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番外編【白雪ひなたのJK探偵】クリスマスの殺人事件

もともと推理系の書くのは大の苦手なのでこれが限度です。ゆるゆる小学生探偵だと思って読んで頂きたいです💦トリックなどなしです。

いつもの学校の登校。

教室の鍵を開けた時に眼鏡の女の子、安東リカは驚いた。

机と机の通路に一人の女の子が倒れていた。

リカは近くに駆け寄ろうとしたが足が止まった。倒れてる女子は意識がないのはすぐ分かった。

リカの顔が見る見るうちに変わって蒼白した。
 
腐敗臭がする。

「死んでる!?」
倒れてる女子は顔面に血の気がない。

リカは後退り、パニックなった。

ーーーコンビニの前ーーー 

モグモグモグ。

メロンパンを頬張ってリスの様に頬袋に溜め込むその癖が治らないのが桜宮ももだった。

珈琲缶を飲むのは幼馴染の白雪ひなた。

ダッフルコートを着てもスカートが短いので寒い。

ひなたの日課はももが遅刻しない様に起こすとこから始まる。

別々のマンションだから大変だ。

ももはパンをペロリと完食した。

学校へ行くと廊下に人集りがあった。

ももとひなたが歩くと人集りは振り向く。

「どうした?」
ひなたが声を掛けると女子が駆け寄ってきた。

「ひ、人が死んでるっ。」
ひなたとももは生徒の表情を見て驚く。

ひなたは集団の垣根を分けてその教室に入った。

モモも一緒に見る。

確かに腐乱臭がする身元不明な遺体があった。

身元不明と分かったのはこのクラスの女子じゃない事と制服が別の学校の制服だった事。

「フォレスト学園だ。」
ひなたは呟いた。血の気が引いた。

「血痕がないのは?」
ひなたが遺体の付近を探り出す。首元を見ると鬱血した部分があった。

「絞殺か?」
教室の床には爪が欠けてる。と言うか、数本ネイルが外れてる。

ひなたは顎に手を当てた。

スカートは脱がれてる訳でもないし、着衣の乱れがない。

「犯人は通り魔の男性ではなさそう?喫煙者でもないんじゃないかな?」
ひなたは考え込みだ後にそう呟く。

「えっ、何で分かるの?」
ももは驚いて尋ねた。すると生徒の周りの中に居た先生が呟く。

「密室なのはどう説明付きますか?鍵は締まってたんですよ?」
男性のマサル先生が説明した。他にも複数の先生も居る。

「それはピッキングか、スペアキーだね。」
ひなたは後ろに手を組み、歩いた。

「でも通常の鍵もスペアキーは借りられてないよ。先生が最後まで居るもの。犯人が借りるなんて難しいんじゃ?」
クラスメートの橘沙織が喋る。友達の羽山まどかや矢田まりあも頷く。

「スペアキーなんか100円で出来る。鍵をアルミ缶で型取れば良いのさ。それに南京錠を自分が買った南京錠に差し替える事も出来る。犯行なんて簡単さ。」
ひなたは周囲の好奇に晒される。納得行かない生徒に面白がる。

