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弁護士の僕ならこうやって立退きに対処します-8(大家さんと交渉が決裂した場合)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:賃貸物件の立退き 】

今日も、引き続き、立退きについて書いていきます。

昨日までは、大家さんとの交渉についてお話していました。

大家さんから「今年いっぱいで立ち退いてください」という手紙が、10月1日に郵便受けに入っていたところから話は始まりました。

「今年いっぱいで立ち退いてください」と言われても、こっちだって仕事が忙しくて毎日クタクタに疲れていて、立退きなんかに割ける時間なんてありませんから、僕だったら、とりあえず、立ち退き要求は無視します。

「今年いっぱいで立ち退いてください」と大家さんから一方的に通告されたとしても、それで契約が終了するわけではありません。手紙が入っていなかった前日までと同じように、その部屋に暮らしていていいんです。

「大家さんから立退きを求められてしまった・・・。どうしよう。次の物件を見つけなきゃ」なんて心配事が増えるのはまっぴらごめんです。本気で立ち退いてほしいのなら、大家さん側からコンタクトとってきますので、それまで待ちの姿勢です。

いきなり家の荷物が外に運び出されることは窃盗罪で完全に違法なので、心配無用です。

ただ、大家さんがコンタクトをとってきたら、立退きを求める理由などを聞き出します。

心配な人は、「無視」するのではなく、大家さんに理由を聞き出すステップに最初から進んでもいいかもしれません。そうすれば、大家さんから理由を聞き出す時期を前倒しにできるので。

ただ、大家さんは、本気で立退きを求めているわけですから、こちらから積極的にコンタクトをとると、いろいろと理由をつけて立退きを迫ってくるはずです。その結果、「どうやらこの人は立ち退いてくれそうだ」と思われると立ち退き料が貰えなくなりそうなので、僕はやりません。

僕だったら、交渉の段階で、初期費用+引越し費用の立退き料を確保できたら、それがベストなので、そこを目指します。

立ち退き料が貰えないのはイヤなので、「簡単に立ち退いてくれそうだな」とは思われたくないですが、とはいえ、裁判に付き合わされるのは御免こうむりたいので、ある程度の立ち退き料を貰えればそれでいいです。

もちろん、次の物件を探しておいて、良い物件を確保できるのが前提です。大家さんに次の物件を紹介してもらうことも考えます。僕が立ち退くためには、次の物件が必要ですから、「紹介してくれ」と言われたら大家さんとしては無碍に断ることもできませんからね。

ただ、僕はひとり暮らしで、なおかつ、家に執着がないので、簡単に物件は見つかると思います。

この点が、「引っ越しは非常に困っちゃう」という人と、僕の違いだと思います。

「どうしても引っ越したくない」という人は、立退き料の問題じゃありません。その家に住み続けることが何よりも大切なのです。

その場合は、どうしてもその家が必要な理由を考えなければいけませんが、ただ、過去の判例では、例えば、めちゃくちゃ「青山」という立地にこだわっていた会社が、かなり高額の立退き料を受け取ることになったとはいえ、立退きを命じられたこともあるので、「他の物件ではどうしてもムリ」という事情は、それなりに厳しいハードルだと思います。

例えば、その借家で商売も営んでいて、その売上が生活にとって必要不可欠であり、なおかつ、高齢で他の仕事で生活費を工面することが期待できない、なんて事案で立退きが否定されたことがありますが、これくらいの事情を借主の側で用意できるかというと、かなり難しいだろなと僕は思っています。

だから、僕は、立退きを求められた場合のゴールを、「初期費用+引越し費用」の立退き料を貰えたらそれでいいかな、という地点に設定しているのですが、しかし、大家さんが、このゴールを必ず提示してきてくれるとは限りません。

「立退き料を払うつもりはありません」と言われてしまう可能性もあります。

他にも、建物の修理(傷みやすい水回りなど)を大家さんがやってくれなくなるとか、そういった嫌がらせを受けて、かなり強硬手段で立退きを求めてくることもあります。

その場合、僕だったら、調停を提起します。「調停」というのは「話し合い」です。

まあ、「立退き料を払うつもりはありません」と言われただけなら、「あ、そうですか。じゃ、引き続き住み続けます」と言って、今まで通りの生活を続けますが、嫌がらせまで受けたら、「きちんと大家としての義務を果たしてください」とか、「立て替えた修理代を払ってください」という理由で、民事調停を提起します。

