正念場
歌舞伎などで、登場人物の性根(キャラクタ)を最も現す大切な場面のこと。性根場。
そこに仏教の言葉「正念」(雑念に乱れない澄み切った信仰心のこと)の文字が使われ
両方の意味をもつ正念場という言葉になった。
正念場だ。
今がまさしく、わたしの人生の。
10代、20代、30代なんて、ひよっこだと
よく大人たちが話していたけれど
本当にそうだ。
恋がどうした、夢がどうした
社会がどうした、愛がどうしたと
元気に勝手なことを言っていられる。
なんて幸せなことなんだろう。
それが長い青春時代ならば
わたしは今40歳になり
青春を終える。
母の命、父の命。
そのふたつがこの肩にかかって、はじめて
わたしは生き始める。
正念場どころか
わたしは今まで生きてさえいなかった。
正確には。
ここからの険しい山道への
脚力を蓄えるために
今までの人生があった。
ここからが本番。
今まで本番だと思っていたものは
リハーサルだった。
そのことに気づく。
神様。
やってくれますね。
何故、家族は離散したのか
何故、社会は正義を排除するのか
何故、清らかなだけでは生きられないのか。
ずっとわからなかったことの
答えが姿を現しつつある。
すべてはこの時の為に、準備されていた。
母の病も、父との断絶も
正義を振り回して、傷だらけの愚かな娘も。
すべてがここに結集し
宇宙のダイナミズムの中で
スパークする。
青春より
もっと激しく、力強く
純真と狂気に満ちて
この混沌を、泳いでゆく。
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