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6月ある日

歯が痛い。
季節の変わり目の恒例症状食いしばりかと思ったけれど、歯自体を触っても痛くない。
虫歯か?ではこの間の定期検診はなんだったんだと沸々と怒りながら、頭まで痛くなってきたのでロキソニンをヨボヨボ飲み込んでぐったりと眠りについた。

朝、9℃。
9℃はさすがにセーターを着るべきだろうと思いTシャツの上から着て出社するも、周りは半袖ばかりだった。
先週からクールビズが始まった。そもそも6月にセーターって着ていいのだろうか。
午後になりようやく脱ぐが、帰り道にはまた着た。
この寒暖差が奥歯に響く。

上司不在二日目。仕事はなんとかこなせる量だが、歯の痛みと、引っ張られてやってきた頭痛に気が滅入る。

応接室の本棚を増設するということで、本棚管理者として立ち会う。
書店員だったという理由で、応接室にある本棚の管理をしている。かなり好きな仕事。
初対面の人と、知っている人が混ざった少人数の空間がなんとなく苦手だ。どう立ち振る舞えばいいのか分からない。
自然体じゃない証拠だろう。
次の本棚の使い勝手を想像して要望を出したけれど、つまらなくしているような気もする。

打ち合わせを終えて外に出ると、とても気持ちのいい天気。
無性にドッヂボールがしたくなる、というかドッヂボールがしたいと言いたくなる気候だったけれどここは駐車場だった。
仕事もほとんど残っていて、すごすごと自席へ戻り片付ける。

休憩時間に外に出ようかと思ったけれど踏みとどまる。財布を忘れてきたのだ。
以前試供品でもらったα米のおにぎりと納豆汁でやり過ごす。
またロキソニンを飲む。

ペンの尻でこめかみを抑え込み、頭痛を紛らわせる。
思いの外仕事が片付いて、安心していたところに怒涛の見積もり依頼が押し寄せる。
終業まであと3分というところだった。こんな事で腹を立ててしまうのは歯痛のせいか。目に入るものが眩しく頭に響く。
サービス残業ではやりきれないので、残業の申請をして片付ける。
帰る時、まだまだ社内に残っている人がいるのを知って、あれくらいの事で、あれくらいの時間の残業をしたくらいで機嫌を損なう自分の、甘ったれ具合に嫌気がさす。

歯痛の原因を突き止めるべく、いつもとは違う歯医者の予約をとった。

帰り道、podcast「流通空論」を聞きながら自転車を漕ぐ。
2週に渡りブックディレクターの内沼晋太郎さんがゲストで、近い世界にいたということ、また日記についての話をしていて興味深く聞く。また聞き直したい。

夕食は賞味期限の切れた非常食のカレーと小さなカップヌードルで気持ちを満たす。
今わたしは非常事態なのだ!!!

ドラマ「アンメット」を見ながらいつもより早い時間にお風呂に入る。湯船に浸かっても芯まであったまる感触がない。

旅行から帰ってきて3日が経ち、やっと洗濯機を回す。
干す場所がないほど洗濯物をまわすのは辟易するのでできるだけこまめにとは思いつつ、天気が悪くタイミングを伺っていた。
結果として完全に過重積載になった。どうか乾ききりますようにと祈るようにカーテンを閉める。

自分が気づかないうちに感じているストレスが、奥歯や臓器にかかっている。
心身はちぐはぐで、その真ん中で自分自身が引っ張り合いをされるようで痛かったり悲しかったりするけれど、元を糺せば自身に無頓着な自分が一番悪者だ。

32年間自分をやっているのに、いまだにうまく乗りこなせない。


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