1つの側面で決めつけちゃいけない
【 自己紹介 】
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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、600日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。
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【 今日のトピック:心理診断 】
僕は今、児童相談所で働いているのですが、児童相談所では、子どもの処遇を決めるために色々と調査・判定を行っています。
例えば、子どもの家族関係を調査します。
虐待を受けているのであれば、虐待者である保護者の生年月日や、その虐待者が実親なのか養親なのか、保護者が離婚しているかどうかなど、そういったことを調べます。
こういった、子どもの家庭環境を調査することを、児童相談所では「社会調査」と呼んでいるんですが、それに加えて、「心理診断」も行います。
児童相談所には心理司もたくさん勤務していて、弊児相には、「心理班」という、心理司さんたちが所属する班も設けられています。
心理学的な所見に基づいて、心理学的な観点から子どもを観察し、どういった子どもなのかを「判定」するのです。
もちろん、あくまで心理学の目を通して観察するだけなので、その子どものすべてがわかるわけじゃありません。
ただ、心理学の所見って、思った以上に、いろんなことを教えてくれます。
で、心理学の目から子どもを見る際に、知能検査を行うことが多いです。
皆さんも、学校で「知能検査」を受けたことはありませんか?
積み木数を数えたり、「仲間はずれを見つけてください」とか、そういった「知能検査」を受けた思い出が僕はあります。
ああいった知能検査を子どもに受けさせて、その子の知能指数を計測するのも、心理判定を行うために必要不可欠な作業です。
「知能検査」と言ってしまうと、テレビでよく見る「IQテスト」を思い浮かべませんか?
僕もかつてはそうでした。
確かに、テレビでよく見る「IQテスト」のような、ひらめきを試すような問題もあるんですが、それ以外にも、「クリミア戦争で従軍し、近代看護教育の母と呼ばれている人物は?」のように、知識を問われる問題もあったりして、人間の知的な能力を、様々な角度から計測するのが「知能検査」です。
で、この「知能検査」は、人間の知的能力を4つに分けています。
・言語理解
・知覚統合
・作動記憶
・処理速度
という4つに区分した上で、「言語性IQ」と「動作性IQ」を算出し、「全検査IQ」を導いて、その全検査IQが90~110であれば、知的な能力が平均域に分布しているので、知的には問題ないということになります。
ただ、全検査IQって、あくまで、↑に書いた4区分の平均をとっただけです。
↑の4区分って、全然違う能力を表していて、その平均をとった上で(全検査IQを算出した上で)、全検査IQが平均域に分布しているからといって、その人が何もかも平均的だと決めつけるのは誤りです。
そもそも、↑の4つの能力は、人間が普段使っている能力という点では共通していますが、それぞれ全く違います。
言語理解は、言語(日本語)を理解していればそれでいいかというと、そうではなくって、語彙の知識や見聞きした抽象的なイメージを自分の言葉で表現できる力、自身の持つ言語的知識を状況に合わせて応用できる能力のことです。
だから、「言語理解」って、まず、色んな言葉の意味を知っていて、その意味を正しく理解して、TPOに合わせて表現できる能力なんです。「語彙」と「表現」が試されていて、当然、「表現」には、表現する場がどういう場なのかを理解する能力も必要とされています。
そして、「知覚統合」ですが、これは、目で見た物と物の関係を捉えて1つに統合する力や、視覚から得た全体の情報をもとに推理・処理する能力を表します。
テストの内容としては、絵の描かれたカードを時系列順に並び替えるようなものが当てはまります。
そして、「作動記憶(ワーキングメモリー)」は、操作・処理するための記憶能力で、例えば、板書をメモする能力です。板書のメモは、先生の言ったことを機械的にメモするのではなく、いったん頭に先生の言葉をインプットした上で、必要事項をメモするという作業なので、いったん作業用に記憶する必要があり、なおかつ、記憶した事項を思い出しながらメモすることが必要になります。
