弁護士の僕ならこうやって立退きに対処します-7(立退料の目安)
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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。
僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。
ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。
あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。
ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。
【 今日のトピック:賃貸物件の立退き 】
今日も、引き続き、立退きについて書いていきます。
さて、昨日は、「僕だったら、大家さんが立退きを求めている理由を大家さんから聞き出します」ということをお話しました。
家賃を滞納していない借主に対して、法的に立退きを請求するためには、「正当の事由」が必要なのですが、「正当の事由」の有無は、①大家さんが立退きを求める事情と②借主が住み続けたい事情を比べて、①が②を上回ることが必要、ということでした。
だから、借主としては、②は自分のことなのでよくわかっていますが、①は大家さん側の事情なので詳しくは知らないので、「正当の事由」の有無を判断するために、大家さんから聞き出す必要があります。
大家さんから直接聞き出したり、管理会社の担当者から聞き出したりして、①大家さんが立退きを求める理由を、僕だったら知ろうとします。
それで、大家さん側から、「近くにたくさん新しいアパートができて、老朽化が進んだこのアパートは入居者が減っているし、そうすると、家賃を下げなきゃいけなくなるけど、そうすると、修理費も含めて利益が出なくなるから、そうなるくらいなら建て替えて新しいアパートを作って、そのアパートで改めて入居者を募集しなきゃいけないんだよね」なんて事情が聞き出せたとしましょう。
そうなると、ひとり暮らしの僕は、「正当の事由」が最終的に具備されちゃうだろうな、と考えます。
まあ、僕だったら、「具体的に収益が出なくなるって、どれくらい差が出るんですか?」と一応は聞くと思います。
かなりプライベートな情報なので、そこまで教えてくれるかどうかはわかりませんが、教えてくれる範囲で聞き出すでしょうね。
僕は立退きを求められている張本人ですから、「なんとなく」で、具体的な説明もないまま立ち退かされるのは納得できないからです。
とはいえ、大家さんがかなり具体的かつ真剣に立退きを考えているので、最終的に、立ち退かなきゃいけないことは受け入れるでしょう。
ただ、最終的に「正当の事由」が認められてしまうとしても、それは、あくまで「立退き料」を貰う前提です。
立退き料の支払いもなく「正当の事由」が具備されるのは、過去の判例を見る限り、かなり限定的なので、「立退き料」はきちんともらおうと思います。
立退き料を貰うためには、「僕は簡単に立ち退きませんよ」と大家さんに思わせなきゃいけない、ということは昨日書きましたが、ただ、じゃあ、「具体的に立退き料はいくらくらい貰えるのさ?」という疑問が次に浮かんできます。
立退き料の基本は、「次の物件の初期費用」+「引越し費用」です。
「立退き料」とは、借主が引っ越すことによって被る金銭的な損失を補填するお金です。
次の物件に引っ越す際は、次の物件を契約する際に初期費用が必要になりますし、引越し費用を引越のサカイやアート引越センターに依頼するお金が必要になるので、この2つは基本的に請求できます。
「初期費用」は、同じ地域の同じような間取りのアパートをインターネットで検索すれば、すぐに算定できますよね。
引越し費用も、インターネットで検索すれば、すぐ出てくると思います。
そして、もう1つ、立退き料として請求できるかもしれないのが、「家賃差額」です。
同じような物件に引っ越すと、家賃が高くなることもありますよね?
立ち退いたことで、より高額な家賃を払わざるを得なくなったのであれば、その差額も、立退き料として請求できることもあります。
ただ、家賃が高くなったのであれば、その家賃に見合うような物件に住むことができているわけで、家賃の差額を「損失」と評価できるかどうかは微妙です。
家賃6万円の物件から家賃7万円の物件に引っ越したのであれば、家賃7万円相当の部屋に住んでいるのは間違いないので、家賃7万円を支払うべきとも考えられます。
確かに、家賃7万円の部屋に住まなきゃいけなくなったのは、大家さんが立退きを求めたことが原因でしょうけど、実際に家賃7万円の家に住んで、それだけの価値を提供されているにもかかわらず、前の物件の家賃との差額を大家さんに負担させるのは、うーん、なかなか難しいと思います。
だから、家賃との差額を大家さんに負担させることができるにしても、まあ、3か月とか半年とか、それくらいだと思います。
ただ、じゃあ、最初から家賃との差額を諦めなきゃいけないかというと、そうではなくて、自分なりに立退き料の金額を計算して、大家さんに提示すればいいんです。
僕だったら、大家さんから立退きを求められた場合、最初は無視しますが、その後、説得を試みられたら、自分なりに立退き料の金額を計算して、提示します。
「仮に立ち退くとしても、次の物件の初期費用が50万円で、引越し費用が20万円、家賃との差額が毎月1万円あるので、それを2年分、合計84万円払ってくれたら、立ち退いてもいいですよ」なんて言うかもしれません。
それか、もっと強気に、「立ち退くとなると、僕自身が、次の物件を探したり、引っ越したりする手間がかかるので、その手間賃も含めて、100万円払ってくれたら、立ち退いてもいいですよ」と言ってもいいかもしれません。
こういう提示をすれば、次は、大家さん側から返答があります。
大家さん側にも、立退き1件あたりにかけらる予算があるはずなので、その範囲内なら立退き料を払ってくれるでしょう。
でも、予算の範囲外なら、減額を要求されます。
それに応じるかどうかは、僕次第です。僕だったら、初期費用+引越し費用を下回る金額では納得しないと思います。
あの、一応言っておくと、↑の「50万円」と「20万円」も、高めに言ってますよ(笑)。
本当は、初期費用が、敷金14万円、礼金14万円、仲介手数料7万円、家賃2ヶ月分14万円だとすれば、このうち、純粋な「損失」は、礼金と仲介手数料だけです。
敷金は後で返金されますし、家賃2ヶ月分は住むためには必要なお金です。
そうすると、礼金14万円+仲介手数料7万円=21万円と、本当の引越し費用7万円くらいが貰えれば、それでいいかもな、と思います。
ひとり暮らしの僕が、最終的に、立退きを拒めないのであれば、裁判などでめちゃくちゃ時間をかけるくらいなら、さっさと立ち退いて、次の生活をスタートさせたい、と思うような気がします。
今日は、これくらいにします。
明日は、交渉が決裂した場合についてお話したいと思います。
それではまた明日!・・・↓
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