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4月某日(あとがき)

カゴのバイトの日。
 
大体いつも同じ時間に目が覚めるので、睡眠時間を確保するには努めて早く寝るしかない。

休日に昼前まで寝るということが無くなった。
いつも山﨑ナオコーラのエッセイのタイトル「太陽がもったいない」が脳裏をよぎって体を起こす。

色々な人からダブルワークで休日がない状態を心配してもらうけど、寝られさえすればあまり文句が出ないんじゃないかと思うほどに寝ることが好きだ。
睡眠時間を削るとてんで駄目になる。

しかし今はとにかく張りみたいなものがほしいのだ。
頑張りしろがほしい。好きになられしろがほしいと度々思う。(しろはのりしろのしろ)
 
カゴのバイト2回目。緊張で朝食を抜く。

お店に着くとおなかが鳴る。展示で在店していた作家さんと連れ立ってごはんへ。
作家同士が仲良くしすぎると作るものが似てくる、と言っていた。
知っている人や事柄が聞こえてきて、嬉しくなる。
平日働いている会社では失せていた、共通の話題にぐんぐん会話が進む感覚を思い出す。

旅行者だけでなく地域に住んでいる人も、このお店に来るお客さんはよく喋ってくれる。
会話を続けようといつも糸口を探している身としてはとんでもなくニンゲン上級者だと思う。

店主もカゴの話より居酒屋や周囲の人の話が圧倒的に多く、メモも自然とそうなる。
 
肌寒い日で、閉店後はコートを着て作業させてもらった。
夜は歓迎会を開いてくれ、その前に近所にある若い人が営むお店に立ち寄る。
知らない世界が広がっていく感触を手汗とともに握りしめる。ヘタを打つんじゃないぞ、と自分に言い聞かせる。
 
スナックの居抜きだそうな、台湾料理屋へ向かう。美味しくて嬉しい。
隣には界隈の洒落たお店の店主がが酔いつぶれて寝ていた。しこたま飲んできたらしい。

なりたいものは口に出しておくとチャンスがあるんだから、と言われる。
文筆業で暮らしたいという夢は、今まで好きな人にしか言ってこなかった。恥ずかしかった。

とりあえず数を打ち、自分で名乗る。店主のお子さんが決めたことだそうで感心する。私も真似させてもらおう。
おすすめのpodcastやら人や場所やらを教えてもらう。秋田に行く事を薦められる。
そういえばブルータスの飲み屋特集買い逃している。駅前まで行かないと。
 
昨日は好きな人からの連絡をまるっと無視したようなかたちになる。ごめんよ~と謝る。
バイトをはじめた事は何となく言っておらず、しばらくは秘密を楽しもうと思う。
 
ぐわんぐわんの状態で帰宅。
湯舟をためるも、ざっっぱ!と潜り出るのが精いっぱいで、
果たして、酒を浴びるように飲むのは楽しいのか・・?と不思議に思いながら眠る。

朝起きると なぜかカロリーメイト(バニラ味)を食べた形跡があった。 
 

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