CMを疑え!

たくさんのCMを作ってきた。
だから私はコマーシャルを疑う。
実は『うそ』も多い。

例えば、歯磨きペーストをブラシの上にどれだけ乗せるか?

コマーシャルでは、ブラシの長さ分のペーストを乗せる場合が多い。
2センチのブラシには2センチの量をのせる。

長さが決まっている訳では無いから嘘とも言い難いが、好みの問題?

いや、違う。

たくさん乗せれば消費が早い。

四人家族なら2センチ×4で、8センチ。
1日3回なら、24センチ。
これは結構な量で、新規購入時期も早まる。

昔、そんなCMを作る時、メーカーの方(企業名は秘す)に乗せる量を問うた事がある。

「まあ、あのホントは少しで良いんですが…」と明言されない。
仕方ないから2センチ乗せた。
メーカーの方は笑顔。

私は泡立ち過ぎると磨き難いので、5ミリしか乗せない。
私はそれで充分。

「嘘」とまで言わないけど、そんな表現は実に多い。

アパレル、ファッションブランドで使うモデルや役者さんに、お腹の出た人はいない。

競馬CMに若い男女タレントたちを使うのは、競馬に若い方を呼ぶ為だ。
競馬するのはオジサンばかり。
顧客を広げる事をしないと業界が続かない。
若い男性、女性客を開拓しなければ続かない。
競走馬のヒーローを作ったり、馬を可愛いアイドルアニメでアバター化し、若年層も競馬客の予備軍にしている様に感じる。

若い人の「ギャンブル離れ」は激しいらしい。
ボート広告とか見てると分かりやすい。
歌舞伎オジサンからTikTokお姉さん、お笑い芸人やアイドル、イケメン、最近では演技派女優も加わり、業界の必死具合は伝わる。
CMの狙いは、ボートレーサーリクルートとギャンブルイメージのブランドアップ。
広告効果はどうだろう?
誰もストーリーを追っていない気がする。

宝くじCMは、かつてのTVドラマ、貧しい兄弟たちの感動ドラマ『若者たち』をイメージした作りにしている。
第一線の若いタレントを揃えて、お金持ちになる夢を語るコメディ。
『若者たち』を知らなくてもキャラクター選定が上手で見てしまう。
若者に宝くじを買うことを習慣化させたいのだと思う。

洗剤CMがイケメンたちを起用するのは、洗濯する主婦層の関心を引くため。
どのメーカーもイケメン争奪戦。

イケメンたち5〜6人を総動員するメーカーもある。
一人くらい、主婦の好みにロックオンさせようとしている。
それにしてもタレント費、幾ら掛かっているのか。

表現には必ず理由がある。
仕掛けられる広告イメージ。

番組はどうだろう。

番組全体を使って広告という「タイアップ番組」。
コンビニや食品メーカーの品目、ファミレスのメニューを有名シェフ等がジャッジする番組。

怖い顔で腕組みして評価するが、殆どが出来レース。

結局、企業を褒める終わり方。

回転寿司店など、翌日に番組で褒められた商品を印刷物でお知らせまでしている。

マインドコントロールされる庶民。

他にも、美白やシワ取りなどの二面分割のビフォーアフター映像。

明らかに照明効果で違えている。
輝度を上げたり、下からライトを当ててシワが見え難くする。

画面隅に小さく「ご本人の見解です」と入れれば許される。

テレビ局は放送料を得なければならないから、細かい事には眼を瞑るのだろうか。

映像は虚構。
チャップリンは「全ての映像はプロパガンダだ」と言った。
使い方によってはとんでもない武器になる。
それをテーマにした小説など書いてみた。

プロパガンダに溢れる世界。
独裁者に懸命に拍手する国民。
様々な選挙戦、ネットニュースひとつでも、まず疑おう。
AIで少し若返る都知事が何か語る。
暗殺を免れた大統領候補が、神のご加護とキリストとのツーショットを映像にあげる。
宗教画のパロディかと笑った。
しかし、イラストなのに、涙を流してる人までいる。
私はもう、笑えなかった。
人々をコントロールする「作為」。
コントロールされる人々。

広告を疑え!




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