来たる災害に備える 防災ワークショップ開催
6月15日に本学豊平キャンパス8号館B31教室でHGU SOSが主催する防災ワークショップ(以下ショップと略す)が開催された。このショップには16名が参加し、過去の災害事例の紹介と、大学構内で被災したときの対応の仕方について学び、実際に災害用伝言ダイヤルの使用体験をした。その後メインイベントとして講師に本学OBでDoはぐマスターである飛騨剛さんと石狩振興局の高田和樹さんを招き、Doはぐという避難所運営ゲームを使い、参加者らは冬の小学校を想定した避難所をどう効率的かつ公正に運営するか、飛騨さんと高田さんらからアドバイスを受けつつ試行錯誤を繰り返していた。
また、会場にはさまざまな防災グッズや段ボールベットが展示され、実際に横になった参加者に寝心地を聞くと、「普段と変わらないし、体重をかけても何ともない」と語った。
ゲーム終了後には飛騨さんによるゲーム解説が行われ、そこで「避難所運営には実際には想定外のこともあり、迅速さが求められる。せっかくの命が避難所で失われないように快適な運営を」と語り、参加者らは熱心に話を聞いていた。
ショップ終了後に参加者に参加した理由と感想を聞くと、「現在教員を目指していて、教員になるうえで避難所について知るということは大切だと思い参加した」と語り、「ゲームは中々難しかったが、もっと(実際の)現場は騒然していると思うので、運営している方々は本当にすごいと思った」と語った。
Doはぐとは?(用語解説コーナー的な)
そもそもDoはぐとはどういうものか。石狩振興局のホームページより、元々は静岡県のHUGという避難者の年齢などそれぞれの事情が記載されたカードをどう避難所に配置するかを体験する避難所運営ゲームだ。それに道が静岡県より使用許諾を得て北海道の冬の気候条件などを追加し、道民に避難所などを自分事と捉えてもらうために作成された。
初めての試み
今回のイベントを企画したHGU SOSの学生統括である鈴木茉希さんに話を伺った。ショップのような企画は初めてとのことで今回企画した理由を聞くと、「今年に本学が作成した防災マニュアルがあまり手に取られていない現状で、大学のやっていることを分かりやすく説明したいと思った」と語った。また、ショップを終えての感想を聞くと、「無事に終了してまずは安心した」と語り、参加者への事後アンケートでも「なかなかできない貴重な体験として有意義だったという感想をもらえ、やって良かった」とも語った。最後に「HGUSOSはまだまだ知名度が低いというのが現状だが、これからも継続していきより多くの学生の役に立てるよう、尽力していきたい」とのことで締めくくった。
記者も実際にDoはぐを体験
ワークショップでのDoはぐに記者も参加者に交じり、実際に体験をしてきた。テーブルには(写真参照)巨大な体育館の見取り図に校舎の敷地図などが用意されている。
記者のテーブルには補助としてHGU SOSのメンバー含む4人が集まり、ゲーム開始前にリーダーとカードの読み手を決める。リーダーはカードの取り扱いについて最終的に決定を下す役割がある。また、体育館に通路を描く作業がある。通路が無ければ避難所の導線が予測不可能になるので大切な作業だ。ここでポイントとなるのが通路を狭く、少なくすることで避難所としてのキャパシティーを優先するか、逆に余裕のある避難所にするかだ。記者のグループでは後者を優先し、避難所を環状線のように囲うような通路に、前方入り口をメインストリートとした通路を引くなどした。その後初期避難者15人を配置していく。ここでも避難者には所属町内会などの細かい設定があり、顔見知りのほうが安心できると判断すれば町内会別で集めて配置するということもできる。また、インフルエンザに罹患している人がいる家族は体育館ではなく、教室に隔離するなども求められる。
ゲームが始まると読み手が一枚一枚を読み上げていく。カードには新たな避難者、イベントカードなどがある。イベントカードでは喫煙者への対応やごみ置き場をどこに設置するかの条件が出され、避難所の様子を俯瞰したうえでの判断が必要となる。記者のグループでは、後で知り合いが来るのでスペースを空けといてほしいというイベントカードがあった。メンバーは先に来た避難者を優先すべきという論調だったが、リーダーは苦情を避けたいのでスペースを空けるという判断を下すなど、それぞれの価値観の違いなどもゲームを通じて感じられた。
Doはぐは決して子どもだけが楽しめるようなものではなく、大学生や大人も思考を巡らせて楽しめる一種の戦略ゲームとなっている。Doはぐは個人でも借りられるので、ぜひ友人と体験してはいかがだろうか。詳しくは北海道石狩振興局のホームページを参照されたい。(河西和摩、米森夕真)
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