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4月某日

たっぷり寝ようとたくらんだけれど6時に目が覚める。

曇り空。心情だけで言えば休日の雨は好き。
洗濯物が干せないことはもどかしい。

起き抜けにチョコをつまんでベッドに戻り読書。
最近は読書しながら心動いた場所に付箋を貼る技術を身につけた。
自分だけの体験になったような気になるけれど、人に貸すとなると恥ずかしい。

週末に洗濯をしておいたのと、今週はほとんど米を食べなかったのでまとめての炊飯は休みとした。

だらだらと過ごして、美容院へ行く前に栞日でシナモンドーナツを食べようと早めに家を出る。

朝は肌寒かったのに、晴れ間の日差しは容赦なく、自転車を走らせながらアイスコーヒーも追加すると決める。

栞日に着くとドーナツは無かった。クッキーを頼み、会計のあと、この後ドーナツは出ますかと聞くとこのあと揚げる予定とのこと。

希望であれば今から揚げますよと言ってもらい、テイクアウトでお願いする。
「先に案内せずすみません」と謝られるがとんでもない事だ。恐縮して謝り合う。

独り占めの二階で、アイスコーヒーを飲み終え帰り際にドーナツを受け取る。
「まだ少し暖かいです」と言いながら渡される。出来立てのあたたかい食べ物を出す時、人は少し自慢げだと思う。
喜んで受け取る。

美容院の時間になり出向く。
飲み歩くのが好きな美容師さんとは2年ほどかけてきゃいきゃいと話せるようになった。
街は狭く、先日ついに居酒屋で鉢合わせた。
土地に根付くような感覚を嬉しく感じる一方で、この人との関係がもし悪くなったら、この店やこの場所、そこに付随して関係している人たちとの関係も途切れるのかといつも少し怖い。

ダブルワークを始めたので、週末に予定が入れづらく、次回の予約をお願いする。
自由に使える時間がなくなると人は決定に時間を割かなくなるのかと感心した。

靴下を買いに向かっていると、向かいから学生らしき坊主頭が自転車が走ってきた。
すれ違いざまに「め〜〜っちゃいい曲〜」と一人ごちていて、そりゃあ良かったなと思ったと同時に、おそらく私の後ろを歩いていた人が「そりゃあようござった」と言っていたのが聞こえ、坊主頭の少年はその瞬間に居合わせた少なくとも二人の心を溶かしたのだ。偉大だと思った。坊主頭の少年よ永遠なれ。

すっかり気持ちが嬉しくなって、靴下を6足買い、そのあと3足追加で買う。3足1,000円なのだ。
袋を用意してもらいながら、流石に気恥ずかしく、店員さんに「ワンシーズン分買っちゃいました・・・」と言うと、選んだ9足をみて「無地とカラフルと柄物、すごくいいバランスですね!」と返してもらえた。

店員さんに優しくされるととても嬉しい。今日は人と関わって嬉しいことばかりだった。
こちらに越してきてそういう機会はたびたび増えた。引っ越してきて良かったと思う事の一つだ。

焼き魚が無性に食べたくなっていたので、焼かれているホッケを買い帰宅。
道すがら古賀及子さんとブルボン小林さんのpodcastを聴いていると、リスナーの言葉への鋭い考察に感心する。
先週は旅の旅情を感じる瞬間についてのメールで、旅先で見るその土地の天気予報というものがあって、それにも感銘を受けたと言っていいほどの感動があった。

情景に、言葉にこれほどに興味深く目を凝らしている人が出会わずとも多くいるという事は、手ぐせで書き付けられる文章をうがって見てしまうような自分としてはとても救いだなと感じる。

明日は好きな人に会いに行く。

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