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弁護士の僕ならこうやって離婚を進めます-3(腸が煮えくり返る思いで婚姻費用を払う)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:離婚 】

さて、今日も、昨日に引き続き、僕が離婚すると想定して話を進めていきます。

昨日のブログでは、婚姻費用のことを心配して、とにかく穏便に離婚を進めようとしている僕が描かれていました。

「婚姻費用」とは、夫婦がお互いを養う義務(=扶養義務)を負っているため、収入が高いほうが収入の低いほうに渡す生活費のことです。

僕のほうが収入が高いとは限らないのですが、これまで扱ってきた離婚事件では、夫の収入のほうが高い夫婦が圧倒的多数派だったので、僕も、自分より収入の低い妻と結婚していることを想定しました。

そうすると、離婚がこじれてしまった場合に、離婚できるまでずっと婚姻費用を支払わなきゃいけなくなるので、とにかく離婚がこじれないよう、こじれないよう、慎重に離婚を切り出しました。

「慎重に」という意味は、↓のように僕は考えています。

・一気に何でもかんでも言わない

・一気に何でもかんでも言わないけど、質問されたら答えられるように準備しておく

ということだと思います。

「離婚したい」と夫から言われたら、妻からの返答としては、いろいろと想定できますが、一応、予測できます。

・離婚したい理由は何?

・親権はどうするの?

・今後の生活はどうすればいいの?

・財産分与はどうするの?

・子どもの養育費はいくら払うの?

・子どもとの面会交流はどうするの?

妻から聞かれることは、これ以外にも想定できますが、法的に想定するべきなのは、↑の項目だと思います。

↑の項目を、一気に全部ぶちまけてしまうと、妻は必ず感情的になります。その結果、「離婚したくない!」と言われちゃうと、婚姻費用を支払わされるハメになるので、それだけは避けようと、慎重に慎重にいきます。

ただ、どれだけ慎重に離婚を切り出したとしても、素直に離婚に応じてくれるかどうかは限りません。

慎重に離婚を切り出したとしても、離婚を認めてくれない可能性があります。

その場合は、やむを得ませんが、別居するしかありません。

別居して、法的に離婚が認められるような既成事実を作ることが必要です。

そもそも、僕が妻と離婚したいと思っている理由は、性格の不一致でした。妻が不貞しているとか、暴力を振るうとか、そういった法的に離婚を請求できる事情は存在しないのです。

そうすると、「離婚したくない」と言われてしまった僕は、法的に離婚を請求できる事情を、これから作らなければいけません。

「法的に離婚を請求できる事情」とは、「婚姻関係の破綻」のことです。「婚姻関係の破綻」とは、「夫婦関係が完全に崩壊して修復不可能な状態」を意味します。

性格の不一致(妻の一挙手一投足が癪に障るとか、食事がおいしくないとか)は「婚姻関係の破綻」には該当しないので、僕は、別居することで、「婚姻関係の破綻」をこれから作ることになります。

ただ、「婚姻関係の破綻」には、必ずしも別居が必要なわけではありません。同居を続けながらでも、「家庭内別居」によって、「婚姻関係の破綻」を作り上げることも不可能ではありません。

でも、僕だったらそうしません。

家庭内別居だと、離婚したくない妻に、掃除したり洗濯したり食事を用意したりする余地を与えてしまいます。こういう家事を妻にされちゃうと、「夫婦関係はまだ修復可能だよね」と認められかねません。

「夫婦関係はまだ修復可能だよね」と認められてしまうと、「離婚」というゴールに到達できなくなります。

だから、僕は、確実に離婚に近づけるよう、「家庭内別居」ではなく、実家に帰るなり、別で賃貸アパートを借りるなりして、「別居」の状態を作り出します。

そして、本当にやむを得ませんが、婚姻費用も妻に払います。

先ほどまでは、妻に別居されたら、夫である僕が婚姻費用を支払わなきゃいけない、と書いてきましたが、これは、夫である僕から別居を始めた場合も同じです。

僕が家から出ていった場合も、僕は、婚姻費用を支払わなきゃいけません。

僕としては、妻に対して、「お前が離婚してくれないせいで別居までしなきゃいけなくなってるんだけど!!!!」という怒りの感情が爆発しているので、婚姻費用なんかビタ一文払いたくありません。

ただ、婚姻費用を支払わないままでいると、「悪意の遺棄」が認められてしまいかねません。

「悪意の遺棄」って何かというと、よくあるのは、「夫が家庭を離れて不倫相手と一緒に住み始めて、婚姻費用もろくに支払わない」みたいな感じです。

夫婦は、同居して、お互いがお互いを養う義務(扶養義務),があるわけですが、夫が家庭を離れて婚姻費用も支払わない、となると、この夫は、同居義務も扶養義務も果たしていないことになります。

こういった、同居義務と扶養義務を果たしていない状態を「悪意の遺棄」と呼びます。

で、「悪意の遺棄」が認められてしまうことの何が問題かというと、離婚が認められなくなってしまうことです。

ちょっとおさらいすると、僕が別居を始める理由は、「婚姻関係の破綻」を満たすためです。

僕が家庭を離れて別居すれば、その別居期間が長引くことで、最終的に「婚姻関係の破綻」が認められるようになるので、それを目標に、僕は別居を始めたわけです。

ただ、その「婚姻関係の破綻」が、僕の「悪意の遺棄」によって招かれたとなると、僕が「有責配偶者」になってしまいます。

「有責配偶者」とは、婚姻関係の破綻を自ら招いた配偶者の一方を指しますが、僕が、家庭を離れて婚姻費用も支払わないという「悪意の遺棄」を引き起こした結果、婚姻関係の破綻が実現できても、僕が「有責配偶者」となってしまい、離婚が認められなくなってしまいます。

というのも、有責配偶者からの離婚請求は、裁判所は認めてくれないのです。

そりゃそうですよね。自分で家を出ていって、生活費も払わなかった結果、「婚姻関係の破綻」が形成され、それを理由に裁判所が離婚を認めてしまうと、裁判所が、「悪意の遺棄」を許してしまうことになってしまいます。

だから、「悪意の遺棄」が認められてはいけません。

正直に言えば、別居することも、「悪意の遺棄」と認められる可能性があるのですが、「婚姻関係の破綻」を達成するには、別居がどうしても必要です。

別居に加えて、婚姻費用も支払わないと、「悪意の遺棄」がかなり高い確率が認められてしまいますが、別居して婚姻費用を支払えば、ギリギリ「悪意の遺棄」は回避できると思います。

だから、僕は、別居した後、腸が煮えくり返る思いで、婚姻費用を払います。

婚姻費用を払わないと、「悪意の遺棄」となってしまい、自分が有責配偶者となって、最終的なゴール=「離婚」に行き着けないからです。

だから僕は、別居するけれども、婚姻費用を払うという苦渋の決断をします。

実家に戻る形で別居ができればいいですが、賃貸アパートを借りる場合は、家賃と婚姻費用の支払いによって、かなり家計は逼迫しますが、やむを得ません。

離婚のためなら、これくらいの負担は受け入れなきゃいけません。それくらい、僕は離婚したいわけですから。

これに加えて、住宅ローンなんて支払っていたら、住宅ローンと別居するめに借りた家賃とで、本当に毎月の生活は大変でしょうが(だから僕は、ぜったいにマイホームは買いません)、お金の問題じゃありません。

僕の人生にとって離婚が不可欠なわけですから、お金の問題で断念するわけにはいきません。

お金よりも離婚。そう思えたからこそ、僕は離婚を決意しているのです。

ここから先は、また明日書きます。

それではまた明日!・・・↓

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