに向い、現像にだした、おじいちゃんから貰ったフィルムカメラを本格的にやり始めたのは社会人1年目だから、かれこれもう9年目になる、その間にもフ

          朝寝坊が得意になってしまった

          人生がすんなり行く。

          2022.08.31 もしもし、きょうは8月の最後の日です、最後に日になって、ようやく書こうと思えるようになりました、ご無沙汰しております、お元気ですか、お元気だったら幸いです、お元気じゃなくても、生きているなら幸いです。 世間とはずれた夏休みをとって、時間も携帯も場所も気にせずのんびりと過ごしています、とはいえ仕事はちょっと追いかけてくるので、それは自分の責任、少し相手するくらいがちょうどいいと思って確認と作業をひとつまみ、あとは家にいてクーラーで体を冷やし、心までキン

          人生がすんなり行く。

          TOEICとはもう10年以上の付き合い

          2022.02.28 ・2月の最終日曜日、一年半ぶりにTOEICの試験を受けた。  わたしとTOEICとはもう10年以上の付き合いである。高校1年生の頃、高校の団体申し込みで受験したのが初めてだった。進学した高校は国際科で、2年生の9月から留学することが決まっていた。そして、留学先でも日々の実力確認のために定期的にTOEICを受験することが課題のひとつだった。回数は問われなかったけれど、なんとなくわたしは毎月申し込んで、田舎のLewesの街からバスで15分、Brighto

          TOEICとはもう10年以上の付き合い

          冬の残り

          2022.1.30  鴨川を歩いていると、遠くの山に雪が積もっているのがよくみえる、今日は日差しは暖かいのに、分厚い雲と、一緒に吹いてくる風がまだ冬の残りを再認識させる、せっかく日向に当たってクレープを頬張っていたのに、いつの間にか影になって、その味も冷たくなって頼りないものになってしまいそうになる、立春はもうあと5日なのに、景色はまだ春の予感を出してはくれない。  今年はよく雪の降る年だと思う、去年は冬が暖かすぎて、冬生まれのわたしには退屈すぎた、今年は目が冷めて毛布と布

          冬の残り

          割れた食器

          2021.12.21  今年の春に、お気に入りの食器が割れてしまった。  食事の後、いつものように洗おうと台所のシンクに置いた瞬間、静かに真っ二つに割れたのだ。本当になんの音もしなかった、わたしの「あっ」と溢れた声のほうが大きいくらいで。  非常に高いものでもなく、世界にひとつしかないオンリーワンなものでもなく、京都ではそこそこ有名な大型の雑貨屋にセール品で売られていた。それは藍色の丸鉢だった。深い青に彩られたそれは手に取ると予想以上に軽く、朝トーストしたパンから夕食の炒め

          割れた食器

          10月は最も運勢が悪いらしい。

          2021.10.25  一年の中で10月がやけに目につくのは、中学生の頃に家族がハマっていた占いの本の影響だろう。生年月日から調べるやり方で、わたしは土星人だとわかった、真面目、頑固、潔癖、芸術を好み、自由を求める土星人の性格の説明はぐうの音も出ないほど納得した、そして本を読み進めているうちに土星人は9月、10月、11月が運気が停滞しやすく、中でも10月は最も運勢が悪いらしいのだと知った。たかが占い、と思えないのが真面目なわたしの性格で、けれど確かに10月は面倒で厄介な出来

          10月は最も運勢が悪いらしい。

          貴方は今日も。

          2021.9.30 ・己、を相手に約束を守ることが側から見れば滑稽なくらいに大変なことのようで、頭、では考えているつもりでもいざ書こうと思うと真面目もお巫山戯も両方から逃げてしまう、癖、へばりついてるのは洗濯機と洗面所のヘドロだけでご勘弁をと言いたくても、声、届かず今夜も一人暮らしのベランダのなかにずるずると忍び込んできたのは、夜、になって突然始まったコンクリートの道路を整えるために使用される爆音のドリルに、目、はすっかり冴えてこれじゃまだ家にいない昼間にやってほしいくらい

          貴方は今日も。

          わたしの一部だった異物

          突然ですが、歯を抜く、ときいて、あなたは何を思い浮かべますか? わたしの場合は、痛い、とか、絶対したくない、という感情よりも、最近見返した「レ・ミゼラブル」の娘のために身体を売ることになった女の人のことが真っ先に頭に浮かぶんです、長い髪を剃られ、奥歯を抜かれ彼女自身が子供のためにどんどん堕ちていくシーン、見るに耐えない姿になった彼女はすっかり痩せこけたその頬に、もうひとつ心臓が宿ったかと錯覚するほど脈打つその痛みを、静かに手を当てるだけで耐えていたんでしょう、いまこれを書いて

          わたしの一部だった異物

          パセリの樹

          2021.7.31 住んでいる隣のマンションに大きな「パセリの樹」がある、「パセリの樹」というのはわたしが勝手に心の中でつけたあだ名で、風が吹くたびにふさふさと木の葉をゆっくり揺らす姿がとても可愛らしい、あまりにも可愛くていつかの夕方動画に撮ってSNSに投稿したくらい、ささやかながら誰かのハートも送られてきていた。 ある日、それまで久しく見上げていなかったパセリの樹の先端が、ひどく枯れていることに気づいた、ふさふさしていた木の葉たちはすっかり痩せてしまい、心なしか樹全体が

          パセリの樹