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背中に

今日、娘を亡くした母と
体を売った女性の
気持ちを理解するために
様々のドキュメンタリーや
史実のVTRを観ていた。

その後、その事実をふまえて
もう一度台詞を読んでみる。
声に出し、体に落としてみる。
体の中を
鈍い痛みが走ってゆくのを感じた。

その後少し外を歩いたら
ふと背中に
誰かいるような感覚があった。

ああ、お母さん。
気づいたら、そう呟いていた。

お母さん。
ずっとそこにいたの。
ずっと探していたんだよ。
気づかなかったよ。

わたしの背中、首筋からの曲線に
わたし以外の誰かがいた。

そしてどうも、その眼差しの感じは
お母さんなのだった。

母が亡くなってから
幽霊をいつも探しているのだけれど
いなくて、悲しかった。

でも背中に、わたしの首筋に
わたしの脳みその後ろの方に
何故か母はいて
少しだけ話もしていた。

不思議に。
それは普通のことだった。

お母さん。
これからは一緒だから
安心だね。
そうか。
一緒なのか……

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