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【障害者歯科】知的障害のある人の全身麻酔抜歯は大がかり-#3

娘が大学病院の障害者歯科で全身麻酔抜歯をした記録を綴っています。

経過は良好で、以前と変わらない日常を送っています。
今日は最終記録です。


手術室に入る前の娘に会えた

午前11時を回る頃、病棟から点滴スタンドを自分で押しながら歩いて手術室へ移動する娘に会えた。

「情緒的に難しくなったら拘束もあり得る」と、術前面談で医師から言われた娘。なので、その様子から情緒は安定しているのだな、と思いホッとした。

実は、抜歯術前日、私が病室を去った直後から娘は何度も私に電話をかけてきた。「お母さんたちの夕飯は何だった?」とか「今、なにもすることないから」とか。

その様子から娘が落ち着かないことを少し不安に思っていた。

でも、手術室へ向かう娘は、メガネを看護師に預けていたこともあってか、少しぼーっとしているように見えるものの自分で手術室へ向かうことができ、怖がらずに安定しているようだった。

私が声をかけると言葉は発せず、そのまま数名の医療スタッフと共に、娘は専用のエレベーターに乗って手術室へ向かった。

抜歯術は15分。全身麻酔は時間がかかる

手術室へ娘を見送ってから、お昼を済ませ病棟にある談話室で娘が戻ってくるのを私は待った。

そして4時間後、娘はベットに横たわったまま病棟に上がってきた。医師は「抜歯術はスムーズにいって15分程度で済みました」と言い、透明な容器に入った5本の歯を見せた。そして、「麻酔が切れるまでに時間がかかってしまいました。詳細は、明日の退院診察の時にお伝えします」と言って立ち去った。

4時間のうち、麻酔にかかる時間の方が断然、長い。意識が戻るまでに時間がかかる全身麻酔は、改めて大がかりな抜歯術であることを実感した。

15分だけ娘の病室に入ることが許されたので、娘のそばで声を掛けると娘は、うつろな目で私を見ながら「おかあさん、休む」と言った。

娘の青白い顔を見ていると、全身麻酔が切れて痛みが出てきたら、自分で対処できるかな?大丈夫かな?と不安な気持ちがどんどん湧き出た。

自分で自分の症状を伝える、知的障害のある人が一番苦手な場面なのだ。

すると担当看護師から声をかけられた。

「あと15分くらいしたら、看護師が付き添って歩いてトイレにいきます。それからお水を飲ませますね、それを終えたら夕食です」。

夕食はおかゆらしい。そして、しばらくは点滴で抗生剤をいれながら痛み止めも処方される。看護師からの説明を聞き、拘束されずに退院できるよう祈るだけだった。

看護師にバトンタッチして私は娘の病室を後にした。

親知らず4本と埋まっていた歯を抜歯

親知らず上下合わせて4本と埋まっていた1本の歯を抜歯し翌日退院。その退院前検査で、歯の状態を医師から説明された。

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