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【小説】生かされているということvol.16

時刻は、6月17日(木)18時15分過ぎ。

妻と娘の感動の再会となるはずだったが、娘は入院着の妻を見て気をつかっているためか、ベッドの上に上がることさえしなかった。


倒れているところや心臓マッサージをされているところを見て、また、たくさんの管につながれている様子をみているからこその反応なのかもしれない。3歳4か月の娘に我慢させてしまっているのが、夫婦ともに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


終始しっかりとベッドの上で抱っこされることなく面会時間は終わった。






その後、1つ目の病院を退院するまでは、私は7時にお見舞い、5時半に子どもを保育園に迎えに行き、6時には子どもを連れて妻の病室を訪れる日々が続いた。娘もだんだんベッド上に行き甘える様子が見られていた。


個室に移ってからは心配していた短期記憶も定着するようになってきた。ただ、急に心拍数が100を超えることは多々あった。



何事もなく退院し、大学病院に転院できることを祈っていた。













そして、無事転院の日を迎えた。

時刻は、6月22日(月)8時。


隣の市の大学病院に移るということで、救急車での移動となった。


妻は、「申し訳ない気持ちでいっぱい」と言っていたが、おかげで無事に移動もできた。



転院当日にドクターから話を受けて、手術内容と術日が決まった。


ペースメーカーを入れると思っていたが、まだ若いことと今回の心房細動の原因が心臓が弱ったことではないこともあり、オススメされなかった。

むしろ、今後50年生きるとして、電池交換のたびに感染リスクが高くなっていくこと。ペースメーカーは血管にリード線を入れるので、感染すると重篤なことになることを説明受けた。


ということでペースメーカーではなく、S-ICDをいれることになった。簡単にいうと埋め込み型AEDだ。

皮下に埋めることで、感染リスクが少ないこと。また、心臓のペースを整える必要はないからこれで十分であることを説明を受けた。





いよいよ手術日の6月24日となった。


妻は緊張していた。いまからメスを入れられ、機械が入るのだ。

私はできるだけのことはしてあげたいと思い、ぎりぎりまで病室にいた。






看護師さんが来て、準備をし始め、そして手術室まで移動することになった。


しばしのお別れ。


左脇下にポケットを作りS-ICDを入れる手術だ。1時間程度で終わるということだった。


「頑張って」と送りだした。



心臓にリード線をいれるペースメーカーの手術とは違うため、安心していた。




時刻は、6月24日午前11時だった。

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