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弁護士の僕ならこうやって遺産相続を進めます-11(遺言がある場合)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:遺産相続 】

今日で11日目ですが、引き続き、遺産相続についてお話していきます。

昨日は、僕の父親が残した↓の遺産を、僕だったらどうやって分けるかについて書きました。

・自宅土地建物

・農地10筆

・預金500万円

自宅土地建物も、農地10筆も、値段がつくのであれば、売却してお金に変えるところですが、値段がつかないので(という設定です)、やむなく、僕が貰い受けることを提案する、ということでした。

他に貰ってくれる相続人がいれば、その人に貰ってほしいのですが、相続人同士で押し付け合うくらいなら、僕が潔く貰うと思います。

値段がつかない不動産なんて、貰うだけ損なので、残りの預金はなるべくたくさん貰いたいところですが、それを実現するためには、事前に、「不動産貰う人が預金も貰うべきだよね」という根回しを済ませておきます、僕なら。

「不動産は貰いたくないけど、預金はなるべくたくさんほしい」という考えも、欲望に素直でわかりやすいですが、とはいえ、そんなワガママは基本的に通用しません。

そのワガママのせいで、人生の大切な時間をドブに捨てている人たちもたくさんいます。そういったワガママを貫くよりも、どこかで妥協することを最初から心に抱いておくほうが、人生の時間を有効活用できます。

僕は、人生=時間と思っています。お金は生活に不可欠なので、そのせいで、「お金があれば幸せになれる」と勘違いしている人が多いと僕は思っています。

自覚しないまま、無意識のうちに「勘違い」しているというのが多くのパターンだと思います。

人間というのは、本能的に、「必要条件」と「十分条件」の区別が苦手なのかもしれません。

お金が、生きるための「必要条件」なのは間違いないのですが(つまり、「お金がないと生きていけない」)、お金が幸せの「十分条件」ではないこと(「お金があれば幸せになれる」は間違いであること)を、頭では理解できていても、本能的には理解できないようです。

そりゃそうですよね。「幸せ」なんかを追い求めることができる環境なんて、進化の過程では全く経験してきませんでしたから。

常に生存競争にさらされて、生きるための「必要条件」ばかりを追い求めきて、その結果、遺伝子を後世につなぐことができたわけですから、「必要条件」と「十分条件」を理解することが本能にインプットされているはずがありません。

話が脱線してしまいましたが、要は、僕だったら、「値段のつかない不動産は欲しくない。でも預金はほしい」というワガママは、必ず争いを生み、その結果、僕の人生の時間を食いつぶしかねないので、言わない、ということです。

だから、妥協点(=落とし所)として、

・自分が不動産を貰って預金も貰う

・誰か他の相続人が不動産も預金も貰って、自分は何も貰わない

という2つを用意しておいて、そこを最終的なゴールと見据えて、「不動産には価値がないから、不動産を貰う人に預金も全部渡そうよ」と言って回るんです。僕だったら。

さて、昨日はこんな感じで、話を進めてきましたが、今日は、父が遺言を残していたパターンについてお話していこうと思います。

昨日までは、父が遺言を残していなかったという設定で話してきました。そして、最終的に、僕が不動産全部と預金全額を貰う、という形で話し合い(=遺産分割協議)が完了した、ということにしましょう。

遺産分割協議が完了すると、「遺産分割協議書」という書面を作成し、協議の結果を文章に表して、相続人全員で署名捺印します。

遺産分割協議書の書式は、インターネット上に転がっているので、それを参考にしてください。

まあ、僕だったら、協議書の文案を作成した後、司法書士に、「これで土地の名義変わりますか?」と事前に確認しておきます。土地の名義を管理しているのは法務局なのですが、法務局は結構シビアで、文章の表現にうるさく、法的には遺産分割協議が完了しているにもかかわらず、文章の内容によっては、名義変更を受け付けてくれないこともあるんです。

預金についても、万全を期すならば、事前に銀行に確認します。あんまりやりませんけど。

「この遺産分割協議書の内容で、そちらの銀行では、父の預金を解約してくれますか?」と、事前に確認しておくわけです。

そうやって、事前に確認しておけば、いざ、遺産分割協議書に署名捺印した後に、「やっぱり名義変更できませんでした」とか「預金を解約できませんでした」なんてトラブルを未然に防げます。

遺産分割協議書は、必ず、各相続人が実印で押印します。「署名」だけでなく、住所も書くのが通常ですが、住所は、印鑑登録証明書の記載と一言一句違わず書きます。「1丁目1番地」と書かれているなら「1-1」なんて略しちゃダメです。そのせいで、名義変更を受け付けてくれなくなるかもしれませんのでね。

さて、遺産分割協議後の手続きをいろいろと書いてしまいましたが、父が遺言を残していたという話に戻ります。

父が遺言を残していた場合といっても、その内容はいろいろと考えられますよね。

・遺産全部を僕にあげる

・遺産全部を僕以外の誰かにあげる

・遺産を相続人それぞれに割り振る

などなど、いろんなパターンが考えられます。

ただ、大きく2つに場合分けができます。

1つめは、僕がたくさん貰うパターンです。この場合、僕がたくさん貰うせいで、他の相続人(母や妹)が、あんまり貰えなくなってしまいます。

2つめは、僕以外の人がたくさん貰うパターンです。この場合、僕以外の人がたくさん貰うせいで、僕の取り分が少なくなってしまいます。

それぞれ、僕だったらどうするか。今日はこの辺にしますが、これがいわゆる「遺留分」の問題です。

1つめのパターンだと、僕がたくさん貰うせいで、他の相続人は、「遺留分」にすら足りない場合に、僕だったらどうするか。

2つめのパターンだと、僕以外の誰かがたくさん貰うせいで、僕は「遺留分」すら足りない場合に、僕だったらどうするか。

明日は、このあたりから書いていきます。

それではまた明日!・・・↓

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