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読書感想「女の子は本当にピンクが好きなのか」堀越英美

この本は中高生の時に読んでおきたかったな、と痛切に思っています。
若い女性、女の子を育てている方に特におすすめ。
ジェンダー論的な本ではありますが、全然堅苦しくはなく単純に面白いです。

一番読んでいて身につまされたのは職業選択の項目で、身も蓋もないけど「勉強して稼げる仕事に就いてほしい」「それをなすために長い時間をかけて訓練し、準備し、計画をたてるような仕事を目指しなさい」という部分です。

本書ではピンク色が持つ歴史~とか、日本と諸外国のピンクの扱われ方がまず取り上げられます。
日本では90年代半ばからピンクが女児向けとして市民権を得た、という話や、近年では女児に好まれるようなカラーのブロックや理系おもちゃが発売されている、という話。
さらになぜか過去にお人形のリカちゃんには「算数が苦手」という設定があったりした、というステレオタイプ脅威の話とか。

ピンクにまつわる各方面の面白い話が続くのですが、何と言っても印象深かったのは第4章「ピンクカラーの罠」でした。
私はこの章だけでもぜひみなさまに読んでほしいです。

ホワイトカラー、ブルーカラーに次ぐ「ピンクカラー職」は女性の仕事とみなされがちな職種全般(サービス系、ケアワーク系、美容系、アシスタント系、語学系、人文系)を指しています。
筆者は人口の半分を占める女性が狭い範囲の職業に殺到することで、多くが低賃金に甘んじざるを得なくなるという構造的な問題を指摘しています。

そして女性がピンクカラー職業を選びがちなのは下記の理由です。
①それ以外の選択肢に考えが至らない(身近にロールモデルがない)
②男性の多い職業にすすむには覚悟が必要(男社会に耐えられるか、出産後に続けられるか等不安が多い)

このへんうまい結論が出ていなくて。
ピンクカラー職も大変だし、かといってエンジニアとか目指しても苦労しそうだし……
でも、こういうことを知っているだけでも視野が広がるのではないかなと思うのです。


ここから少し私自身のことを話してしまうと、かなり身につまされる内容でありました……。

子どもの頃に家族を含む周りの女性は専業主婦の方が多く、勉強した結果の具体的な将来のビジョンが全く思い浮かばなかった。
そして国語が得意、本が好きというだけの理由で大学は文学部を選んでいます。

私はピンクカラー職のうち人文系として挙げられた「司書、心理職、出版、校正」のうち、実に3つも実務経験があります。(学生バイト含む)
憧れはありましたが、選ばれし一握りの人以外には過酷な条件での業務になるため、私には体力的に難しいだろうと悟り就活で他業種を選びました。

私はアルバイト時代に徹夜続きの編集さんが職場の流しで頭洗ってるのを見たことあるよ!!
色々心が折れてしまい、出版は諦めることにしました。

学校司書に関していえば時給千円程度のアルバイトに「四大卒、TOEIC600点以上、司書資格あり、実務経験3年以上あり」という条件を付けているのさえ見たことがあります。
都心はそれでもたくさん人が集まるそうです。

学生時代の友人女性は地方公務員が多いので、お互い「配置転換が多くスキルが身に付かない、潰しがきかず人間関係で悩んだ時に辞める選択肢がない」というのが悩みだったりします。


今の仕事には概ね満足しているものの、中高生の時にもう少し理系を選択肢に入れたり、医療系等の専門職に目を向けていたら子どもがいてもよりフレキシブルな働き方が出来たのではないかな、と少し後悔したこともあります。
まあ勉強に付いて行けず挫折していたかも知れませんが。

とにかく学生時代に読んでおきたかったと思える内容でした。




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