まあ、大家さんが嫌がらせをしてくるケースは、あんまりないでしょう。ふつう、調停を提起するのは借主側ではなく、むしろ、大家さんのほうです。

立ち退いてくれない住民に対して、裁判所での話し合いを求めるのは、大家さんにとっては常套手段です。

「調停」を提起すると、裁判所から呼出状が自宅に届き、指定された日時に裁判所に出頭するよう、裁判所に命じられたように感じますが、本当は違います。

本当は、大家さんが民事調停の申立書を裁判所に提出しただけです(笑)。申立書を作成して裁判所に提起することは誰でもできるので、別に、呼出状が裁判所から届いたとしても、それだけの話なのです。

人は1人では生きられないので、必ず、何らかの人間関係の渦中にいます。あらゆる紛争は、人間関係が原因となっていますので、人間である限り、紛争とは無縁ではいられませんし、「裁判の自由」があるので、その紛争が裁判沙汰になってしまうのも、自分の力では防げません。

だから、調停が提起されてしまうこともあります。僕も、大家さんが「立退き料を払うつもりはありません」と言われたら、交渉を決裂せざるを得ないので、次のステップとして、調停を予期します。

もしかしたら、調停ではなく、訴訟が提起されるかもしれませんが、とにかく、大家さんが自発的に立ち退かない僕を立ち退かせるためには、調停なり訴訟なりを提起するほかないので、こういうことが起きてしまうのも仕方ありません。

調停や訴訟が提起されるくらいなら、立退き料を貰わずに立ち退いてあげる、というのも考え方の1つとして、全然アリです。

僕は、それじゃ納得しないので、調停や訴訟を受けて立つというだけです。

調停が提起されたら、1ヶ月半に1回くらいのペースで、立ち退きについて話し合いが進められます。

・そもそも立退きを僕が承諾するのか

・仮に承諾するにしても立退き料はいくらくらいほしいのか

・立退きの期限はいつにするのか

こんなことを話し合います。その中で、「立退く」にしても、次の物件が必要なので、大家さん側から、次の物件を紹介してもらったりもします。

こんな風に話し合いが進むのが「調停」です。

僕だったら、調停の場合、第三者として調停委員がつくので、さすがに、立退き料ナシで立ち退くことにはならないだろうと予測した上で、調停委員を介して、これまでの経過を伝えます。

「立退き料ナシで立ち退いてくださいなんて、身勝手すぎませんか?」と調停委員に伝えるわけです。「立退き料ナシで立ち退くのは、僕はどうしても納得できません。毎月きちんと家賃を支払ってきたわけですから」ということも伝えます。

まあ、調停を提起してきたということは、話し合いの余地があると相手も考えているということですから、立退き料の用意がないということはあんまり考えられません。

だから、立退き料の金額と立退きの期限について合意ができる可能性が高いと思います。

ただ、合意ができないこともあり得ます。そうなれば、次は訴訟に移行します。

僕は、それほど高い立退き料をゴールに設定していないので、あんまり訴訟に移行することはないと思いますが、訴訟に移行したら、最終的に、判決によって立退きが命じられてしまう可能性があります。

どれだけ立退きを拒んでも、判決で立退きが命じられてしまえば、立ち退かざるを得ません。

もちろん、訴訟になれば、弁護士にきちんと依頼するべきでしょう。最終的な判決では、立退き料の金額も決まってしまうからです。

僕も、訴訟になれば、弁護士に依頼するかもしれません。自分のことは盲目になりやすいので、客観的に事案を見てもらい、どういった戦い方をするのか、その弁護士と相談しながら進めたほうがいいと思うからです。

立退きについては、これくらいで終わろうと思います。

僕自身が、ひとり暮らしということもあって、立退き料を支払えば「正当の事由」が具備される可能性が高いので、表面的には強気を装うものの、最終的には立ち退くことを念頭に置いて話を進めてきました。

ただ、正直なところ、立退き料をいくらにするかという問題はありますが、適切な立退き料(初期費用+引越し費用+家賃差額など)を支払うのであれば、普通は、「その物件にどうしても住み続けなきゃいけない」という事情は見出し難いので、訴訟となった場合に立退きが認められてしまう可能性はそれなりにあると僕は考えています。

まあ、「正当の事由」の判断は、本当にケースバイケースなので、お困りの方は、弁護士に早めに相談されてください。

あくまで、僕の場合は、立退き料によって「正当の事由」が具備される可能性が高いという話です。

「正当の事由」は、①大家さん側の事情と②借主側の事情の相関関係で決まってきますから、弁護士に相談する際は、事前に、大家さんが立退きを求めている理由を、なるべく詳しく聞いておくと、相談がスムーズに進むと思います。

それではまた明日!・・・↓

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