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助手席には唐揚げ弁当
休みの日を一日中寝て過ごした時の罪悪感は、どこから来るのであろう。
自分に与えられた自分の時間であるから、何も後ろめたい気持ちになる必要はないのだが…。
きっと自分自身への申し訳なさなのではなかろうか。
今日はまさしくそんな一日で、罪滅ぼしの為19時になってやっと身支度をして一人で外食へと赴いた。
何を食べるかはもう決まっていた。デカ盛り唐揚げだ。上手く説明できないが、こんな日は大量の油物を胃に染み渡らせてフラストレーションを解放しなければならない。
車を20分ほど走らせ、デカ盛りで有名な中華料理屋に到着した。テレビ番組にも何度か出たこのお店は、私の住んでいる地域の人であれば一度は聞いたことがある有名処である。
迷うことなく、唐揚げの小ラーメンセットを注文したが…
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/82153679/picture_pc_dfe93c58cea7fd73a1a54a454442771c.jpg?width=800)
記憶よりも大きい。大きすぎる。
小ラーメンは麺が伸びる前に食べ終え(昔ながらの味で美味しい)、唐揚げに手を伸ばす。
分厚いサクサクゴロゴロの衣を噛むと現れるジューシーなお肉。大満足の唐揚げだ。
最近人によく、牛肉、豚肉、鶏肉の中で一生食べられなくなる肉を一つ選ぶとしたらどれか、という質問をするのだが、私自身の解答としては鶏肉をいつも選んでいた。
そんな私に対して、この鶏肉はこれでもかと言うほど存在感を放ってくる。「俺は鶏肉だねえ〜」などと軽口を叩いた自分を戒めたい。
美味しい、美味しいのだが、三個唐揚げを食べた時点で、私ははっきり気が付いていた。食べ切ることは不可能だ。
肉達を勝手にランク付けし、鶏肉を最下位に位置付けたにも関わらず、グータラ寝て過ごした時には鶏肉に頼ろうとする。そんな都合の良いことはこの唐揚げの前では通用しなかった。
ふとメニューを見ると、お持ち帰り用のパックが20円で売られている。
ぼそぼそと店員さんにパックをお願いし、ご飯と唐揚げを詰め、逃げるように車内に戻った。
今、自分の隣にはパックに詰められた白飯と唐揚げがある。
「こんな休日でも良かったかな」と助手席の唐揚げに尋ねたら「知らねえよ好きにしろ」と返されそうな、そんな空気感だ。
明日は、昼休みにこの唐揚げを食べて元気に働こう。
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