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岩手県一関市に行った話 その② 奥州市の黒石寺、正法寺

 突然ですが、皆さまは、日本に残る一番古い仏像と聞くと何を思い浮かべますか?
 
 奈良県の明日香村にある飛鳥寺の飛鳥大仏や、善光寺の阿弥陀如来などが思い浮かぶと思います。そしてそれらの多くは、金銅仏だと思います。
 
 では、木彫の仏像で、造像名として年号を明記した日本最古の仏像はとなると、実は私の住む京都や奈良などの関西圏ではなく、岩手県奥州市の黒石寺にある「木造薬師如来坐像」とされています。この仏像には、862年の年紀を含む墨書銘が確認されており、国の重要文化財に指定されています。

 そんなこともあり、今回の旅行で、一番行きたかった場所が、この黒石寺でした。ただ、公共交通機関でのアクセスしようとすると中々大変で、最も近い駅は「陸中折居」駅になるのですが、駅からは徒歩約100分の道のりとなります。(まあまあ遠いです。。。)

 また、黒石寺は基本的に事前に連絡をしておいた方がいいと思うのですが、私は当日連絡し、拝観のご対応をいただきました。収蔵庫に保管されている薬師如来像や本堂の仏像を拝観しましたが、平安時代の初期に、都から離れたこの地域にこれだけの仏像が祀られているということで、当時のこの地域がいかに交通の要衝であり、繁栄していたのかを感じました。
 当時は舟運が中心のため、舟運で日本を眺めるときっと今とは全然違う交通網になっていて、まさかその後、こんなにも陸運(それも人力中心から車)に変わっていくとは、当時はだれも思わなかったことでしょう。

 その観点では、例えば、今から500年もすると、車中心の交通網ではなくなって、全く別の交通網になっていて、今栄えている地域とは全然別の場所が交通の要衝になっていても不思議ではないんでしょうね。。。私には想像もできないですが。

 そして、黒石寺からさらに約30分ほど進むと、正法寺があります。こちらは曹洞宗のお寺で、かつては、永平寺、總持寺と並んで東北地方における「第三の本山」の格式を得ていたほど勢力があったとのことで、現在でも江戸時代に再建された立派な重要文化財の建物を拝観することができます。

 なお、黒石寺はもうひとつ、奇祭とされる蘇民祭でも有名なのですが、令和6年の開催を最後に開催を取りやめることとなっています。残念ですが時代の流れかなとも思います。


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