見出し画像

弁護士は「代理人」になれる

【 自己紹介 】

プロフィールページはこちら

このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

毎日ご覧くださってありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:「代理人」 】

昨日は常勤弁護士と顧問弁護士の違いについて書きました。

僕は今、児童相談所の常勤弁護士として働いていますが、ざっくり言えば、常勤弁護士は公務員で、顧問弁護士は民間人です。

公務員として、毎日定時出勤・定時退社(じゃない日も多いですが)を繰り返すのが常勤弁護士で、顧問弁護士は、毎月顧問料をもらっていて、いざ事件を処理する場合は別料金をもらいます。

顧問弁護士は、顧問料をもらうだけもらって何もしていないかというとそうではなくて、毎月定期的に法律相談の時間を設けたり、緊急で相談が必要な場合に相談にのったりしています。

相談にのるまでは顧問料の範囲内なんですが、いざ、代理人として活動する場合は、別料金です。

で、今日のテーマは、この「代理人」です。

つい最近まで、親権者が子どもの代理人であることについて、いろいろと書いてきました。

親権者は子どもの代理人になれると法律に書かれていて、だからこそ、親は、子どもに代わって、預金口座を開設することができます。

弁護士も、代理人になれると法律に書かれているんですが(ただ、実際にその人の代理人になる根拠は、弁護士がお客さんとの間で結ぶ委任契約です。委任契約を結ぶからこそ、弁護士は、お客さんの代理人になることができます。親権者は、契約なんて結ばなくても自分の子どもの代理人ですから、契約の有無がが親権者と弁護士は違います。)、むしろ、弁護士以外は、報酬をもらって代理人になることはできません。

したがって、代理業務って、弁護士の独占市場なんです。

正確に言えば、「法的な紛争に関して」、弁護士以外が報酬をもらって代理人になることはできません。

だから、弁護士法を読む限り、法的な紛争でなければ、弁護士以外が代理人になってもオッケーです。

例えば、よくあるのは、銀行からお金を借りようとしたら連帯保証人を要求された場合に、借主本人が銀行からの借入契約(金銭消費貸借契約)を結ぶ際に、連帯保証人の代理人として連帯保証契約も結んでしまう、というのがあります。

連帯保証人の欄って、だいたいは、借主本人が署名押印する欄と並んでいて、素人目には、ひとつの契約に見えたりもするんですが、実は、借入契約と連帯保証契約の2本なんです。

契約が2本で、当事者が違います。

・銀行⇔借主本人

・銀行⇔連帯保証人

銀行が当事者であることは共通しているんですが、ただ、借主本人と連帯保証人で当事者は違います。

だから、本来は、借主本人と連帯保証人それぞれが署名押印しなきゃいけません。しかし、借主本人が、連帯保証人から事前に承諾をもらって、連帯保証人の代わりに署名押印することもできます。

連帯保証人の代理人として契約を結ぶわけです。

事前に連帯保証人からOKをもらっているわけですから、当然、連帯保証人との間で契約は成立します。

借主本人が署名押印していますが、契約の当事者になるのは、連帯保証人であって、署名押印した借主本人ではありません。これが、「代理」の意味です。「効果帰属」っていうやつです。

連帯保証人からOKをもらって署名押印するのは、法的な紛争に関して代理人になったわけではないので(しかも、たいていは代理人である借主本人に対して連帯保証人が報酬を支払わないでしょう。むしろ、連帯保証人がお金をもらいたいくらいです・・・。)、弁護士法違反ではありません。

こんな感じで、弁護士以外が代理人になることもありますが、しかし、法的な紛争に関して、報酬をもらって代理人になれるのは、弁護士だけです。

弁護士以外の人が、法的な紛争に関して、報酬をもらって代理人になると、弁護士法違反です。罰則(2年以下の懲役又は300万円以下の罰金)も用意されています。

さて、いろいろ書いてきましたが、弁護士の強みって、この「代理人になれる」なんです。

法的な紛争に関して、報酬をもらって代理人になることができる。これこそ、弁護士という資格の持つ、最大の強みと言ってもいいでしょう。

代理業務が弁護士の独占市場になっている、という経済的な側面もあるのでしょうが、しかし、代理人として活動できることは、いわば、「本人と同格」と扱われることを意味します。

そもそも、法的な紛争って、めちゃくちゃこじれにこじれています。

そのまま放置していても、解決するものも解決しません。

そんな、いわば「最高レベルのケンカ」を収めるのが弁護士の役割です。もちろん、弁護士は裁判官ではなく、あくまで、お金を払ったお客さんの味方です。

ここが崩れることはありません。

しかし、代理人ということは、本人と同格ですから、「代理人が話したこと」=「本人が話したこと」になります。

本人に言わせるがままだと、全く法的に整理されず、言いたいことを言いたいだけ話してしまいますが、弁護士が代理人になると、言い分をキレイに法的に整理して話してくれます。

その結果、紛争解決が進みます。

素人が素人のまま話していると、紛争解決が進みません。法律は、紛争の終わらせ方を用意しているのですが、その知識がなければ、絵に描いた餅です。

終わるもんも終わりません。

弁護士をつけると、法的な知識に基づいて、紛争解決を進めることができます。

弁護士は、法律が用意している「紛争の終わらせ方」を知っていて、その終わらせ方に従って、紛争を終結に向かわせることができます。

その際に、弁護士が「代理人」であることがめちゃくちゃ重要で、だって、「代理人」だからこそ、「本人の言葉」として扱うことができるんです。

代理人でなければ、「本人の言葉」として扱うことはできません。

弁護士が「代理人になる」ということは、いわば「本人が法的知識を手に入れて、事実や主張を語っている」という状態を作り出すことができて、これが、非常に紛争解決を前に進めるんです。

こんな感じで、「代理人である」ことは、紛争を解決するという、弁護士に社会が求めている役割を果たす上で必要であり、だからこそ、弁護士も、代理人になれることを誇りに思っています。

ただ、この「代理人になれる」が、顧問弁護士と常勤弁護士では、かなり大きく違ってくるんです。

というか、民間人である顧問弁護士は代理人になれて、イチ公務員でしかない常勤弁護士は代理人になれないんです。

ここについて、明日また少し話を進めようと思います。

それではまた明日!・・・↓

*:;;;:*:;;;:*:;;;:*:;;;:*:;;;:*:;;;:*:;;;:*:;;;:*:;;;:*

TwitterFacebookでも情報発信しています。フォローしてくださると嬉しいです。

昨日のブログはこちら↓

僕に興味を持っていただいた方はこちらからいろいろとご覧ください。

━━━━━━━━━━━━

※内容に共感いただけたら、記事のシェアをお願いします。
毎日記事を更新しています。フォローの上、毎日ご覧くださると嬉しいです。

サポートしてくださると,めちゃくちゃ嬉しいです!いただいたサポートは,書籍購入費などの活動資金に使わせていただきます!