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ジブリ作品のサブスク解禁を願って

はじめに

先日、海外のNETFLIXにて、高畑勲監督が手掛けた映画『火垂るの墓』の公開が開始されました。その反響たるや凄まじく、ジブリという名前につられて鑑賞した海外の方々からの賛否の声は、今もとめどなくネットに溢れ返っています。大手映像サブスクライブの影響力はもちろん、スタジオジブリという名前が待つブランド力の大きさに驚かされます。

しかし当の日本では、スタジオジブリの作品を見る機会はかなり限られたものになってしまっています。なぜならサブスクライブでの配信がされていないから。いまや視聴のチャンスは、①テレビでの放送、②DVDの購入、③DVDのレンタルしかありません。このまま視聴の制限が続くのならば、私はスタジオジブリが忘れ去られ過去のものになってしまうのではないかと危惧しています。これどうにかなりませんか?

「いや、視聴のチャンスはまだあるじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、先ほど挙げた3つのチャンスはそれぞれ問題点を抱えています。それらについて説明します。

①テレビでの放送について

スタジオジブリ作品は、日本テレビの「金曜ロードショー」という放送枠でのみ地上波で放送されてきました。スタジオジブリと日本テレビの関係は映画『風の谷のナウシカ』の製作あたりから続いており、作品の放送や映画製作への出資など深い関係があることが知られています。2023年には、スタジオジブリが日本テレビの子会社になることが発表され、さらに結びつきが強くなりました。よってジブリ作品の放送は日本テレビ次第ということになります。これにより生じる問題としては、まず放送作品の偏りがあげられるでしょう。放送側は当然視聴率を気にします。視聴率の取れない作品は放送したがらないため、人気のある作品ばかり放送を繰り返す、という状況が発生します。実際、放送回数を調べてみると、

【20回】『風の谷のナウシカ』    
【19回 『となりのトトロ』
    『天空の城ラピュタ』
【17回】『魔女の宅急便』
【13回】『紅の豚』

これらは比較的放送が多いものです。宮崎駿の初期の頃に製作された代表的な作品ばかりで、ほぼ2,3年に1度のペースでコンスタントに放送されています。

しかし放送の少ない作品もあります。

【4回】『借りぐらしのアリエッティ』
     『コクリコ坂から』
【3回】『風立ちぬ』
【2回】『かぐや姫の物語』
             『海がきこえる』
【1回】『ホーホケキョととなりの山田くん』

ここであげたのは放送回数が少ないものです。公開が比較的最近であるのだとしても偏りがあるように感じます。また前回放送がいつだったのかをまとめると、『借りぐらしのアリエッティ』は2020年、『かぐや姫の物語』は2018年、そして『海がきこえる』は2011年、『ホーホケキョととなりの山田くん』はなんと2000年を最後に放送がありません。また、終戦の日に何度も放送されていた『火垂るの墓』は2018年、『おもひでぽろぽろ』は2015年を最後に放送されていないなど、作品に応じて放送回数にかなりの偏りがあるように思います。

ではなぜ偏りがあるのか。おそらくですが、その一番の理由は視聴率であると思われます。先ほど挙げた放送の多い作品少ない作品のラインナップを見比べてもらえれば察せられるように、視聴率に期待のできる人気のある作品は高頻度で回数も多く、そうでない作品は低頻度であまり放送しません。実際少ない例として挙げた作品は最後の放送でいずれも視聴率が1桁となっています。また『火垂るの墓』や 『海がきこえる』などは作品が扱うテーマや登場するシーンのいくつかが現代社会にそぐわないのでは?との声も聞かれますし、放送後寄せられる批判を避けたいという理由もあるのかもしれません。

