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交通事故の被害にあった場合に弁護士の僕ならどうするか-13(後遺症等級認定)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:交通事故 】

昨日に引き続き交通事故について書いていきます。

今日は「後遺症」の「等級認定」についてお話します。

昨日の最後で書きましたが、「等級認定」とは、「等級」=「ランク」を「認定する」ということです。

後遺症の等級(ランク)は、1級から14級まで区別されていて、1級が最も重く、14級が最も軽いです。

↑のリンク先に表がありますが、前提知識もなくこの表を見ても、いったいどうやって見ればいいのか、ちんぷんかんぷんだと思います。

仮に司法試験に合格していても、交通事故の案件に携わったことがないのであれば、表の見方はわかりません。僕がそうでした。

まず、「別表第一」と「別表第二」がありますが、「別表第一」は、交通事故によって介護が必要になるほどの重篤な後遺症が残った場合です。

ざっくり言えば、「めちゃくちゃに重大なケガを負ってしまった」というケースです。これだけ重大なケガを負う交通事故はかなり珍しく、僕もまだ経験したことありません。

だから、普通は、別表第二を見ます。

今回の設定で、僕は、事故から7か月間整形外科に通院して治療を尽くしましたが、首と腰の痛みが改善しませんでした。

首と腰の痛みが残ってしまったことが「後遺症」に該当するわけですが、この後遺症が、いったい、別表第二のどれに該当するかというと、該当するとすれば、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」、または、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」、この2つのどちらかです。

ただ、基本的に、今回の設定のように、自覚症状しか痛みを基礎づける医学的所見がない場合、後遺症の等級を認定してもらうのは、かなり難しいです。

そもそも、等級を認定するのは自賠責調査事務所という専門機関なのですが、その機関がCT画像や通院経過などを参照して、後遺症の等級を認定するかどうか決定します。

まあ、後遺症の診断書も提出するので、少なくとも、その診断書を作成した医師は、後遺症が残っていることを認めているわけですが、だからといって、自賠責調査事務所が必ず等級を認定してくれるわけではありません。

やっぱり、ポイントは、「改善の見込みがあるかどうか」という点になると思います。

僕は現在31歳なのですが、この年齢で交通事故被害を受け、首や腰の痛みが残った場合、やっぱり、まだ若いので、「改善の見込みがない」とまでは言いにくいと思います。

30歳男性の平均余命(平均して残り何年生きるか)は、約52年です。

つまり、31歳男性である僕には、残り約52年の人生が残されているわけですが、この52年間ずっと、首と腰の痛みが改善されないというのは、かなりの極論でしょう。

例えば、交通事故によって脳に損傷が生じて、再生の見込みがないというような話であれば、後遺症は認められやすいと思います。

程度に重い・軽いはあるにせよ、「後遺症」は、あくまで、「一生改善されない症状」なんです。

医学的所見がなく、根拠が自覚症状のみである首と腰の痛みが、これから52年間ずっと改善されないなんていうのは、なかなか認めにくいでしょう。

僕も、当然、今回の事故では、このことはわかっています。

ただ、後遺症の等級認定は難しいとはいえ、等級認定は申請すると思います。申請しないと、後遺症が認められる可能性すら自ら放棄してしまうことになります。

後遺症の申請方法については、明日書こうと思いますが、なんというか、ちょっと不思議な感じがしませんか?

後遺症が等級認定されると、少なくとも、後遺症慰謝料として110万円が上乗せされるのですが、そうすると、後遺症の等級を認定してもらえるかどうかで、大きく金額が左右されることになります。

これって、少しおかしい感じがします。

本来、交通事故によってケガを負ったことを理由に損害賠償を求める場合、交通事故は千差万別なわけですから、各交通事故の事情に基づいて、金額は決められるべきです。

交通事故では慰謝料も請求できますが、「慰謝料」というのは、精神的苦痛をお金に換算したものです。

ケガをして「痛い」という感情を余儀なくされたり、通院の面倒をかけさせられたりしたことによって精神的苦痛が発生し、それをお金に換算しているわけですが、痛みの感じ方は人それぞれ違うはずですし、通院をどれだけ面倒に思うかも人それぞれです。

通院したことによって、医師と話ができて良い経験になったと思う人もいるでしょうし、入院によってゆっくり休めてよかったと思う人もいるでしょう。

こう考えると、交通事故の損害額は、ケースバイケースに、千差万別で決められるべきにも思えます。

でも、そうすると、同じようなケガを負ったのに、ある人は100万円しかもらえず、ある人は1000万円も貰えたという不公平が発生してしまうことになりますが、これは避けるべきですよね。

だから、不公平が生じないように、基準があるんです。

で、その基準の1つが、後遺症の等級認定の話です。

繰り返しになりますが、後遺症の診断書を医師が作成しているということは、少なくとも、診断書に署名押印した医師は、後遺症の存在を認めています。

しかし、後遺症の等級(ランク)のうち、低くても14級に該当しないと、後遺症を理由に損害額を増額しちゃダメだよね、という基準があって、この基準を日本全国の裁判官が採用しているんです。

もちろん、自賠責調査事務所による認定結果を裁判官がその判定を覆すこともできます。

自賠責調査事務所の判断では等級が認定されなかった(14級にすら該当しなかった)としても、裁判では14級と認定されて、損害額が増額された例もあります。

ただ、裁判官は医学的に素人ですから、自賠責調査事務所の判断を覆すほどの知識は持ち合わせていません。

「覆す」って、本当に難しいんです。「ちょっとおかしいな」と裁判官が思ったとしても、それくらいでは全然足りません。

ちょっとおかしいなという思うフシがあったとしても、基本的には間違っていないのであれば、医学的に素人な裁判官が、それを「覆す」べきではありませんよね。

明らかに認定に誤りがあるだとか、等級を認定するべき証拠が後から出てきたとか、そういった覆せるだけの理由がない限り、自賠責の等級認定結果は裁判でも尊重されます。

今回の設定では、僕が実際にケガを負ったわけですが、僕なら、最後の最後まで争うと思います。

とりあえず生活するだけのお金はあるので、どうせなら、なるべくたくさんお金がほしいからです。

だから、当然、後遺症の等級認定を自賠責に申請しますし、それでダメなら、訴訟を提起して、裁判官に認めてもらおうとします。

それでダメなら諦めますが(笑)。

今日はこの辺にします。明日は、後遺症の等級認定の方法についてお話します。

それではまた明日!・・・↓

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