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彼だからこその言葉と能登に降る雨

「どんなに辛いことがあっても、いずれ時が来れば何かをしなければいけなくなる。どんなにやりたくなくても、どんなに進めなかったとしても、進まなきゃいけない。そんなことを話しました。震災から半年以上が過ぎて『何ができるか』とか『どんなことが進んでいるのか』など、いろんなことを考えると思いますけど、もうしょうがないって思うしかないところもある。でもその『しょうがない』の中に笑顔とか、その時の一生懸命がいっぱい詰まっていたらいいなって思っています」

羽生結弦 Sportiva

大きな大きな言葉が
また振り出しの
降る雨の中沁み入る

試練がみえる
その人の根源にある
どうしようもできない出来事の
でもしなきゃならない苦しさを
壁にぶち当たる毎に強くなり
また壁をよじ登り行く人が
時には雄たけびをあげ
時にはじっと耐え
耳を澄ませ
心整え
沈黙を貫く

惚れたのだ
闘い方に惚れたのだ

自然の驚異が襲っている

雨は西からたたきつけるように流れて
未だ刈り取られていない稲穂が倒れこむ
雨どいにスズメが雨をしのぐ
田圃に落ちた米をついばみに
チュンチュンと
喧しい子たちさえひっそりと寄り添っている

とろとろとろとろと
高速道に連なる先を急ぎたい影たち

昨日姦しくサイレンを鳴らして
北へ向かっていった
赤い車両は
1月1日の既視感

ダイニングテーブルの
窓からの景色はとうとう
歩いた方が速いくらいの
車の流れになった

七日前こころ震えた優しさの
奇跡をおもう
遣る瀬無さをおもう

応援の力を一番よく知る人の
言葉は応援歌となり
身体を震わせて涙する人の
舞は祈りとなる
支えは知れば恩に変わり
支えを知れば強さに変わり
潰れないこころをつくり
からだをつくる
細い細い十代の
己が映って見えしか
子どもたちは眩しいほどに
何者でもない今
何者にでもの未来
悲しみを超えて行く強さと
包み込む優しさを湛えている

命を削るほどに我武者羅に生きて
永遠ではない時間は
平等に刻まれているけれど
秒針が止まってしまうまでの
見えない空間の一瞬まで
希望をケツイに変えて生きるのだ
季節は巡る
生命受け継ぎながら




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