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わたしの恋人 Ⅱ

わたしの恋人は、現在わたしの夫である。
結婚して3年目に突入中である。

付き合いはじめた時には、知らなかったことも
少しずつわかるようになってきた。

五感のアンテナが鋭く
言葉で何かを伝える前に
「わかっている」ことがとても多い。

言葉や表に出すことが全てと思う人には
彼が何をどこまで「わかっている」のか
永遠にわからない。
そんな不器用な在り方である。

はじめは「わかっている」のだと
言語化した方が良いなどと
余計なことをわたしは言ってしまった。 
彼が損をするのを見ていられなかったから。

でも今は平らかな心で 
「心底そんなことはどうでも良い」と
言うことが出来る。

わたしはまだ
「世間」というものを気にしていたのだ。
恥ずかしいけれど。
彼に出会うまでは、まだまだ
縛られていたのだ。

わかっている。
能力がある。
出来るけれどやらないだけだ。
そんな風に。
世間を敵視し
世間に背中を決して見せまいとしていた。

今や、わたしも彼も(彼はもともと)
丸腰で
ずっと世間にお尻を向けたままで
何ともない。

どう思われても
拒絶されても、逆に評価されても
どうとも思わない。

すうーっと息を吸って
「そうか」と思うだけだ。

わたしにはわたしの恋人がいて
彼にはわたしがいる。
命のある間だけだけれど。

それで十分。
評価も否定も、どこかに行ってしまった。

静かな森で
わたしたちは遊びながら暮らしてゆく。

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