「どう考えても隣の学園の生徒さんが被害者なら犯人は隣の学園の生徒が犯人じゃない?」
杵郷あかりが言うと矢田まりあも呟く。

「絶対、犯人は隣の学園だよ。先生もそう思うでしょ?」
赤坂ゆいが喋り出した。

「私もそう思う。」
御堂あすかも頷く。

「いや、ここの学校のだね。」
ひなたは片目を瞑って笑う。

「何で学校の生徒なの?」
親友のもも喋る。橘や羽山も聞きたそうにしてる。モモの甘いメロンパンの口にひなたは思わず笑う。

「おびき寄せるには一般人でもなければ隣の学園生でもない。分かりきった事だ。勿論、先生達でもないよ。」
ひなたは犯人像を形作る時に邪魔な容疑者を絞る。

「何で分かるんだ?根拠は?」
橘が食って掛かる。ひなたは根拠を示してないと言う。それは仕方ない。

「ただのおままごと探偵で生徒が犯人扱いされるのはごめんだね。」
ひなたは確かに橘の意見も理解できる。

しかし、犯人はこの中に居る。

「ちょっと待って。財布はある。化粧ポーチ。うーん、やっぱりないね。」
机に置かれてる被害者のバッグを探る。

「何か物があったの?」
ももは首を傾げる。そういう姿も相変わらず可愛い。

「スマホだよ。スマホ。犯人の手がかりであるスマホ。つまり、犯人は友達って事だね。犯人はスマホを持ってる。」
そしてひなたは周りの表情を見る。

「じゃあ、そのスマホを持ってるのが犯人なのか?」
男性の先生が興奮する。ひなたの言葉を信じてるみたいだ。

「そう、犯人の家に置いてる可能性があるね。」
ひなたは腕組みをする。

「でも犯人はスマホを捨ててる可能性もあるんじゃないか?探偵ごっこは遊び半分でやるのは良くないよ。」
橘が嘲笑う。同級生だが、元から橘はひなたを良く思ってない。それはまた別の話になるが。

「確かにそうだね。川に捨ててあったら探す事も出来やしない。あくまで推測だけど、きっと犯人はこの子とは同じ中学校時代を過ごしてたと思うんだ。何れは交友関係を洗い出せば警察に自分と最後の被害者との会話が書かれてるスマホの提供を渋る生徒が分かるよ。」
ひなたはつらつらと説明するのは至極当たり前の推測だ。それには橘も何も言わなかった。

「犯人は私の目の前に居るしね?」
ひなたはそう断言した。

「忘れてたんじゃないかな?もう一つの証拠を?」
その証拠は何なのか周りは固唾を呑む。

「重要なのは、被害者と喧嘩した事だ。一人だけ辛かったんだろ?憎んでた。だから殺したんだよね?杵郷あかりさん?」
杵崎あかりはハッとなる。周りは動揺する。

「私は犯人じゃない!!」
杵郷あかりは必死に抵抗する。

「そうかな?こっぴどく裏切られたら普通に怒るんじゃないかな?大切に友情関係で築いた証があったのに。親の関係で高い学費が払えず、こっちの公立高校にしか受けられなかったんじゃないか?」
ギクッと杵郷あかりは体を震わす。

「被害者は頭が良くて家はお金持ち、自分の彼氏も頭が良くて家は金持ち。たった一人、別の高校にしか行けなかった。あの二人は仲良しで中学卒業後、高校に入って付き合った。杵郷あかりだけが二人が付き合ってる事を知らずに苦しかったんじゃないの?」
杵郷あかりは動揺して顔を塞ぎ、腕の拳が震えてた。

「犯行の道具は彼氏のネクタイじゃないか?私の学校は女子しか居ないし、リボンが校則だ。市販の紐なら監視カメラで購入が分かってしまう。首を締めるならネクタイのサイズ感は良いし持ち運びも良い。」
ひなたは杵郷あかりの側に行き、語り掛ける。そして肩に掛けてある黒いバッグを見やる。

「二人の友情の証のバッグに下げられてるキーホルダー。ゲーセンの限定品のキャラクターだよね。」
このキャラクターはゲーセンのUFOキャッチャーにしかない限定品だ。

「異論はないかな?杵郷あかり。」
杵郷あかりは冷や汗をかく。唇を噛み、悔しそうにする。そしてポロポロ泣き、顔を隠す。分かりやすい反応に周りは動揺を隠しきれない。

「どうしても許せなかった。」
ひなたは憐れむ。同じ高校に行けなかった事、学費、テストの差、彼氏の浮気、親友の裏切り、全てにおいて劣って見えた。

杵郷あかりは殺人容疑で現行犯逮捕された。

あくまでこれは白雪ひなたの推測であり、ただのまぐれ。

しかし、彼女の泣き顔はこの学校に強い印象を植え付けた。

警察の事情聴取もあって学校は一日潰れた。

勉強が通常通り出来ない、教室の床の張り替え検討、ももと二人でイチャイチャしながらコンビニ帰りが出来なかったのはひなたには恐ろしい程、悔しかった。

【終わり】

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