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弁護士の選び方

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、600日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

毎日ご覧くださってありがとうございます。本当に励みになっています。

法律に関する記事は既にたくさん書いていますので、興味のある方は、こちらにテーマ別で整理していますので、興味のあるテーマを選んでご覧ください。

【 今日のトピック:弁護士の選び方 】

僕は弁護士として働いていますが、まあ、普通は弁護士の世話になんてなりたくないですよね(笑)。

「弁護士」という職業があることは知っていて、弁護士になるには「司法試験」という難関試験を突破する必要があるらしいことも知っていて(しかも、「司法試験」は法律の試験らしく、どうも難しそうな感じもする)、だからこそ、なんとなく弁護士は「エラそう」と思っている人が多いでしょう。

実際に弁護士の仕事を目の当たりにしたことがある人は非常に少ないと思います。

弁護士に依頼して、その仕事を自分ゴトとして見たことある人は、めちゃくちゃ少ないでしょう。

なぜなら、弁護士に依頼するのは、多くの人にとって、弁護士に依頼せざるを得ない状況に追い込まれたからです。

弁護士としては、「弁護士に依頼せざるを得ない状況」にまで追い込まれる前に相談してほしいのが本音なんですが、とはいえ、弁護士に対する相談を躊躇する人が多いことも知っています。

そもそも、弁護士の使い方として、①依頼と②相談の2種類があることを知っている人も少ないと思います。

いきなり「依頼したいので費用について知りたい」と電話してくる人もかなり多いですし。

弁護士は医者ではないので、依頼を受ける義務はありません。

医者は、診療を断ることはできません。医師法に、診療に応じる義務が書かれているからです。

しかし、弁護士にはこんな義務はありません。原則通り、誰とどんな契約を結ぶか自由に選べます。

こういった、「契約自由」すら、あまり知られていませんよね・・・。私たちは、誰からも契約を強要されることはありません。誰とどんな契約を結ぶか、自由に判断することができます。

だからこそ、いちど結んだ契約に拘束されるのです。契約を結ぶかどうか自由に選べるということを前提に、契約を結んだわけですから、そりゃ、契約に拘束される(勝手に契約を解消できないし、契約に書かれた事項を守らなきゃいけない)のです。

なんか脱線しましたが、結局、弁護士は、どの依頼者からどんな依頼を受けるのか選べるのです。そして、弁護士がいったん依頼を受けた場合、とても重たい責任が発生するので、依頼を受けるかどうかは慎重に吟味します。

「重たい責任」とは、自分の一挙手一投足によって、依頼者の法的な義務が左右される、ということです。

自分がどんな活動をするかによって、依頼者がどんな法的な責任を追うか(反対に、どんな法的権利を得るか)を左右します。

刑事弁護であれば、自分の活動によって、有罪か無罪か、有罪を争わないとしても、刑期の長短や罰金の値段が決まります。

民事事件であれば、自分の活動によって、依頼者が請求できる金額が変わったり、そもそも請求できなくなったりします。

だからこそ、弁護士は依頼者のために最善を尽くすわけですが、これだけの重たい責任を負う相手を、弁護士が選べるのも当然です。

すみません、弁護士側からの話が続きましたが、弁護士がお客さんを選べるのなら、もちろん、お客さんだって弁護士を選べます。

で、ここからが本題ですが、お客さんが弁護士を選べるのはいいとして、じゃあ、「どうやって選ぶのか?」です。

この「選び方」として、多くの人が採用しがちなのが、「専門性」です。

例えば、離婚問題で困っているのであれば、離婚専門の弁護士に依頼しようと思ったり、交通事故で困っているのなら交通事故専門の弁護士に依頼しようと思ったりします。

今の時代は、弁護士の専門性をインターネットで簡単に検索できるので、こういった選び方になることが多いと思います。

でも、僕としては、いきなり専門性を求めるのはオススメしません。

オススメは、自宅からいちばん近い弁護士です。

そもそも、残念ながら、自分が悩んでいる法的な紛争が専門的な弁護士に依頼するほどのものでないことも多いです。しかしながら、それを自分で判断することはできません。

実のところ、専門的な弁護士に頼む必要がない法的な紛争が、世の中にはたくさんあります。

交通事故や離婚、相続などは、基本的に、どんな弁護士でも、滞りなく遂行できます。

そして、こういった、「どんな弁護士でも滞りなく遂行できる」紛争を、専門的な弁護士に相談した場合、その弁護士も「誰もできるよ」という理由で断ることはありません。

なぜなら、「こんなの誰もできるよ」なんて、困っている相談相手に対して失礼すぎますし、そして、専門的な弁護士としても、こういった「どんな弁護士でも滞りなく遂行できる」紛争は、いわば「簡単な依頼」なので、コスパが良いからです。

コスパが良い案件を、わざわざ、「こんなの誰でもできますよ。だからウチじゃなくて、もっと自宅から近いところでやってもらったら?」とは言いません。

言ってくれる弁護士も中にはいらっしゃるでしょうが、言ってくれない弁護士もいます。

コスパが良い案件は、誰しもやりたいのです。弁護士だって、そうなんです。

専門性で売り出していると、時間がかかったり、めんどくさかったりと、コスパが悪い事件もたくさん舞い込んできますが、こういったコスパが悪い案件だけでは経営が厳しくなるので、だからこそ、コスパが良い案件を離すわけにはいきません。

