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2.馴染もう:移住したてのマインドセット(下川レポート)

皆様ごきげんよう、慶應義塾大学4年の小川功毅です。

私は先月、SMOUT編集部下川町支局のレポーターとして北海道下川町に派遣され、日々暮らしながらその様子を発信していました。(企画の概要:https://smout.jp/plans/7329#project-report-8332

3週間という限られた期間のなかでも、毎日たくさんの町民の皆さまと交流させていただき、まちに「馴染む」ことができたのではないかと感じています。日を追うごとに下川町の水に慣れ、東京にいるときの数十倍もの人とお話ししていたように思います。人口3000人と言いつつ、人の少なさを一切感じさせないというか、むしろ多いんじゃないかとすら疑ってしまうほどに。

今回は、私が「馴染もう」とする際に、どのようなマインドセットで居たのか、またどのように居たら良いと考えているのかについて書いてみようと思います。

・誘われる人

とにかくお誘いには行く、ということが移住の極意だろうと思います。

以下、今回の私の下川滞在をコーディネートしてくださった、移住の女神ことユミコさんのコメントです。

“急でも、どんな人が来るのかわからなくても、誘われたらしのごの言わずに「ありがとうございます」といって参加してみる。
これこそが移住の極意。小川くんがみごとに体現してくれました👏”
https://twitter.com/yumiko_moss/status/1531373420495024128?s=20&t=l9UMC-P2zJtblh_HHEZIaw

特に移住したての時期だと、いろんな会を紹介/お誘いいただくことが多いと思います。そうしたお誘いは非常にありがたいもので、必ず参加し、知り合いの輪を広げていきましょう。

しかし、お誘いに乗ること以上に重要なのは、「誘ってもらえるように居る」ということです。
あなたが誘う側で、自分のコミュニティを紹介するとき、どんな人を誘いたいと思うでしょうか?

私は、明るくコミュニケーションをすることができ、ざっくばらんに話が面白く、地域を知ろう/馴染もうと前のめりで応援したくなるような人で、紹介して恥ずかしくない礼儀を備えた人かなぁと思います。

ということで私は、明るく、オープンマインドで、地域に馴染もうとし、最低限の礼儀正しさを大切にしていました。こうした人となりの上で、地域の方、その人の持つコミュニティに前のめりに興味を示していると、自然とお誘いをいただけるのではないかと思います。

地域に馴染もうとした際、「誘われる人」になること、そのお誘いにとにかく参加するということが、私は最も重要だと考えています。

・新しい自分をつくる

私の考える移住の醍醐味の一つとして、新しい社会の中で、新たな自分を形成することができるということがあります。

新しい地域で暮らしを始めるということは、当然ながら人間関係もゼロからのスタートで、日常そのものを再設計しなければなりません。そのとき、より自分らしい暮らしへと、より理想とする自分へと作り直すことができます。

「誘われる人になる」ということを前述しましたが、私はもともと社交的な人間ではなく、全くもって「誘われる人」ではありませんでした。内向的で人見知り、自分から話しかけることはなく、集団の輪にはなかなか入れません。

移住は、こうした“これまでの自分”を少しでも変えたいと願う人にとってはうってつけのチャンスです。新しい地域だからこそ、“新しい自分”へと少しずつでも変わることができるのです。

平野啓一郎さんの「分人主義」という考え方があります。(『私とは何か』講談社現代新書)

分人とは、対人関係ごとの様々な自分のことである。恋人との分人、両親との分人、職場での分人、趣味の仲間との分人、……それらは、必ずしも同じではない。
平野啓一郎「私とは何か」講談社現代新書 p.7

私たちは、場面に合わせていくつもの分人を使い分けながら生活しています。そして、移住をするということは、その地域での新しい分人をつくるチャンスであるということです。 “東京での私”とは別の、“下川町での私”をつくることができるのです。
これは、“下川町での私”を、本当の私の姿として位置付けて、全ての人格を作り直そうとするものではありません。

たった一つの「本当の自分」など存在しない。裏返して言うならば、対人関係ごとに見せる複数の顔が、すべて「本当の自分」である。
平野啓一郎「私とは何か」講談社現代新書 p.7

私たちは、いろんな顔を持っていて然るべきです。新しい地域へ移住するということは、新しいあなたの分人をつくる絶好の機会になってくれるはずです。

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