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児童福祉法を読んでみる

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、600日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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法律に関する記事は既にたくさん書いていますので、興味のある方は、こちらにテーマ別で整理していますので、興味のあるテーマを選んでご覧ください。

【 今日のトピック:児童福祉法 】


法律って、法律の書き方のルールに従って書かれています。

日本では、法律のほとんどが官僚によって作成されていますが、その官僚たちが、一定のルールに則って法律を書いているわけです。

だから、実際に法律を作っている官僚たちは、こういった「法律の書き方ルール」に非常に精通しています。

これに対し、僕ら弁護士は、作られた法律を読む側なので、作る側ほどは、法律の書き方ルールには精通していません。

実のところ、弁護士って、毎日新しい法律を読むわけではなく、既に知っている法律を読むことが多いので、あんまり法律の読み方に精通する必要はありません。

知っている条文ですから、読み方を新しく知る必要はなく、既に知っています。

とはいえ、知らない法律を読むことも当然あって、その際は、イチから知らない法律を読むことになるので、法律の読み方ルールを引っ張り出して、うんうんうなりながら読んでいます。

その「うんうんうなりながら読む」の一例として、児童福祉法27条1項2号を少し見ていこうと思います。

その条文を↓に引用してみました。

第二十七条 都道府県は、前条第一項第一号の規定による報告又は少年法第十八条第二項の規定による送致のあつた児童につき、次の各号のいずれかの措置を採らなければならない。
二 児童又はその保護者を児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体の事業所若しくは事務所に通わせ当該事業所若しくは事務所において、又は当該児童若しくはその保護者の住所若しくは居所において、児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事、児童委員若しくは当該都道府県の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県が行う障害者等相談支援事業に係る職員に指導させ、又は市町村、当該都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター、当該都道府県以外の障害者等相談支援事業を行う者若しくは前条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める者に委託して指導させること。

めちゃくそに長くて驚きましたが、これくらいの長さの条文は、新しめの法律だと結構「あるある」です。

こういう、めちゃクソに長い条文は、分解しながら読んでいくのが鉄則です。

①児童又はその保護者を
②児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体の事業所若しくは事務所に通わせ当該事業所若しくは事務所において、
③又は当該児童若しくはその保護者の住所若しくは居所において、
④児童福祉司、知的障害者福祉司、社会福祉主事、児童委員若しくは当該都道府県の設置する児童家庭支援センター若しくは当該都道府県が行う障害者等相談支援事業に係る職員に指導させ、
⑤又は市町村、当該都道府県以外の者の設置する児童家庭支援センター、当該都道府県以外の障害者等相談支援事業を行う者若しくは前条第一項第二号に規定する厚生労働省令で定める者に委託して指導させること。

こういう風に分けるのですが、こう分けるのも、「法律の読み方ルール」にある程度精通していないと、なかなか難しいと思います。

分け方の基準の1つとして、「又は」と「若しくは」の使い分けがあります。

「又は」は大区分で「若しくは」は小区分とでもいいましょうか。そして、「又は」は重複ダメで「若しくは」は重複オッケーという使い分けもあります。

↑の①~⑤をよーく読んでいくと、「若しくは」は何度も出てきますが、「又は」は、①~⑤それぞれで、1回しか出てきませんよね。

それは、「又は」の重複が許されないからです。

ただ、同じ条文の中で、「又は」を1回しか使えないわけではなくって、↑を見てもわかるとおり、「又は」は何度も出てきます。

「又は」を再び使えるのは、項目が変わるからです。「項目」というのは、例えば、その条文の適用対象とか、場所とか、そういう感じです。

具体的に説明すると、

①には「児童又は保護者を」と書かれていますが、これは、この条文の適用対象人物を確定させています。

「誰に適用されるか」を決めているのが、①の部分です。

そして、次に、②と③が「又は」でつながっています。

②児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体の事業所若しくは事務所に通わせ当該事業所若しくは事務所において、
又は
③当該児童若しくはその保護者の住所若しくは居所において、

という感じで、②と③は、最後が「において」と書かれているように、「場所」を確定しています。

もう少し、②と③を分析すると、②は、

ⅰ児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体
ⅱの
ⅲ事業所若しくは事務所に通わせ
ⅳ当該事業所若しくは事務所において

という4つに区分されます。

ⅰを説明するためには、「その他の」の使い方について解説しなきゃいけません。

実は、「その他」と「その他の」は、法律では明確に書き分けられています。

「その他の」を使う場合、「その他の」前に置かれる単語は、「その他の」後に置かれる単語の例示となっています。

したがって、「Aその他のB」という場合、AはBの例示です。

で、この「例示」が何を意味するかと言うと、結局、「その他の」の後に続く単語(=B)が何を意味するかが大切であって、「その他の」の前に位置する単語(=A)は、Bを解釈する際の指針でしかありません。

だから、「児童相談所その他の関係機関若しくは関係団体」とは、「例えば児童相談所のような、関係機関若しくは関係団体」という意味になります。

本当に細かい話なんですが、「児童相談所」は、あくまで例示でしかないので、大切なのは、「関係機関若しくは関係団体」が何か、なのです。

これが、「児童相談所その他関係機関若しくは関係団体」という書きぶりであれば、「並列」といって、児童相談所と「関係機関若しくは関係団体」は別枠となります。

「その他の」であれば、例示なので、「関係機関若しくは関係団体」に児童相談所は含まれるのですが、「その他」であれば、両者は別枠なので、児童相談所は「関係機関若しくは関係団体」に含まれません。

めちゃクソに細かいですよね(笑)

ここまでがⅰで、ⅰとⅲが、「の」でつながっています。ⅰとⅲが「の」でつながっていることの意味は、以下の4つをいっぺんに表現するためです。

・関係機関の事業所
・関係機関の事務所
・関係団体の事業所
・関係団体の事務所

ⅰとⅲを「の」でつなげることで、↑の4つをいっぺんに表現することに成功しているわけで、読む側としては、↑の4つをいっぺんに表現していることを読み取らなきゃいけないのです。

で、忘れちゃいけませんが、ⅲには「通わせ」と書かれているので、↑の4つのうちのどれかに(複数でも可)「通わせ」るのがⅲです。

その後、ⅳ「当該事業所若しくは事務所において」となっていますが、ⅲに「通わせ」と書かれていることを踏まえると、↑の4つの事業所又は事務所に通わせた上で、その通わせた「事務所又は事務所」を、場所として確定させています。

今日はこの辺にします汗。

あんまり深く考えずに書き始めてしまいましたが、驚くほど説明に時間がかかるようです。

続きはまた明日書きます。

それではまた明日!・・・↓

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