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特定行政書士の試験勉強(その4)

私は5月に東京都で行政書士を開業しました。副業行政書士としての開業です。今回は特定行政書士の勉強に関連して、特定行政書士ができること、行政手続法3条 適用除外、行政不服審査法 7条 適用除外との関連について書いてみようと思います。


特定行政書士とは?

特定行政書士は2015年12月27日に施行された改正行政書士法に基づいて創設されました。特定行政書士は行政書士が作成した(※)官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、異議申し立て、再審査請求など、行政庁に対する不服申し立ての手続きを代理し、その手続きについて官公署に提出する書類の作成を業とすること(=報酬を得ること)ができます。
※「行政書士が作成した」というのがポイントですね。依頼人自らが申請した書類が不許可になった場合に行政庁への不服申し立ての手続きの代理は特定行政書士はできないことになりますね(申請者本人で不服申し立てするか、弁護士に依頼しないといけません)

特定行政書士の出番は?

日本行政書士会連合会では特定行政書士が活躍できる主なシーンとして、3つのシーンをあげています。

①難民不認定(出入国管理及び難民認定法)

申請者は、本国において民主化運動指導者らと社会活動を行い、本邦においても反本国政府団体に加入し活動を行っていることなどから、帰国すれば本国政府による迫害を受けるおそれがあるとして難民認定申請を行ったが、申請者の供述を前提としてもデモ参加程度にとどまり、難民条約上の迫害のおそれがあるとは認められないとして不認定となった。申請者はこれを不服として異議申立てを行うことが考えられる。

② 建設業許可申請の不許可処分(建設業法)
建設業許可申請を行ったところ、経営業務の管理責任者としての経験年数が要件を満たしていないこと、経営業務の管理責任者の常勤性に疑義があることを理由に不許可となった。 経営業務管理責任者としての経験年数や常勤性について、その判断を見直す余地がある場合に不服申立てをすることが考えられる。

③ 産業廃棄物処理施設の設置許可申請の不許可(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)
産業廃棄物処理施設の設置許可申請を行ったところ、不許可処分となった。申請先の自治体においては、条例により周辺住民の同意書の提出が許可要件となっていて、その要件を満たしていないことが理由とのことだったが、周辺住民の同意書の提出を許可要件としていることに疑義がある場合に、不服申立てをすることが考えられる。

行政手続法3条 適用除外

行政手続法 第3条(適用除外)を見てみます。
10 「外国人の出入国、難民の認定又は帰化に関する処分及び行政指導」
⇒つまり、難民の認定は行政手続法ではなく、「出入国管理及び難民認定法(=入管法)」が適用されるということですね。

行政不服審査法7条 適用除外

続けて、行政不服審査法 第7条 (適用除外)を見てみます。
10 「外国人の出入国又は帰化に関する処分」
ん?外国人の出入国も帰化もあるけど、難民の認定は入っていない。つまり、難民の認定は行政不服審査法の対象になる、ということだ。

「難民の認定」は行政手続法の適用外だけど、行政不服審査法の適用は受ける、ということですね。知らなかった。。

特別行政書士の考課試験問題の肢

ちなみに私のやっている特別行政書士の考課試験問題には以下のような肢がありました。

「出入国管理および難民認定法に基づく難民認定に係る処分については行政不服審査法2条に基づく審査請求を行うことはできない」

特定行政書士 法定研修考査「第2版」 模擬問題

私の回答 ×(難民認定は不服審査法の適用を受けない)
正解   〇(難民認定は不服審査法の適用を受ける)

いやあー!?、外国人の出入国や帰化、そして難民認定は、国家の専権的なことだから、一般法である行政手続法や行政不服審査法の適用外だと思っていましたが、難民の認定だけは行政不服審査法の適用を受けるのですね。

その理由を調べてみると、法務省の外庁である出入国在留管理庁「難民認定制度に関する検討結果(最終報告)」に以下の記述がありました。

異議申出手続については、期間の定め(法第61条の2の4)に特則があるほかは行政不服審査法の規定が適用される。異議の申出に理由があるときは、異議申出人に難民認定証明書を交付するが、理由がないときは、その旨の通知書を交付する。異議の申出は代理人によってすることができ、代理人はインタビューに立ち会うことができる。
 なお、異議の申出に理由がない旨の決定に不服のある者が難民不認定処分の取消しを求めて裁判所に提訴することについて,特段の制約はない。

出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/nyukan_nyukan13-16.html

難民の認定に関しては申請者本人(難民)の権利利益の救済を図ることが重要だから、と覚えることにします。今一つ、腹落ちしないので。ただ、出入国在留管理庁のHPには下記の記述もあり、矛盾した内容もあります。。

行政不服審査法においては、その第45条により、行政処分に不服のある者は60日以内に異議を申し立てることが求められているが、難民認定手続については同条の適用が除外されている。その理由については、難民の認定に関する処分の当否は早期に決着をつける必要があること、難民であるか否かは本人が最もよくこれを知り得る立場にあるから、不認定処分に不服があれば直ちに異議を申し出ることができることなどから、難民該当性を否定する処分に対する異議申出期間を7日以内に制限したと説かれている。

出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/nyukan_nyukan13-16.html

【まとめ】「難民の認定」は行政手続法の適用なし×、行政不服審査法の適用あり〇

行政不服審査法7条の適用除外には「難民の認定」は入っていない=「難民の認定」は行政不服審査法の適用を受ける、ということでシンプルに覚えておこうと思います。また、特定行政書士の登場シーンに「難民不認定」があるので、行政不服審査法の適用を受ける、とも覚えておきます!

そして、行政書士試験を受ける方の参考になればさらに嬉しいです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

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参考にしたHPはこちらです↓

https://www.moj.go.jp/isa/policies/policies/nyukan_nyukan13-16.html

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