青によし

マイペースに小説を書き続けています。 別名義(石川いな帆)にて商業活動もしています。

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最近の記事

「カナンティグル」あらすじ

アラビアンな世界観、砂漠の国の少年たちの物語。 オアシスのスラム街に暮らすアキムは、癒しの力を持っていた。 力を狙うものから身を守るため『カナンティグル』という集団に属している。 ある日、そのカナンティグルに依頼が舞い込む。 誘拐された娘を取り戻して欲しいという内容だったが、この依頼には裏があって……。 居場所のない少年達が、生き延びるために肩を寄せ合うカナンティグル。 いつか自分たちの国を作ることを目指して、生き抜いていく。 第1話:https://note.com/l

    • 「カナンティグル」第3話

       依頼人の裏は気になるが、悠長に調べていては捕らえられている幼い娘の命にかかわる。そう判断し、日が暮れたら救出しに行くことになった。依頼された翌々日の夜である。  実働部隊に選ばれたのは側近のファテ・ファイドの双子、すばしこさを見込まれてラジット、そして俺だった。気付かれないように少人数で潜入して助け出す作戦だ。だが、見つかった場合は合図を出して、外に待機させていた残りのメンバーを突入させる手はずになっている。  俺たちは標的の宿屋が見える場所で待機中していた。怪しまれな

      • 「カナンティグル」第2話

         依頼を受けた翌日、みんなは意気揚々と外へ出て行く。でも、俺は罰で外出禁止が続いているうえ、掃除を一人でしなくてはならない。自業自得だとラジットには言われたが、一人残されるというのは歯がゆかった。 「おいアキム、掃除姿が板についてきたな。もう専属の掃除係になるか?」  普段みんなが集まってくる大部屋の奥で、優雅にふんぞり返っている我らの王様が、憎たらしい笑みを浮かべて言ってくる。  そう、みんなさらわれた商人の娘の情報を求めて外へ行ったのに、ザイードだけがアジトに残ってい

        • 「カナンティグル」第1話

           砂漠に囲まれたシェヘラ王国はオアシスの恵みと、先人達が迷宮から持ち帰った魔法道具の恩恵で栄えていた。まぁおそらく、それは嘘ではない。本当に莫大な富を得ている人はいるのだから。  人々は生まれ持った魔力で魔法道具を操る。だが、魔法道具を手に入れられるのは一部の金持ちだけ。その恩恵にあずかれるもの一部だけ。そこからこぼれた多くの人々は今日も貧困にあえいでいる。それがこの国の実状だった。  市場をざっと見渡す。日よけための布の屋根がカラフルだし、その下に並べられるみずみずしい

        「カナンティグル」あらすじ

          「ついでのメシア」あらすじ

          近未来のSF(少し不思議)な世界で、喧嘩するほど仲が良い少年達が旅をする! 植物の生態系バランスが崩れ、植物が巨大化したり人間を攻撃したりするようになった世界。 危険が多い中で旅をする二人の少年、彼らは大切な人の手がかりを探していた。 アオは美形な見た目とは裏腹に、腕力が強くてちょっと喧嘩っ早い。 そんなアオをやれやれと思いながらフォローするガクは、飛び級して大学院まで卒業した天才植物学者。 正反対な二人が補い合って旅をする。果たして大切な人は見つかるのか?! 第1話:「

          「ついでのメシア」あらすじ

          「ついでのメシア」第3話

           追いついたガクも、驚いた様子で社の紋を見つめていた。  社は四畳半ほどの大きさで、木製の扉に御子柴、つまりアオの生まれた家の紋が描かれていた。  御子柴家、それは日本の守護樹を信仰して、古の昔より守り育ててきた一族だ。守護樹は特別な木で、神通力を養分として育つ。そして、何故か御子柴の血族からの神通力しか受け付けなかった。 日本では守護樹は京都に根ざしているのみ。各地に守護樹の加護を行き渡らせるために分社が造られた。これはそのひとつなのだろう。  アオは両手を合わせて、親指

          「ついでのメシア」第3話

          「ついでのメシア」第2話

           あれから砂利道を進むと、すぐにうっそうと茂った巨大な草むらが出現したのだ。一応道は細くとも続いていたから、アオは機嫌良く進んだ。ガクには引き返そうと何回も言われたけれど、大丈夫だと気にしなかった。だって、直感がアオを呼んでいるのだから。  しかし、横やりが入った。道の先には何かがあると直感が示しているのに、脇の草むらからアレチウリの蔓が飛び出てきたのだ。慌てて飛び退くも、蔓はぐねぐねと空中で揺れたかと思えば執拗にアオ達へ向かってくる。 「なんで急に?」  アオは木刀で

          「ついでのメシア」第2話

          「ついでのメシア」第1話

           巨大化した名も知らぬ雑草が蔓を伸ばして揺れている。いや、揺れているんじゃない。雑草が自ら揺らしているのだ。  二階建ての家に絡みつき、屋根付近に薄緑の花が咲いている。遠くから見ていたらきっと綺麗だった。でも、目の前で見ると巨大すぎたし、めしべやおしべとかがグロテスクだ。だいたい、花はパラボラアンテナの倍以上の大きさがあるうえ、変な粉を撒き散らしている。あれは花粉なのだろうか。見ているだけで鼻がむずむすしてきそうだ。  少女は幼い弟を背中にかばいながら、じりじりと後ずさりし

          「ついでのメシア」第1話