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貸したお金を弁護士の僕ならどうやって返してもらうか-19(「財産開示」は質問する手続)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:貸した金を返してもらう 】

今日も引き続き「貸したお金を返してもらう」についてお話していきます。

さて、昨日は、財産開示を始めるにも要件がある、ということをお話しました。

裁判所を使った財産調査手続きとして、「財産開示」という仕組みが民事執行法に用意されていて、なんとなく、とても便利そうです。

なんか、「裁判所が財産を調べ上げてくれる!」という風に思えますが(まあ、確かにその側面はあります。)、そもそも始めるための要件が設けられていて、その要件を満たさないと財産開示を始めてもくれません。

なかなか厳しいようにも感じますが、「財産開示」という手続きが、裁判所による財産調査であり、刑事罰を課す形で協力を担保しているのですから、簡単に始めるわけにはいきません。

そういうわけで、開始要件が定められています。

さて、じゃあ、実際に財産開示が始まると何が起きるのかというと、今回の設定で言えば、キャバ嬢が裁判所に呼び出されます。

呼出状がキャバ嬢宛に届きます。

呼出状には、「○月☓日の△△時●●分に▲▲裁判所の■■法廷で財産開示手続きをしますので、出頭してください」と書かれています。

裁判所の名前が書かれた封筒に入って郵便で届きます。こわいですね(汗)。

で、この指定期日に出頭しないと、刑事罰が課されます。6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金です。

刑事罰を一度受けると、それは一生消えません。一生「前科持ち」として生きていかなきゃいけなくなります。

だから、呼出状が届いたら出頭しなきゃいけません。

仕事を理由に裁判所も日程調整してくれる可能性もありますが、ただ、裁判所は平日の昼間しか営業していないので、「平日の昼間は全部仕事です」という理由で出頭を拒否することはできません。

こんな理由で出頭を拒否すると、刑事罰が課されます。残念!

「じゃあ、出頭するしかないか」ということになるので、キャバ嬢も出頭してくるでしょう(たぶん)。

キャバ嬢が出頭してきたら、何をするかというと、そのキャバ嬢に質問します。

「財産はどこにあるんですか?」と質問します。

・不動産をどこかに持っていませんか?

・預金口座はどこにありますか?

・勤務先はどこですか?

・今はどうやって生計を立てているんですか?

こんなことを質問して、財産の在り処を探っていきます。

・今お財布の中に入っている現金はどうやって手に入れたんですか?

・今日はどうやってこの裁判所まで来たんですか?

こんな質問もします。

自家用車を運転して来たのであれば、その自動車が財産の1つとなります。その場で駐車場まで行って自動車の写真を撮影したり、車検証の写真をとったりできるかもしれません。

ただ、これは法廷から出てしまうので、裁判官の許可はもちろん必要でしょうけど。

自家用車を運転していないのであれば、何かしらの交通費を支払ってきているわけですから、その交通費をどうやって工面したのか、という質問もできます。

ただ、親だったり彼氏だったりのスネをかじりまくっていて、自分には収入も財産もない、という反論も考えられますが、とはいえ、預金口座も何もない、という現代人はまずいません。

これまでの人生について質問しながら、預金口座の在り処を探ります。

働いていたことがあるなら、働いていた際の給料支払口座があるはずです。そういう感じで、人生をたどりながら、財産の在り処を探っていくのです。

こう書いていると、財産と人生ってつながっています。

現代社会を生きるということは、お金を工面して、その工面したお金を生活費に充てながら時を過ごす、ということです。

お金を工面する方法(働いて収入を得るのか、誰かから援助を受けるのか)を探ることで、財産の在り処もおのずとわかってきます。

こんな感じで、キャバ嬢本人に質問して財産の在り処を探っていくのが財産開示です。

で、財産の在り処が判明したら、その財産を対象にして、再び強制執行します。

もちろん、キャバ嬢が自発的に支払ってくれればそれに越したことはないんですが、財産開示までしなきゃいけないような相手が自発的に返済してくることなんて期待できないので、強制執行することになるでしょう。

ただ、強制執行できるほど(強制執行の対象財産として明記できるほど)、財産の詳細が明らかになるとは限りません。

しかも、キャバ嬢本人が説明しているだけなので、本当は違うかもしれません。

そこで、キャバ嬢が説明した場所に本当に財産があるかどうか確認する手続きがあって、それが「第三者からの情報取得手続」です。

明日は、この「第三者からの情報取得手続」について書こうと思います。

それではまた明日!・・・↓

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