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目に見えない自治体と目に見える市長

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:自治体の代理人 】

昨日は、「代理人になれること」こそ、弁護士の大切な役割であると書きました。

なぜなら、「代理人の言葉」=「本人の言葉」だからです。

弁護士からすれば、自分の言葉がお客さんの言葉とイコールになることで、とても重たい責任を感じるわけですが、紛争解決の観点から考えると、法的知識を頭に入れた「本人」にいろいろと活動してもらえると非常に便利なわけです。

しかし、本人が法的知識を手に入れることを待っていては、いつまで紛争が終わりませんから、弁護士に「代理人」という立場を与えました。

弁護士が、「代理人」という本人とイコールな立場で、法的知識に基づいて、事件を語らせる。

これが、紛争解決に役立つと考えられています。

「代理人」になる、というのは、社会一般ではかなりレアなんですが(弁護士以外は、法的な紛争について代理人になることは禁止されていて、違反すると犯罪ですからね・・)、弁護士にとっては、代理人になることは日常です。

代理人という立場で紛争を解決するのが、弁護士の仕事であり、日常です。

だから、弁護士にとって、誰かの代理人になるのは「当たり前」なんですが、これが、公務員の立場だと、ちょっと変わってきます。

ここを説明するためには、公務員内部で権限がどのように分配されているかについてお話しなければいけません。

その前提として、自治体の代理人についてお話します。

僕も、児童相談所の常勤弁護士として働き始めていろいろと勉強したんですが、例えば、「福岡市」という地方自治体がありますよね?

「福岡市」は、お金や土地を持っていて、職員に給料を支払ったり、補助金を渡したりしてお金を払っていますし、住民税や固定資産税を徴収したりしてお金をもらったりしています。

このお金って、当たり前ですが、市長の個人財産ではありません。

「福岡市」という自治体のお金です。

ただ、福岡市という自治体は、目に見えません。

え?福岡市は目に見えますか?福岡市は、他の市と区分けされていて、どこからどこまでが福岡市なのかわかるでしょ?という話でしょうか。

いやいや、それは福岡市の土地の範囲を示しているだけで、「福岡市」という自治体は、どう転んでも目に見えません。

福岡市の所有する土地がありますが、それは、「福岡市」として区画されている地面が、その土地を持っているんですか?

地面には人格なんてありませんから、地面が土地を持っているなんておかしいですよね。

やっぱり、「福岡市が土地を持っている」「福岡市がお金をもっている」という文脈には、目に見えない「福岡市」という存在を観念するほかありません。

目に見えない「福岡市」が、土地やお金を持っていて、お金を支払ったりお金をもらったりしています。

ただ、「目に見えない、目に見えない」と言っているだけでは、何もできません。誰か、目に見える存在が、福岡市の代わりにお金を支払ったりお金をもらったりしなきゃいけません。

これが、福岡市長の役割です。

ここでも、「代理」を使います。例えば、福岡市長が、福岡市の代理人として固定資産税を徴収したとしましょう。

実際に現金を受け取っているのは福岡市長その人なんですが、福岡市長が手に握りしめている現金は、福岡市長がその晩飲みに行って使えるわけではありません。

いくら、福岡市長本人が握りしめている現金であっても、それは、福岡市長が、福岡市という自治体の代理人として徴収したわけですから、福岡市という自治体のお金であって、福岡市長個人のお金(=ポケットマネー)ではありません。

こんな感じで、誰か目に見える人間が、目に見えない福岡市の代わりに、福岡市の手足となって、契約を結んだりお金を支払ったりしなきゃいけなくて、それができるのは、基本的に市長たった1人なんです。

福岡市の代理人になれるのは、市長のみ。これが、原則です。

会社も同じなんですが、会社の代理人になれるのは、代表取締役(俗に「社長」と呼ばれています)のみです。

それ以外の人間は、会社の代わりに契約を結んだり、会社のお金を支払ったりすることはできません。

ただ、市長が、自治体業務を何もかもしているわけではありません。僕が言うまでもありませんけど。

会社の社長と同じように、市長だって、いろんな業務を従業員(=職員)たちに任せていて、任せているからこそ、膨大な業務をこなせているわけです。

じゃあ、「福岡市の代理人になれるのは市長だけ」という原則はどこへ行っちゃったんでしょうか。

ここは、明日また説明します。

それではまた明日!・・・↓

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