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6月ある日

昨日は怒りを宥めるように若松英輔氏の「悲しみの秘義」を読みつつ眠りにつく。

「悲しみの秘義」は8年前、本の師匠が注目していたのがきっかけで手に取った。業界全体でも小爆発を起こしていたと記憶している。
今では文庫本が出ているけれど、ナナロク社が単行本として発売した時、カバーが6種類あった。
発売まもなく話題になり初版を買いそびれ、二刷りができた時にももう店頭には2冊しか残っていなく、友人と1冊ずつ購入した。
そんなだから6種類のカバー全てを見たわけじゃないけれど、コシラエルのひがしちかさんが描いた一枚絵をトリミングして6パターンのカバーを作ったと後のトークイベントで聞いたのを、当時目から鱗が落ちるような感覚で聞いていた。

数日前から武田百合子氏の「ことばの食卓」を読み返していて、昔読んだ本を読み返す面白さを感じている。

悲しいとは美しいのだ。悲しみと共に生きようと思いながら眠りにつき、夢には好きな人がフル出演した。
朝、田畑を焼いている匂いで目が覚めまどろむ。田舎だ。子供の頃を思い出す気な匂い。首から背中にかけて寝違えた。

身支度のおともはpodcastで流すHUG.incのお二人による「TAKE ME HIGH(er)」。

出勤時、いつもポツポツとすれ違う人がいて、今日はなぜかみんな小走りしていた。

今週からしれっとマスクを外して勤務している。
自然と顔に力が入る。ああ確かにマスクをしていた時は顔が緊張していなかったなと実感する。
リップだけは欠かさず塗るようにした。

出勤してから1日の仕事量が分かる。今日は余裕で捌けそうだと思う。今日は時間給をとるのだ。
暇な時間ができてくると、有給を取ってでもただただ早く帰りたいなと思うが、最近気づいたのは、この部署はいざという時のためにいるというのが大事なのだ。

朝Xに目を通していた時、雑誌ニューカラーの次号でブライトーンという紙が使われると知る。
昨年廃盤になり、昨日、同じ紙をやや気をすり減らしながら探し出したところだったので、あるところにはあるもんだなと思う。
出勤したての上司に報告する。こういう雑談混じりの「ちょっと聞いてくださいよ!」ができる存在がいるというのは、心に平穏をもたらしてくれるとしみじみ思う。
3年目に突入して、職場にそういう人が何人かできてとても嬉しい。

15時半に難なく退勤する。日差しが強い。iPhoneを見ると29度を示していて、いよいよ夏待ったなし、後戻りできないなと思う。

歯医者の予約前にクレープ屋さんに寄り、そば粉のクレープを食べる。
店内には今日もお客は私一人だった。本を読みつつ食べ進めようとするも、ナイフとフォークを右手で交互に持つのはかなり行儀が悪そうだと思い、読書とフォークを交互に持ち替える。

歯医者前のクレープは、おそらく麻酔をかけられる事を見越した腹ごしらえ&早めの夕食のつもりだったのだけど、今日の治療はすぐに終わる。
作ってもらった被せものを取り付け、するりと終える。
噛み合わせも違和感なく、院内は清潔で、医師の判断も振る舞いも的確に感じる。
どうしても先週かかった別の歯医者と比べてしまい、もしかしてここ、いい歯医者なんじゃないかと思い募る。

会計は4千円。被せ物を取り付けるので心づもりはしていただけれど、病院の診察料というのはいつも予測がつかず恐ろしい。
歯の治療は今回で終わり、次回は定期検診となる。予約をとりつつ、やはりクレープが頭を掠め、己の食い意地を思い知る。

外食しようかと思ったけれど明日のバイト後に譲ることにして、ビールを買って帰宅する。
郵便受けを見ると、隣の部屋のポストが養生テープで封をされていて、えッと声が出る。
なんと、深夜に肉を焼き、何度か壁ドンをされたあの隣人が引っ越したらしい。

通りで最近物音が立っていたワケかと納得する。歓喜!!!ベランダに出て恐る恐る隣を覗くと部屋が空っぽになっている!!
夢のようだとベランダでそのままビールを飲んだ。

早めにお風呂を済ませ、amazonプライムで「1122」を見始める。
公開を楽しみにしていたのに、知らない間に始まっていて、もうすでに何話か溜まっている様子。それはそれでいい。
最終巻は思わず涙した。原作モノのドラマや映画にはうるさい方だと自負しているが、なかなかいいキャスティングだなと唸る。
士郎が高良健吾氏なのが最高に推せる。


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