岡本太郎記念館
何年か前に、青山にある岡本太郎記念館に行った時のことだ。
岡本太郎さんの作品群の素晴らしさは勿論なのだが、その時私が衝撃を受けたのは、岡本さんが撮ったという沖縄の写真展だった。
記念館の2階の薄暗い小部屋に、岡本さんが撮った沖縄の白黒写真がずらりと展示してあった。
呪術師的な沖縄のおばあさんの写真や、何かの儀式の最中の写真などが展示してあるのだが、もう写真から溢れだすオーラが凄い。
その中でも、ひときわ私の心を掴んだのは、
沖縄の聖地のような場所を撮った写真だった。
他の写真より大きく引き伸ばされて、部屋の一番奥の壁に飾ってあったような気がする。
私は、正直に言うと、写真に感動したことは、今までなかった。
でも、その写真は圧倒的だった。
写真なのに、白黒なのに、いや、白黒だからこそ
一層、まるで、その聖地に要るような錯覚に陥ったのだ。
こんなことは初めてだった。
どんなに大きな写真を見ても、惹き込まれることは今までなかったし、写真は写真と思って、見ていた。
でも、その写真は、私に写真として認識させてはくれなかった。
何か、圧倒的にその空間にその場所は存在していた。
目が離せなかった。
惹き付けられて、動けなかった。
何年か経った今も、ありありと目の前に浮かんでくるくらい私にとって、「強烈な体験」として残った。
写真を見たのではなく、私は、
岡本太郎が撮った「あの空間」にいた。
岡本太郎という人は、本当に恐ろしい人だなあと思う。
底知れない、嘘のないパワーで、人の心を裸にしてしまう。
岡本太郎さんの凄さを感じた体験でした。
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