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チームプレーの楽しさ

【 自己紹介 】

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、600日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

法律に関する記事は既にたくさん書いていますので、興味のある方は、こちらにテーマ別で整理していますので、興味のあるテーマを選んでご覧ください。

【 今日のトピック:児相の仕事 】

僕は今、児童相談所で働いているのですが、児相って職員の数がめちゃくちゃ多いです。

70人くらい職員がいて、常にバタバタしています。

タイトルに「チームプレー」と書きましたが、職員が多いから「チームプレー」になるわけじゃありません。

他の部署でも同じなのかはわかりませんが、福祉の分野では、「ケースワーク」なるものを行います。

児相で言えば、児相が介入した家庭があって、その家庭をどう支援していくのかを考えるのが「ケースワーク」です。

この「ケースワーク」って、主には、担当の「ケースワーカー」が行います。ケースワーカーは、家庭訪問したり、来所してもらったりして、子ども本人や両親から話を聞き、必要に応じて、それ以外の人たちからも話を聞いて、「どう支援していくのか」を決めるために必要な情報を収集するわけです。

もちろん、情報を収集しながら、「どう支援していくのか」も考えます。

というか、情報を収集していくと、自然に「どう支援していくのか」という答えが見えてくるんだと思います。経験豊富なケースワーカーなら、支援の方法や、支援の目標を決めるのも早いんでしょうね。

2か月働いてみて思いましたが、支援って、目標を決めるのがめちゃくちゃ大切です。

だって、行政の世話になる家庭の問題が完璧に解決するのなんてあり得ないからです。完璧に改善するまで支援を継続しなければいけないのであれば、いつまでも支援が続いてしまいます。

もちろん、行政の支援なくしては成り立たない家庭もあるので、そういった家庭に対する支援を継続するのは必要ですが、児相の役割って、こういった「継続的な支援」とは一線を画していて、だからこそ、「目標を決める」が大切だと思います。

児相って、あくまで、専門的な支援に徹しなきゃいけないんです。児相にはめちゃくちゃ強力な権限が与えられており、だからこそ、迅速に動かなきゃいけないのですが、抱えているケースが多いと、この機動性に支障が生じてしまいます。

「どこまで児相が関与するか」をバシッと決めて、その目標が達成したら、継続的な支援が引き続き必要だとしても、それは市町村役場などの一般行政が続ければよくて、児相が引き続き関与する必要はないから、児相としては終結することになるんです。

なんか児相の業務について説明が長々続きましたが、こんな風に、ケースワーカーが、一生懸命調べて、一生懸命「どう支援していくのか」を考えるわけです。

で、関与する職員はケースワーカーだけではなく、心理士も関与することも結構あります。

ケースワーカーも、児童福祉司だったり、社会福祉士だったりして、資格を持っていますが、心理士の皆さんは、もちろん、心理士としての資格を持ち、心理学や心理療法の視点から子どもを見るわけです。

とはいえ、心理士もエスパーではありません。基本的に対話を通じて、子どもを知っていきます。

対話の際に、心理学の目から子どもを見て、その観察結果を文字に起こしてくれるのが心理士の仕事です。

で、心理士さんとの対話を「心理面接」と呼んだりしますが、心理面接って、いろいろと質問します。心理面接にもいろいろと技法があって、道具を使ったり、決められた質問を投げかけたりしながら、心理学的な観点から情報を収集していきます。

だから、心理士が関わる場合は、子ども1人(家庭1つ)に、ケースワーカーと心理士2人が担当として携わることになります。

そして、これに加えて、ケースワーカーと心理士にそれぞれ「主査」という係長的な上司が1人いて、この「主査」も、自分の部下たちが担当するケースは逐一把握しています。

主査の皆さんは、自分の担当ケースも動かしながら、管理職もこなされていて、本当にすごいです(笑)。

そうすると、既に4人の大人が、1つの家庭に携わることになっています。

それで、この4人で全部決められるのではなく、4人で出した方針を、所長以下主査以上が一同に集う会議に諮ります。

この会議は週2回行われていて、毎回15人くらいの大人が集まります。この大人たちが集まる会議で、最終的な方針を決定し、その方針に従って実践していくわけです。

で、僕は何をしているかというと、この「大人たちの会議」に参加しているのがメインではあるんですが、会議に先立ってケースワーカーや主査から相談を受けることもあります。

