やさしさ

やさしさですべてを乗り切るしかない。
仕事を辞めたいとしばしば考えるようになった。

人間関係が普通の職場の
普通の人間関係になった。
そこに熱はない。

ただ介護をこなすのではなく
治すための
そして生きる喜びを与えるための
試みをすることが責務だと
そんな話を出来る人が
ほとんどいなくなった。

わかっている。
誰が悪いのでもないのだ。
ただ普通に戻っただけなのだ。
わかっている。

わかっているのに。
こんなにも辛い。
胸が張り裂けそうだ。

やさしさとはなんだろう。
わたしには
あの日からずっと
この場所がこうなってしまわないために
背負ってきた重い重圧があった。

でももう必要ない。
もうここは、変わったのだ。
もう守る必要はない。

わたしはどうしたら
新しいやさしさを作り出せるのだろう。
わからない中で
空中を探る。

やさしさという言葉は
たやすくはない。