彼だからこその言葉と能登に降る雨
大きな大きな言葉が
また振り出しの
降る雨の中沁み入る
試練がみえる
その人の根源にある
どうしようもできない出来事の
でもしなきゃならない苦しさを
壁にぶち当たる毎に強くなり
また壁をよじ登り行く人が
時には雄たけびをあげ
時にはじっと耐え
耳を澄ませ
心整え
沈黙を貫く
惚れたのだ
闘い方に惚れたのだ
自然の驚異が襲っている
雨は西からたたきつけるように流れて
未だ刈り取られていない稲穂が倒れこむ
雨どいにスズメが雨をしのぐ
田圃に落ちた米をついばみに
チュンチュンと
喧しい子たちさえひっそりと寄り添っている
とろとろとろとろと
高速道に連なる先を急ぎたい影たち
昨日姦しくサイレンを鳴らして
北へ向かっていった
赤い車両は
1月1日の既視感
ダイニングテーブルの
窓からの景色はとうとう
歩いた方が速いくらいの
車の流れになった
七日前こころ震えた優しさの
奇跡をおもう
遣る瀬無さをおもう
応援の力を一番よく知る人の
言葉は応援歌となり
身体を震わせて涙する人の
舞は祈りとなる
支えは知れば恩に変わり
支えを知れば強さに変わり
潰れないこころをつくり
からだをつくる
細い細い十代の
己が映って見えしか
子どもたちは眩しいほどに
何者でもない今
何者にでもの未来
悲しみを超えて行く強さと
包み込む優しさを湛えている
命を削るほどに我武者羅に生きて
永遠ではない時間は
平等に刻まれているけれど
秒針が止まってしまうまでの
見えない空間の一瞬まで
希望をケツイに変えて生きるのだ
季節は巡る
生命受け継ぎながら