そして、大切なのは、専門的な弁護士は自宅から遠い(ことが多い)ことです。

というのも、専門性を打ち出してしまうと、専門分野以外を捨てることになるので、だとすれば、専門分野だけで事務所運営に必要な売上を確保できるのは、実際のところ都市部だけだからです。

田舎では専門性を打ち出した弁護士が十分な売上を確保するのは難しく、だからこそ、専門性を打ち出した弁護士は、多くの人にとって遠いです。

「自宅から遠い」は、依頼する側にとって大きなマイナスです。というのも、弁護士に依頼すると、解決までに1年くらいかかることもザラで、その1年の間に弁護士と打合せしなきゃいけないことが何度もあって、その打合せのたびに移動時間と移動費用がかかります。

今はSkypeやZOOMで打合せさせてくれる弁護士も多いでしょうが、僕としては、「直接会う」打合せが、何よりも大切だと考えています。

弁護士に依頼するのは、離婚や親の死など、人生で二度とは直面しないような大事件が起きたからです。

そんな大事件の行く末を決める際は、直接弁護士と会って話をする必要があると僕は思います。

SkypeやZOOMだと、どうしてもタイムラグがありますし、伝わる質や量が少ないです。

だから、弁護士に依頼した場合は、「直接会う」が大切で、「直接会う」を、なるべく簡単に実現できたほうがいいのです。

そうなると、弁護士は、「自宅からいちばん近い」を選ぶべきです。

で、いちばん近い弁護士に相談に行ってみて、まずは、話を聞いてもらいます。つまり、相談するのです。

先ほど説明したとおり、弁護士は、誰からどんな依頼を受けるのか慎重に判断するので、相談もなしに依頼を受けることはまずありません。

とはいえ、最初の相談の時点で、すぐに依頼を受けてくれる弁護士は結構多いと思います。だから、初回は必ず相談だけで終わるのではなく、そのまま正式に依頼することになるパターンも結構あります。

しかし、依頼する側も、依頼するかどうか慎重に判断しましょう。

かなり大きな金額を支払うことになりますし(相談に行けば、費用の見積もりは弁護士が提示してくれます。「見積もりだけください」と言ってもいいですよ。)、何よりも、目の前にいる弁護士の活動次第で、自分の法的な権利や義務が決まってくるわけですから、依頼する側だって、安易に判断するわけにはいきません。

大切なのは、即断即決しないことです。少なくとも、1日ゆっくり考えましょう。

「専門性」につられて、遠くの弁護士に相談に行ってしまうと、「また来るのも時間かかるしな」と思って、即断即決してしまいがちですが、それはオススメしません。

必ず、1日とか1週間考えて、依頼するかどうか結論を出してください。

そのほうが、依頼した際に納得感を得やすいからです。

この意味でも、遠くの弁護士はオススメしません。即断即決は、納得いくまで考えていないので、本当によくありません。

で、じゃあ、相談から間を空けるのはいいとして、じゃあ、どんな基準で「この弁護士に依頼するかどうか」を決めればいいのでしょうか。

弁護士の目から見ると、自分に対して最も利益となる弁護士というのは、

・自分の直面している紛争に関する法的知識が豊富である

・論理的でわかりやすい書面を作成できる。ページ数が少なければなお良い。

・論理的な思考に基づき、言うべき点はきちんと言葉にできる

こんな弁護士であれば、最良の結果をもたらしてくれるでしょう。

しかし、↑が備わっているかどうかを、法的素人が見極めることはできません。

じゃあ、どうやって依頼を決断すればいいかというと、それはもう、「この弁護士に依頼することが自分で納得できるか」というところに尽きると思います。

相談で実際に自分の悩みを打ち明け、それに対して、どんな風に弁護士が返答したか。その返答に対して、どんな印象を抱いたか。

これを踏まえて、「私はこの弁護士がもたらした結果に対して納得できるか」という基準で判断するしかないと思います。

弁護士に依頼すると、最終的に結果が出ます。結果を出すのが弁護士の仕事なので。

「紛争を終わらせる」という結果は、ほぼ100%の確率で出ますが、しかし、期待したとおりの結果が出ないこともあります。

「離婚させてくれ」と依頼したのに、離婚ができなかったり、「無罪判決を出してくれ」と依頼したのに無罪判決が出なかったり、「1000万円請求してくれ」と依頼したのに300万円しか支払われなかったり・・・。

あげたらキリがありませんが、こういう感じで、自分の期待に沿わない結果が出ることもあります。

もちろん、自分の期待が法的には認められるかどうか、認められる確率はどれくらいか、最終的に紛争が終わるまでどれくらいの期間が必要になるかなど、今後の見通しは正式依頼に先立って弁護士から説明します。

その説明に基づいて判断すればいいんですが、でも、結局は、「この弁護士に依頼したいか」「この弁護士がもたらした結果に対して納得できるか」という、感情的なところで判断することになるのかなと思います。

結局は感情論かい!という話なんですが、僕としては、

・即断即決しない

・この弁護士に納得できるか

ということを頭において、自分なりに弁護士を選んでいただきたいと思っています。

それではまた明日!・・・↓

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