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ときどき日記(389)社説を斬る。素人なりに

(太字が千葉の私見)
 
CO2地下貯留 温暖化防ぐ有効策にできるか(2023/06/23 読売新聞)
 
 脱炭素へ向け、火力発電所などから出た二酸化炭素(CO2)を回収して地中に埋める技術への関心が世界で高まっている。日本も事業化を急がねばならない。
 
「関心が世界で高まっている」からといって、それは正しい選択なのか。関心が高まっているという理由だけで「事業化を急」いでしまって良いのか。関心だけで突き進むのは拙速だ。
 
 この技術は「CCS」と呼ばれる。特殊な膜や水溶液などを使って、発電所や工場などの排ガスからCO2を分離・回収する。
 
 それを船舶やパイプラインで貯留地に運び、1~3キロ・メートル程度の深さの地層にためる。CO2が漏れないよう、固い地層の下まで穴を掘り、圧縮して封じ込める。
 
船舶で運搬するには液化が条件になる。液化のための冷却に資源エネルギーを要するし、船舶の新造、海運にも資源エネルギーを要する。もちろん莫大なインフラも必要となり、建設、運営にも資源エネルギーを要する。
パイプラインも莫大なインフラだ。これも建設、運営に資源エネルギーを要する。
「固い地層の下まで穴を掘」るためにも巨大な施設が必要となり、くどいようだが、建設、運営に資源エネルギーを要する。
「圧縮して封じ込める」の意味もわからない。二酸化炭素は空気の仲間だが、マイナス何十度かにならないと固化しない。地中のような暖かく、かつ、空間のないところにどうやって封じ込めるのか想像つかない。
 
 日本はCO2の排出を減らそうと、太陽光などの再生可能エネルギーを増やしているが、適地が少ないため急拡大は難しい。当面は天然ガスや石炭による火力発電に頼らざるを得ない。
 
「適地が少ない」とはいえない。なぜ更地にばかり建設しようとするのか。全ての建物を対象にすれば、「太陽光」に関して言えば、相当量の電力を確保できる。他の再生可能エネルギーにしても事業化(商売化)しようとするから、畢竟、巨大化が前提になってしまい、うまくいかないのだ。日本の場合、再生可能エネルギーは、農林水産業とその内容や場所が重複しており、農林水産業に再生可能エネルギーの採集を兼務させることで、丹念にエネルギーを採集できることになる。
 
 CCSが広がれば、火力発電を続けやすくなる。鉄鋼などCO2の排出削減が困難な業種は他にもあり、恩恵は大きいと言える。
 
「火力発電を続け」たいのであれば、CCSありきではない。もっともっと丹念に再生可能エネルギーを採集する道筋をつけるべきだ。電力事業が商売のネタになっていることからの脱却ができれば容易い。
 
 国内では、石油、電力や商社などの日本企業が事業化を計画している。経済産業省は今月、九州沖合や北海道沿岸、首都圏など国内外の7か所の事業を重点的に支援すると発表した。地層を調べる費用などを国が補助する方針だ。
 
「国内では、石油、電力や商社などの日本企業が事業化を計画している」のは、石油や石炭を売りたい、火力発電を続けたいという思惑があり、事業化を目指しているからという言い訳で生き延びようとしているだけだ。
 
 経産省は、7か所の事業化で、2030年度に日本の年間排出量の1%強となる約1300万トンのCO2を貯留できると見込む。
 
常温では気化してしまう気体を空間のない地中にどうやって封じ込めるのか想像だにできない。1%で約1300万トン。そんな空間、地中にあるの?
 
 50年にCO2排出量を実質ゼロにする国の目標達成には年1・2億~2・4億トンの貯留が必要だとの試算がある。政府は、50年までに国内の貯留場所を20~25か所に増やすとしている。
 
ましてや「年1・2億~2・4億トン」も地中のどこに空間があるの?
前例が無いものを国内に「20~25か所」って大丈夫なの? 絶対に住民は反対する。
 
 ただ、経産省によると、現状では初期費用が数百億円かかるほか、回収から貯留まで1トンあたり最低でも1万円程度を要する。コストの引き下げが不可欠だ。官民が協力し、CO2の回収費用を下げる技術開発を進めてほしい。
 
これを支えるのは経済だが、経済に比例して温室効果ガスや温熱が発生するという大前提が忘れ去られている。
 
 貯留場所の周辺住民や漁業者の理解を得ることも大切だ。経産省は既に北海道の沖合で実証試験を行い、19年までに30万トンのCO2貯留に成功した。過去の地震でも漏出しなかったという。
 
「過去の地震でも漏出しなかった」というけど、どんなレベルの地震だったのか。東日本大震災クラスではどうなのか? これまでなかったことは、今後もないことの証明にならない。
 
 CCSの意義や仕組みを丁寧に説明するとともに、事業者に安全対策の徹底を求め、住民らの不安を軽減することが重要だ。
 
事業者は利益を前提としている。おそらく国の認可を得られる範囲でしか安全対策をしないだろう。事業者に安全対策を求めること自体無理がある。
 
 海外では、米国政府が5月、火力発電所に、CCSの利用などを義務づける新規制案を発表した。米欧や中国など世界で約150件のCCSの開発計画があるほか、既に30件が稼働中だという。
 
またぞろ「海外では」だ。海外は正しいのかよ。「米欧や中国」を引き合いに出すが、みんな人命、人権、環境に配慮する国とは思えない。
 
 政府や事業者は、先行する米欧との連携も強めてもらいたい。
 
正しいかどうかもわからない者たちと連携を強めろと・・・・。

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