こんな感じで、僕もケースに携わっているんですが、僕としては、かなり「チームプレー」を感じています。

最も「チームプレー」を感じるのは、担当ケースワーカーでしょう。末端のケースワーカーは、「結局自分では何も決められないじゃん」という気持ちを抱くこともあるでしょうから。

ただ、僕は、担当ケースワーカーを本当に頼りにしています。子どもや両親と直接対面しているのは、基本的に担当ケースワーカーのみです。主査が対面することもありますが、必須ではありません。

実際に対面して得られた印象、具体的なエピソード、それらが何よりもかけがえのない一次情報だからです。

こういった一次情報を正確に把握し、それに基づいて、大人たちが考える。

足りない情報があるのなら、何が足りないのか、どうして足りないのか、それをひとつひとつ丁寧にケースワーカーに説明し、補足して事情聴取を指示します。

それを受けて、ケースワーカーが再び家庭訪問なり面接なりを行う。

チームプレーって、多くの人が携わるからこそ、より良い結論に至るんだと思いますが、ただ、それは、チーム全員が納得感を持っていることが肝要だと思います。

トップダウンで、言われたことをやるだけになると、ケースワーカーが思考停止になってしまいます。それじゃあ、ダメなんです。

ケースワーカーは、対面しているわけですから、そのときに、脳をフル回転させて、いろいろと考えながら聞いてほしいです。

本人と面接する中で、疑問点は浮かんでくるはずです。その疑問点は、大きな方針を頭の中に入れておけば、自然と出てくるでしょうし、素朴に疑問が浮かぶこともあるでしょう。

「どうしてそうしたんですか?」

「普通に考えたら、〇〇だと思うんですが、どうしてそうはしなかったんですか?」

「で、その後結局どうなったんですか?」

こういった疑問は、自然と浮かんでくると思います。で、それを萎縮せずに聞けばいい。聞き漏らしがあったらまた家庭訪問なり面接なりしなきゃいけなくて、また時間がかかります。

それは自分の業務を圧迫するので、シンプルに自分にとってマイナスです。

ただ、これを僕が説教しても始まりません。

僕の経験上、聞き漏らしの防止方法は、「ボスに対してちゃんと説明できるか?」という観点で事情を聞くことでした。

前の事務所のボスは、とにかく、「なんで?どうして?」と聞いてきました。まあ、それは弁護士として当たり前の態度だと思うんですが、新人の頃の僕は、この「なんで?どうして?」に答えられないことが本当に多かったです。

そこでヤンヤヤンヤ言われるのが非常にイヤだった僕は、ボスを想像しながら、ボスの「なんで?どうして?」に全部答えられるように情報をすべて集めておこうと思っていました。

たぶん、ケースワーカーも、こういった「他者目線」があると効果的で、自分目線だけだと、疑問が浮かばなかったりすると思います。

そこで、他者目線を得るために、ムカつく主査を思い浮かべるわけです。ムカつく主査からの「なんで?どうして?」に答えられないと、めちゃくちゃムカつくじゃないですか?

ただいくらムカついても、上司と部下という関係上、聴取不足は自分の責任なわけです。

だったら、最初から「ぜってー全部自分で答えてやる」と思って聴取したほうがいい、という良い流れが生まれてきます。

チームプレーは、自分で全部しないからこそ、良い方向にチーム全体を向ける必要があります。

その際に、「ムカつく上司」も必要なのかもしれませんね。

僕はなかなか「ムカつく上司」になれそうにないんですが、素朴に「なんで?どうして?」が浮かんでくるので、それをぶつけることで自然と「ムカつく上司」になれれば、「あいつにだけは言われたくねー」という感情が生まれて、良い方向に向かえばいいなと思います。

で、最終的に言いたかったのは、良い方向に向かえばいいなと思えるほど、チームプレーは楽しくておもしろい、ということです。

僕はこれまで、同僚と共に同じケースに立ち向かう経験が全くありませんでしたが、どうやらおもしろいようです。

児相には、性別も年齢も違う人々が集まっていて、誰がどのケースに携わるのかは、偶然に左右されます。

偶然に同じケースを担当することになった大人たちが、結果に一喜一憂することについて、どうやら僕はおもしろい・楽しいと感じるようです。

これが知れてよかったです。

以前からわかっていたことですが、改めて、僕は結構「普通の人」なんです。

僕が自然と「ムカつく上司」になって、チームプレーがうまく回るようになったら、それもまた楽しそうなので、躊躇せず「なんで?どうして?」と子どもみたいにぶつけていこうと思います。

それではまた明日!・・・↓

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