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キラークライアント3 「敗者復活せん!」

さあ いよいよ 件のラブレターを渡す日がやってきた

軽く食事して BARで呑んで 送っていった帰り道



「くだらね~もんだけど」



と言って 渡したそうです


その晩は 自宅まで2時間 歩いて帰ったそうです


深い満足と 万が一の期待と 確実に襲ってくるであろう絶望と



明け方 突然のメールの着信音


「わたしも あなたが 大好き」


これが神様の悪戯 いや 女性なら赦される気まぐれ 悪魔のささやき


還暦過ぎたクソ爺になりゃぁ わかるんだよ そんなことは!


翌日 緊急のカウンセリングオファーを受け 出向きました

さぞや興奮しているだろうと思いきや

拍子抜けするほど さっぱりしてる

その当時から わたしのカウンセリングセッションは50分

始めの20分は 完全なる沈黙



でも 隠せないのは やはり 「眼」



雄弁に物語っている

完全燃焼した満足感

想いが通じた驚き

歓喜の海で 溺れそうな不安

どうしたら良いのか 呆然と立ちすくむような迷い

こういう時 ベテランカウンセラーなら どう言うのだろう

駆け出しの有資格者には 言葉が浮かばない



絞り出すように 彼から出てきた言葉が

初恋だったんです 小学生時代の」



今なら 絶対に言わないけど

確か とんでもない言葉を 浴びせかけて 帰った



大好きな男が一人とは限らない まだ君だけの女性になった訳でもない

諦めるなら 今しかない 突き進むなら 修羅場 覚悟ある?



この一言が 彼のとの長い付き合いの始まりになった

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