こういった、作業に必要な記憶・表現の能力なので、「作動記憶(ワーキングメモリー)」と呼ばれています。
最後に「処理速度」ですが、これは、単純なルールに基づいて課題を素早く処理する能力で、テスト内容としては、同じ形を瞬時に選び取る作業を繰り返すとか、そういったものになります。
で、ここまでが↑4区分の解説ですが、僕が今日説明したかったのは、↑4区分の意味ではなく、人間の能力は、(心理学的に)4つに区分できるし、なおかつ、その4区分の能力は、ほぼ全員バラバラだということです。
僕の場合、言語理解が129と非常に成績がよかったのですが、しかし、作動記憶は102、処理速度は105と平均的でした。
こういった言語理解と作業記憶・処理速度との差って、統計学的に有意な差があるらしく、それはつまり、僕は、目に見えて、言語理解が、作動記憶や処理速度よりも得意なのです。
「あっそ」くらいのものでしょうが、これは少し困ったことになるというか、誤解を与えてしまいかねません。
というのも、僕は、言語理解の面では、かなり高い能力を発揮できるのですが、作動記憶や処理速度の面では、平均的な能力しかありません。
したがって、僕の言語理解能力を目の当たりにした人たちが、勝手に、他の能力も同じようにめちゃくちゃ能力が高いと思ってしまう可能性があります。
しかし、それは違います。
僕は、言語理解能力が高いだけで、他は普通なんです。言語理解という、1つの側面を見ただけで、勝手にほかの分野でも期待されちゃ困っちゃいます。
僕はそうじゃないよ、ということを言いたいです。
数字で表れているとおり、僕は、言語理解だけが突出しているだけで、ほかは普通なんです。
勝手に期待しないでほしい。
でも、自分を振り返ると、僕だって、誰かの1つの側面だけ見て、他の分野でも同じように、能力が高い(低い)と勝手に想像しちゃっていました。
しかし、これは、完全に誤りです。
というか、心理学の考え方なんか借りなくても、素朴に考えてそうですよね。
「人を見た目で判断するな」ということです。これは心理学的に正しいのです。
1つの側面だけを見て、それ以外についても分かった気になるなんておこがましいのです。
僕は今、あくまで、知的能力に対する心理学の考え方を前提に話していますが、心理検査を日々行っている心理司さんに聞いたところ、各4つの能力がキレイに同じ点数をはじき出すことはまずないそうです。
つまり、人にはそれぞれ得意・不得意があるんです。
めちゃくちゃ当たり前の結論になってしまいましたが、僕は今日、心理学が知的な能力を4つに区分して判定していることと、4区分それぞれの点数が一致することはないということを聞いて、ハッとしたんです。
「1つの能力だけを見て、他の能力も勝手に想像・推測していないか?」
この想像・推測は完全に誤りであることに今日気づきました。
数学が得意で国語が苦手な人がいるのと同じように、話すことがとても得意なのに場の空気が読めなかったり、とても勉強ができるのに話すのが苦手だったりするんです。
人の知的能力は、少なくとも心理学では4つに区分していますが、他にもいろいろと分け方はあるはずで、分け方によって得意・不得意の見え方も変わってきます。
そして、人間の想像力が意外と乏しいことにも思い至っておくべきだと思います。
板書メモは単純作業にも見えますが、しかし、その作業には、いったん頭にインプットするという工程があって、純粋な単純作業とは異なります。
だから、同じ形を瞬時に見つけるという単純作業が得意な人が、同じように単純作業に見える「板書メモ」が苦手だということも十分にあり得るわけです。
人間の想像力・推測力というのは、なんとまあ、お粗末なんでしょう・・・。
・人にはそれぞれ得意・不得意がある
・人間は想像・推測が思った以上に下手くそ
ということを頭に入れておけば、「なんでこれができるのにあれができないの!」というように、自分勝手に決めつけて勝手に怒ったり悲しんだりするという悲劇も回避しやすくなるのかなと思います。
知識はメンタルの安定につながります。
僕はこの知識を得られたので、誰かの一側面だけを見て、他の側面も得意・不得意と安易に考えたりはしなくなりましたし、誰かが自分の期待や想像とは異なる行動を見せたとしても、特に驚くことはありません。
だって、人間の能力は4つに区分できて、それぞれバラバラだからです。
おかげで、また1つ、自分のメンタルを安定に保ってくれる知識が増えました。よかったよかった。
それではまた明日!・・・↓
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