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失敗しても死なない

デイサービスで、利用者さんに
映画を観せるときがある。
なんの作品を観せるか、は毎回
非常に悩みどころである。

わたしは大体1500本くらいは
映画を観ている、ただのオタクなので
作品は沢山思いつく。
問題は、理解力とキャラクターである。

その日来てくださる客層により
なにがウケるかは、ビミョーに違う。
そしてまた人間は変化してゆく生き物で
お年寄りは尚そうである。
この間面白かったものが
今日面白いとは限らないのである。

理解力に配慮したら、次は
キャラクターだ。
これは映画の主要人物のキャラクター性
それからその日の利用者さんのキャラクター性
そこの合致が必要になる、ということだと思う。

正義感があって人望がある、みたいな人物像。
あるいは、毒舌ばかり言っているけど本当はとても優しい、みたいな人物像。
ああ、この日はこういう雰囲気の利用者さんだな。ならばこれだ。そんな風に当てはめてみる。

そうは言っても、ここは認知症の方も沢山いらっしゃる。だってここはデイサービスだ。

映画を観続ける、そして感銘をうける。
それはとても難しいことなのだ。
我々が当たり前にしていることは
決して当たり前の幸せではない。

なので、思惑に反して
信じられないほどウケない、そんな日もある。
人間だから、やっぱりわたしも落ち込む。

じゃあ、映画をかけるのをもうやめるか。
そうすれば楽である。
誰も困らないと思う。

でも…わたしは思う。
次は、あるいは次の次は、ウケるかもしれないではないか。
演劇をやる心理と同様に…
人は転んでも、一日たてば痛さを忘れるものだ。

誠意をもってまた転ぼう。
いつか格好良く歩けるようになる日のために。

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