テレビ局だって商売ですし、視聴率で判断することは全くもって間違いではありません。利益を求める以上それは当然の判断ですし、そこに不満や文句があるわけではありません。ただ、そういった理由で観る機会が減少している作品があることは明らかで、だからこそ見たい時に見れるサブスクライブ配信を望んでいるのです。大衆人気はないけど観たい、そういった作品がある人も少なくなく、そうした需要を満たせるものがサブスクライブ配信だと思います。ただでさえテレビ離れが叫ばれる昨今、今後さらに視聴率の低下が起こるでしょうし、それにより他ジブリ作品の放送頻度の低下も十分考えられます。このテレビ依存の状態が続くことによりさらにジブリが廃れていくのではないかと思います。

➁DVDの購入

DVDを購入し自宅で鑑賞すれば、テレビの放送関係なく視聴することができます。ただ私が危惧しているのは鑑賞機会減少によるジブリ作品の知名度低下です。1作品鑑賞するために数千円払うという行為は、作品をもともと好きな人間からすれば抵抗がないかもしれませんが、お試し感覚での視聴を求めている人間からすれば高い買い物になるのではないでしょうか。一定料金を支払えば対象をいつでも何度でも鑑賞できるという初めの敷居の低さがサブスクのメリットだと思いますし、新規ファン獲得に大きな影響力を及ぼすと考えています。

また値段以外にも観る媒体の問題が浮上します。DVDの前に主流だったVHSも、薄型テレビの普及で視聴することが難しくなり一気に姿を消したように、視聴する手段の問題が与える影響は少なくありません。今の動画視聴のメイン媒体はスマートフォンですが、DVDは何かしらの機器を接続しない限りはスマートフォンでの視聴ができません。今はサブスクライブ以外にもYoutubeのような動画や配信を手元のスマホのみで手軽に鑑賞できる時代であり、わざわざDVDでの視聴という手間を払う人がはたしてどのくらいいるのか。それなら代わりの娯楽はいくらでもあると思いますし、普及にはつながらないと思います。

よって1作品を鑑賞するための費用と手間を考えると、このDVDでの視聴という手段が知名度の向上につながるとは考えられません。

③DVDのレンタル

買わなくてもレンタルがある、と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、レンタルできる場所の減少という問題が発生しています。

DVDレンタル店として有名なTSUTAYAとGEOを例に紹介します。まずTUATAYAですが、2010年代から店舗数の減少がみられていました。そして配信サブスクライブの台頭により閉店の波が加速。年間100店舗のペースで閉店が止まらず、レンタル事業の終了を発表する店舗も登場しています。実際、私の知っているTSUTAYAもいくつか閉店してしまいましたし、レンタル店の減少について思い当たる節のある方も多いのではないでしょうか。また、GEOはTSUTAYAほど顕著ではないものの閉店する店舗は後を絶ちません。ただGEOは関連事業として中古品売買が専門の2nd STREETの経営があるため、まだ耐えているといった様子です。どちらにせよレンタル事業は時代の流れに押され苦しいようで、借りる場所の減少から自宅の近くで手軽にレンタルできるといった状況ではなくなってきています。


まとめ

まとめとして、やはりサブスクライブでの配信ができないという現在の状態はジブリにとってかなりの痛手ではないかと思います。手間をかけずにいつでも好きな時に観れるサブスクライブという形態が現代社会に適応しすぎており、普及のメインターゲット層である若手世代は特に顕著でしょう。

そもそもなぜサブスクライブでの配信が日本ではないのか。これは配給権や放映権等が複雑化しているためだといわれています。おそらく可能であればジブリサイドも展開していきたいとは思っているはずです。

私は、このままジブリ作品が廃れ忘れられていくのがもったいないと思います。今となっては日本が誇るアニメーション文化を牽引してきて、今なお見るたびに新しい発見がある。テレビで放送されるたびにSNSでトレンドに上がるコンテンツが時代遅れだとも思えません。観てもらえる機会さえあればまだまだ一流のコンテンツだと思っています。

具体的にどうすればいいのか、おそらく私のようなファンにできることはほとんどないとは思いますが、それでもこういう意見を抱えた人間がいるということを書きたかった次第です。

スタジオジブリ作品がサブスクライブでの配信が解禁され、さらに多くの人に作品を見て、感動や興奮、新しい発見による最高の体験を味わえるような、そんな日が来ることを願っています。


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