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交通事故の被害にあった場合に弁護士の僕ならどうするか-17(弁護士費用特約)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:交通事故 】

昨日に引き続き交通事故について書いていきます。

さて、昨日は、後遺症等級認定の方法について書きました。

「後遺症」とは、「一生改善の見込みがない病状」を意味しますが、後遺症が存在することは、医師が作成した「後遺症診断書」によって根拠付けられます。

医師が署名押印して、「後遺症が残存しています」と書面に残してくれているわけですから、少なくとも、その医師が後遺症の存在を認めたことは間違いありません。

(なお、医師が後遺症診断書すら作成してくれなければ、後遺症の存在を認めることはできないでしょうし、万が一、後遺症診断書に、「改善の見込みがある」なんて書かれてしまうと、後遺症ではないことを医師本人が認めてしまっていることになるので、後遺症が認められる可能性はゼロです。)

後遺症があると、損害賠償額が増額されることになるんですが、ただ、増額のためには、後遺症診断書だけでは不十分で、後遺症が「等級認定」されなければいけません。

「等級」とは、「ランク」ですが、後遺症のランク(1級~14級)のうち、どれかに該当して初めて、後遺症を理由に損害額を増額することができます。

で、後遺症のランクを決める手続きがあって、それが、「事前認定」と「被害者請求」でした。

「事前認定」は、加害者の加入する任意保険の保険会社が、後遺症の等級を自賠責の保険会社に確認する手続きです。

「事前」という言葉がついているのは、普通だと、任意保険会社が被害者に保険金を払った後に、自賠責保険会社から自賠責保険金を回収するんですが、後遺症については、事前に自賠責の意向を確認しておくことで、「払ったのに自賠責からは貰えなかった!」という事態を防ぐからです。

任意保険会社が被害者に保険金を支払う「前に」、後遺症の等級について自賠責保険会社にお伺いを立てるので、「事前」認定と呼ばれています。

「被害者請求」は、被害者が直接、自賠責保険会社にお伺いを立てます。

ただ、正面から、「後遺症は何級ですか?」と問い合わせるのではなく、「後遺症慰謝料を払え」と請求し、その請求に対して自賠責保険会社が返答する中で、後遺症の等級が認定される、という仕組みになっています。

だから、被害者「認定」ではなく、被害者「請求」という言葉遣いになっています。求めているのはあくまで保険金の支払いであって、後遺症の等級認定を最終目的にはしていないからです。

(事前認定では、任意保険会社が保険金の支払いを求めていません。あくまで、後遺症の等級について意見を聞くだけで、自賠責からの支払いは、任意保険会社が被害者に保険金を支払った後です。だから、事前「請求」ではなく、事前「認定」と呼ばれます。)

被害者からの請求に対し、自賠責保険会社が保険金を支払えば、それは、後遺症の等級を認定したことになります。

保険金を支払わなければ、それは、後遺症の等級を認定しなかったことになります。

保険金を支払うにせよ、支払わないにせよ、自賠責保険会社から、後遺症の等級認定について書面で回答があります。

まあ、「自賠責保険会社からの返答」というよりは、自賠責保険会社から委託を受けた自賠責調査事務所の調査結果が、自賠責保険会社を通じて送られます。

自賠責調査事務所が後遺症の等級を認定したかどうかという結論と、その結論に至る理由が記載された書面が送られてきます。

その回答書面に納得できるかどうかが、ここからの分かれ道です。

今回の設定の場合、僕の見立てとしては、後遺症の等級が認定される可能性は低いです。

首と腰の痛みが残存していることは、ケガした僕本人としては間違いないことなんですが、ただ、それを根拠付けるのは自覚症状のみですし、症状固定時に31歳である僕が、これから平均して52年間も生きるにもかかわらず、その52年間ずっと症状が残り続けると認めてくれる可能性は、残念ながら低いと言わざるを得ません。

そこで、僕だったら、等級認定の見込みが低いからこそ、「事前認定」ではなく、最初から「被害者請求」を行って、最善を尽くします。

事前認定でもいいんですが、しかし、事前認定で「等級認定しません」という結果が出てしまうと、その結果が出たという既成事実が残ってしまいます。それは、僕にとってよろしくないですし、その可能性もかなり高めです。

だから、最初から「被害者請求」で行きます。

この被害者請求の結果、後遺症が等級認定されたら、バンバンザイです。

今回の後遺症(首と腰の痛み)は、後遺症等級のうち、当てはまるとするなら、14級9号(「局部に神経症状を残すもの」)なんですが、この14級9号に該当すると認められたら、それで大満足です。

その認定結果を前提に、加害者の加入していた任意保険会社(あいおいニッセイ)と交渉を進めます。

ただ、今回は、後遺症等級が認定されなかったとしましょう。

認定されなかった場合、僕ならどうするか。

僕なら、弁護士費用特約を使って、訴訟を提起します。

「弁護士費用特約」とは、自分が被害者となった交通事故で損害賠償を請求する際、弁護士費用を保険会社が代わりに支払ってくれる補償です。

弁護士費用を支払う保険会社は、自分の加入する自動車保険の会社です。

僕は、損保ジャパンの自動車保険に加入しているので(設定上の話です)、損保ジャパンが、僕の依頼した弁護士に対して、僕の代わりに弁護士費用を払ってくれます。

もちろん、弁護士費用特約を付けると、自動車保険の保険料は増額されますが、1ヶ月あたり数百円ほどです。この程度の負担なら、僕は付けます。自分がどんな交通事故に遭遇するかわかりませんし、自分のことだからこそ冷静さを失ってしまう可能性も高いので、弁護士から適切なアドバイスを受けたいからです。

弁護士費用特約は、別に、訴訟を提起しないと使えないわけではありません。

相手の保険会社との交渉を依頼するときにも使えますし、依頼する前の相談の段階でも使えます。

弁護士費用を特約を使えば、その交通事故については、無料で弁護士に相談できるわけです。

依頼せず、相談だけで終わっても、相談料は損保ジャパンが代わりに支払ってくれます。相談した弁護士に損保ジャパンの担当者の連絡先を伝えれば、その弁護士が損保ジャパン宛に相談料を請求しておいてくれるので、全く無料で相談ができます。

僕なら、こういった弁護士費用特約を使って、損害賠償の請求を弁護士に依頼します。

今日はこの辺にします。明日も、もう少し弁護士費用特約の話を続けます。

それではまた明日!・・・↓

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