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【窓辺劇場】②はと代、はと江、再び。


左・はと江 右・はと代

はと代「あら、はと江さん。今、商店街の入口で
    配られていた、30周年記念の景品おもらい  
    になった? 」
はと江「あたりまえだのクラッカーじゃないの。
    はと代さん。」
はと代「ちょっと、開けてみましょうよ。
    まぁ、私のはドリップコーヒーの
    パックだわ。」
はと江「いいじゃないの~。そういうのが
    一番良いわよ。ちょっと一人分だけ
    コーヒー入れたいけど、一人分だけ
    ドリップするの、めんどくさい時
    あるもの〜。」
はと代「そうなのよね。かと言って、
    インスタントより本格的なのが
    飲みたい時があるのよね〜。」
はと江「うふふ。私のは一体何かしらね。」
   (ガサガサ)
はと江「…」
はと代「あら、何だった?」
はと江「…まっ豆菓子だわ。うっうれしいわ〜。
    オポポポ。」
はと代「フッフフフフ。無理しなくてもいいのよ。   
    はと江さん。」
はと江「なっ何のことかしら。」
はと代「私、知っているのよ。
    あなたが本当は豆嫌いだってことをね。」
はと江「!!!」

左・はと江 右はと代

はと代「あら、鳩が豆鉄砲食らったような
    顔しちゃって。」
はと江「なぜ、それを…!」
はと代「この前の婦人会の昼食の時のことよ。
    はと江さん、あなた、あの時の豆ご飯、
    自分のお茶碗によそう時、
    豆をよけていたでしょう。あのとき私、
    気づいてしまったのよ。」
はと江「はっ、はと代さん、お願い、
    その事はだれにも…!」
はと代「言うわけないじゃないの。安心してよ。
    はと江さん。鳩が豆が嫌いじゃ、
    色々と都合が悪いでしょうからね。」

左・はと江 右・はと代

はと江「…はと代さん。
    あなたいい気になっているようだけど。
    私、知っているのよ。あなたのひみつ。」
はと代「なっ!何の事かしら。」
はと江「オポポポポ。あら、目が泳いでいるわよ。
    そして、そのいつも挙動不審な白目が
    何よりの証拠!
   『メジロ』だけにね!」 
はと代「違うわ!私は鳩よ!メジロじゃないわ。
    ほら、名前だって『はと代』なんだから!
    それに目だって、ふつうの鳩より、
    ちょっと三白眼で白目の分量が
    多いだけだわ!」
はと江「フフフ。それだけじゃないわ。
    この間映画館で『タイタニック』を
    見た時、はと代さん、号泣なさって
    いたわよね。
    その時のあなたのなき声…
            『ポーポーポー』ではなく、
   『ピーピピピピ』だったもの。」 

左・はと江 右はと代

はと代「…!はと江さん、お願いよ!
    この事だけは誰にも…」
はと江「分かってますって。
    誰にも秘密はあるものよ。詮索なんて
    不粋なまねはしないわ。
    ポーポポポ。」
はと代「なんか…ごめんなさいね。
    私が初めに調子に乗ったものだから。
    お詫びにコーヒーと豆菓子交換しない?
   (コーヒーも豆だけどね)」
はと江「えっ、それは助かるわぁ〜!
    私、豆を見るだけで鳥肌が立つのよ。
    『鳥だけに』」
はと代「…」
はと江「…」

左・はと江 右・はと代   

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