見出し画像

令和の歳時記 ロウバイ

ロウバイの花を近くで眺めているとうっとりした気分になり、時間が経つのも忘れてしまう。

理由はロウバイから放たれる甘美な香りのせいだ。チョコレート、いやキャンディーか、とにかく甘ったるくてお菓子の家に来たような錯覚すら覚える。

ただあまりにも濃厚な香りのため、長時間嗅ぐと気分が悪くなるという人がいるのも理解できる。ロウバイの花は遠くから観賞する花だと言われている。

ロウバイ1

花びらが珠状になってびっしりと枝にひっついて咲いているから、遠くから見ると黄色い桜のようで美しい。

近寄って観察すると、珠状ではなく細長い花びらが申し訳なさそうに下に向かって咲いている。大きさは約2センチくらいで黄色。は淡い紫色を帯びている。

ロウバイは中国原産の花で、江戸時代に朝鮮から日本に観賞用として入って来た。当時から高貴な人たちに人気があり寒い冬の間ロウバイを眺めて至福の時を楽しんだらしい。

ロウバイ1のコピー

ただ不思議なことにこの花を季語に詠った有名な短歌や俳句が見当たらない。ロウバイを漢字で書くと『蝋梅』となる。

梅という字が入っているが梅の仲間ではない。名前の由来は蜜蝋の色とか半透明のロウ細工に似ているとか、蝋月(陰暦の12月)に梅に似た花を咲かせるからとの諸説がある。

ロウバイ2

触った感触は柔らかい。甘い香りがするので花粉を舐めてみたが特に味はしない。寒い冬にこれだけ強烈な香りを放つ理由は何故なのか疑問を持った。

植物が臭いを発するのは第一に受粉活動のためにある。臭いで昆虫をおびき寄せ花粉を運んでもらうためだ。

でも今は精力的に活動している虫などいない。元気の良いミツバチですら飛んでいない。

だからこの香りはなんのために出しているのかさっぱり検討がつかない。しまいにはこの花の甘美な香りの魔力に引き込まれ、香りの謎について考えるのをすっかり忘れてしまった。

分布●日本全土の庭木として植えられている
生息地●市街地の公園や庭、平地から標高の低い山地の林、湿原などに生息
花期●1 - 2月  
大きさ●2〜4mほど
学名●Chimonanthus praecox
和名●ロウバイ(蝋梅、蠟梅)

ロウバイ2のコピー


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?